Long Story|Short Story|Anecdote7days【完結】
7.日曜日
日曜日も夜遅くに、日野航(ひの わたる)は宅配便で届いた小包の荷出し表を訝しげにめくった。
差出人の名はよく知る女性のものだったが、いつもは手書きされているそれが機械で打ち出されている。そもそも彼女は宅配便など使わず、受け取り確認のない簡易郵便を使って品物を寄越すはずだ。
彼女──遥海(はるみ)は航に対し、不定期にDVDを送ってくれていた。
それは彼女の一人息子の生活の様子を撮影したものだ。幼い頃は学校行事や家族旅行、友達を招いてのホームパーティーなど、イベントがあるとカメラを回していたが、少年が中学生にもなるとその頻度は少なくなった。
中学生ともなれば家族から距離を取りたがり、カメラを向けられるのを厭うような年頃だろう。1年前に送られてきた文化祭の様子を最後に、遥海からのビデオレターは途絶えている。
航は不思議に思いながらもいそいそとディスクを取り出す。盤面にはやはり固い書体で「7DAYS」と刻印されたラベルが貼られていた。
ディスクをデッキに入れると再生ボタンを押し、キッチンに入る。
一人暮らしの航の部屋はあまり生活感がない。年齢と稼ぎ相応にそれなりの広さはあるが物も少なく、ダイニングとは別に2つある部屋のうち1つはまだ荷解きしていない段ボールが雑然と積まれている。
──本当ならここで、3人で暮らすはずだったのに。
ウィスキーを注いだグラスを一口煽ると深いため息をつく。
航は薄給ルポライターの父と共に各地を転々としながら育ち、大人になると親元を離れほとんど天涯孤独で生きてきた。父が今どこでどうしているかはようとして知れない。
そんな生活の影響からか、航はどこへ行っても新しい環境にすぐに馴染んだ。ある俳優に似ているとよく言われたが、もしかするとそうした容貌も人好きのする印象に働いたのかもしれない。
とは言え、順風満帆の人生だったなんてとても言えない。「航」などという名を与えられたが、これまで辿って来た道程はそんなに勇ましいものでも、かと言って穏やかなものでもなかった。親族のいない身ならではの不自由も感じたし、幼い頃はずいぶん寂しい、心細い思いをした。
寄る辺ない自分はまるで海を揺蕩うクラゲのようだと、航自身は思って生きてきたのだ。
それだけに、遥海との出会いは鮮烈だった。2人は勤めていた会社で出会うと、すぐに互いに惹かれ合った。
社長令嬢の遥海は少し世慣れないところもあったが、航の目にはその頼りないところさえも愛らしく映った。
遥海は美しかった。男達を魅了したのはもちろん、不器用ながらも勤勉で、恵まれた自身の境遇を鼻にかけない素直な性格は同性からも愛された。
航と遥海の歩んできた人生はまったく違ったけれど、不思議と2人の容貌や雰囲気はどこか似ていて、他の介入を憚るような空気さえ醸していた。
そんな2人が公けに交際を始めても誰もそれを妬み嫉まず、穏やかな日々が続いた。航はまさしくおおらかな海に抱かれ、救われ、人生の海図を得たかのように感じたものだ。
誰しもがこのまま平穏な幸せが続くのだと信じて疑わなかった。
そんな時だ──晶(あきら)が2人の前に現れたのは。
海外から帰国した晶は、遥海の父親の会社と比肩する大企業の一人息子だった。幼い頃から名門私立学校に通い、文武両道で大学は首席で卒業、入社してすぐに海外で活躍し、まさに出世街道真っしぐら。
航と晶の命運は、生まれた時点で決まっていたのだ。
親同士による話し合いで、ほとんど政略的に晶と遥海の結婚が決まり、航は放り出された。
もちろん遥海を説得しようとはした。しかし彼女に選択権はなかったのだ。涙ながらに航を生涯愛すること、これからも愛し続けることを告げ、遥海は望まぬ契りを交わしたのだった。
DVDの送り主に疑念を抱きながらも、遥海の追想に耽っていた航は、グラスを手にダイニングに戻るとテレビ画面に目をやった。
画面には勉強机にかけている制服姿の少年と、背後には家庭教師だろうか、大学生風の男が立っている。記憶より少し大きくなった少年は遥海の息子に違いない……が。
「……何だ……これ?」
航はその場に呆然と立ち尽くす。
画面の中の痩せた男は少年にキスをする。少年の控え目な抵抗は拒絶だろうに、男は少年のシャツの中に手を突っ込んだ。怯え竦む少年に対し手加減などなく、男の手は乱暴にその華奢な身体を弄る。
「何だこれは!?」
ダンッ、と音を立ててテーブルにグラスを置くと、リモコンを手に取り音量を上げた。
『んっ……! う、ん、ん、──ンッ!』
少年の高い声がスピーカーから溢れる。
『あれ、硬くなってきたね。コリコリって……ね、ほら』
『あっ……かしせん、せ……っ! やめ、……くださ、』
少年の声が掠れ上擦る。
やがて男は少年のシャツをはだけると乳首にしゃぶりつき、いよいよ本格的に悪戯を始めた。
涙を流して身を捩る哀れな少年を、舌と手で淫らに辱めていく。
「何だ……何なんだこれは一体……!?」
動揺する航の手が次のチャプターに送ると、黒い画面に「Tuesday」とテロップが入った。
カメラは勉強机の斜め上から見下ろす位置に設置されているらしい。さっきとは違う男の膝に座らされた少年が、まだ幼い性器を強引に扱かれている。もちろんその顔は羞恥と恐怖に歪んでいて、到底この行為を望んでいるとは思えない。
『今度は俺を気持ち好くしてよ。俺のチンコ、しゃぶって』
少年が男にフェラチオを強要され、涙に濡れた顔が禍々しい異物を口に含もうとした時、航は見るに見かねてテレビの電源を落とした。
グイと酒を飲み干し、落ち着きなく立ち上がる。
「こんなこと一体誰が!」
部屋をうろつき、ソファにかけたスーツの上着からスマートフォンを取り出す。
遥海の電話番号を探しながら、デジタルの示す時刻が午前2時であることに一瞬躊躇う。そもそも、これを送ってきたのは本当に彼女なのか? 誰か他の人間ではないのか。
最近の遥海といえば連絡をしても返信はどこか虚ろで、天気のことや航の体調を案じるものなど当たり障りのないような事柄ばかりでどうにも噛み合わない。顔を合わせることもほとんどない今とあっては、かつての愛の誓いも虚しい。
そんな想いに胸をひりつかせながらも、航はビデオの中に犯人のヒントを求めて憤りに震える手でもう1度テレビを点けた。
再生されたままになっていた映像は時間が進んで、机の下にしゃがみ込んだ少年が男の性器をしゃぶらされている姿をまざまざと映し出す。机の影になってあまりよく見えないが、プチャ、チュプ、という生々しい音と男の気味の悪い吐息に、航は慌てて「Wednesday」のチャプターに移動した。
3人目の男はサディスティックに少年を虐める。少年の白い手はピアノの鍵盤の蓋で戒められ、それだけでも痛ましいのに男は少年の下半身を露出させるとその小さな尻にいやらしく手を滑らせ、後孔に指を突き挿れた。
「やめろ……」
航は思わず呻くようにそう声を漏らした。口元を手で押さえる。
男は淫乱だの雌犬だのと言葉でも少年をいたぶり傷つけながらさらに行為をエスカレートさせ、手淫で少年を快楽に貶めていく。
やがて強制的に射精させられた少年は床に組み伏せられ、今度はディルドで泣き喘がされた。
航の目には涙が浮かんでいた。
あんまりだ。あんまりに酷い。まだ声変わりもしきらない少年に、何人もの男達が性の暴力を振るっている。助けられない悔しさに噛み締めた奥歯がギリギリと痛んだ。
「Thursday」──劣情を誘うような赤い縄の緊縛姿で、少年は尿道を虐められていた。
遥海との愛情深い行為しか知らない航には、ディルドも拘束も尿道を塞ぐ金属棒も、拷問具にしか見えない。可哀想に、少年にとっては実際拷問だっただろう。
けれど木曜日はそれまでとやや様相が違い、少年の虚ろな瞳はいつしか快楽に濡れて、強請るように何度も赤い舌を突き出した。
手を後ろに回し、自ら後ろの孔を弄って自慰に及ぶ。
『っ挿れて、……もっと、奥ぅ……ッ』
見ていられなくて、航は奥歯を噛み締めると次のチャプターに送った。
金曜日の男は関西弁でよく喋った。話に注意していると、曜日毎の男達は家庭教師で、それぞれには面識がないことがわかる。結託して少年を陥れているというわけではないのだろうか。
しかし男達は少年に対し共通して、可愛い、誘っている、お前が悪い──そう暗示をかけ、少年に罪悪感を植えつけていた。こんなことになるのは少年の容姿や仕草のせいだ、と。
実際、少年の容貌は性別が曖昧に思えるほど愛らしかった。母親譲りの白磁の肌に大きな瞳。通った鼻筋と血の色の濃い唇。
だからといって当然こんな仕打ちをしていい理由にはならないが、少年は半ばその呪いにまんまと囚われてしまったのだ。
きっとこの中に黒幕がいる。思い、航はリモコンを持つ手にぎゅっと力を入れる。
一言一句聞き逃さないために、1人のか弱い少年が凌辱される一部始終を見た。
男は四つん這いにした少年の後ろに立つと、自身も下半身を露出して少年の肛門に性器を挿入した。少年の身体に収まるのが不思議なほど、長く太い凶悪なものを。
『っあー……めっちゃ気持ち好い……っ! 何なん、天国見えるわ……』
悲痛な喘ぎ声を上げる少年の哀れみを誘う姿にも構わず、男の律動は容赦なく速さを増していく。深く抉るように腰を引いては強く打ちつけ、部屋には肌を打つ音が響き渡り航は顔を伏せた。
『あっ、あうっ、あんっ! あ、あ、あひっ、ひっ、ひぃんっ!』
高く、そしてやや甘えを帯びた少年の悲鳴に耳さえも塞ぎたくなる。
悲鳴はさらに淫猥な響きに変わり、画面を見ると少年は身体を仰向けに返され、エビのように身体を丸められて上から叩きつけるように肛門を犯されていた。
『ひア"ッ! あはァンッ! や"ぁ! あ"ーッ! あっ! あン! やぁーッ! き、ひィ、いっ、い、ぎィ──ッ!! ──ッ!』
定点カメラは何箇所にも設置されているのか、カットが変わり真っ赤になった少年の泣き顔が映る。男の腰の動きに合わせてビクビクと爪先が伸び、白い喉を晒しながらも全身で感じているようだ。
激しい抽挿の果てに体内に射精された少年はそれまでになく激しく泣いて抵抗したが、それでも男はやめなかった。硬度を失わない剛直を、濡れそぼり赤く熟れ敏感になった少年の中に──その一突きで、中に出されていた精液がグヂュリと溢れ出る。
『ひいっ──ひ、ぐうっ……』
歯を食いしばった少年の口から漏れる悲鳴。少年の身体は中も外も蹂躙され、支配されていく。
『エッロいケツマンコしよってからにっ、奥までトロットロのキツキツで……! ほんまにサイッコーの肉ツボや! 俺のザーメンで腹いっぱいにしたるからなっ!」
『ひっ……ひぐっ……ひっ! あっ、あんっ! ア"ッ……!』
画面の中、生々しい音と甘い悲鳴は長く止まなかった。金曜日の男は少年の喘ぎが濁りひび割れても一縷の容赦もせず、掠れた悲痛な懇願をも踏み躙ってその身体を犯し続けた。少年の腹の深いところは、たっぷりと男の精液を塗り込められてしまったに違いない。
「……ックソ──!!」
悪魔のような所業に、航はグラスを床に叩きつけて割った。
DVDを止める。何かの間違いであって欲しい。たちの悪い合成動画じゃないのか。
頭を抱え、やりどころのない怒りに任せて自身の膝を思い切り叩く。何度も、何度も。
深呼吸をし、やっとのことで再生した映像は土曜日に切り替わった。
今度は少年自ら男の上に跨り、騎乗位で腰を揺らしている。しかしその表情は虚ろだ。
と思うと、後ろからもう1人の腕が伸びてきた。下から突き上げられている細腰をがっちりと掴むとその背中にぴたりと身を寄せ、すでに男の性器を受け入れさせられている後孔にさらにもう1人の男根が捩じ込まれる。
『ひっ──そ、んな無理っ、む、……ひ、ぃあ、あ゛ぁッ!』
2人がかりで犯され、少年はまた悲痛な喘ぎを漏らす。
少年の性器はバイブで責められ、さらに淫猥な言葉を言うよう強いられて。本意ではない、自ら行為を望むような言葉を口にする少年の震える声に、航は耳を塞ぐ代わりにぎゅっと目を閉じた。
『やぁっ! やだぁあっ!! いや、せんせ、せんせぇっ』
1人は学校の教師なのか。もう1人はよくわからないが、どうも教師と生徒で行為に及ぶよう焚きつけているようだ。
途中、教師は突然獣のように猛ったかと思うと激しく少年を犯した。これまでにない速い突き上げに少年も全身を痙攣させ絶叫した。泡立った精液をブヂュブヂュと溢れさせながらも、一突きされるごとに歓喜のような声をあげる。
2人の男に激しく輪姦されて、少年の身体は力なくベッドに投げ出された。強引に広げられていた足はもう閉じることもできずに無防備に開かれ、ガクガクと震えている。2人の男根を何度も出し挿れされ、仕上げとばかり教師に乱暴にされた後孔は赤く腫れて、中からドロドロと白濁が溢れ出していた。
そして──「Sunday」の文字。
画面はそれまでと違う部屋、違うアングルだ。書斎らしき部屋の卓上に据えられているらしいカメラはドアを映してしばらく静止していたが、やがてガチャリと開くと青白い顔をした少年が入ってきた。
『昨日は先生が来てくださったのに都合がつかなくてすまなかったな。話って何だ? 岬』
聞き覚えのある声──航は息を飲む。
『お父さん……あの、お願いがあって……』
岬と呼ばれた少年は俯き、組み合わせた手をもじもじさせる。男の手が画面の手前でひらひらと動く。おいで、という仕草に岬は遠慮がちに一歩踏み出した。
『家庭教師の、ことなんだけど……僕、は……勉強、自分で頑張りたい……』
言いながら、岬の声は涙に濁っていく。グズ、と鼻をすすると、男が岬の横に立った。震えている細い肩を掴み優しく抱き寄せる。
『なんだ、急にどうしたんだ? 家庭教師のおかげで成績もよくなっただろう』
岬はフルフルと頭を振りかぶる。
『もう、ダメだよ。僕、無理なんだ……お父さん』
男の胸に顔を埋め泣き縋る岬は本来の年齢よりもいくらか幼く見える。
当然だろう、あんな恐ろしい目に遭ったのだ。まだ庇護されてしかるべき年の子供が、何人もの男達の手によって蹂躙されたのだ。
『何があったんだ、岬』
男が言うと岬はいよいよ声を上げて泣き崩れ、その場にしゃがみ込んでしまう。膝をついた男の横顔は航の思った通り、よく見知ったものだった。
航はゆらり、テレビに近づく。
「ふ、じ――」
遥海と岬を自分から奪った憎き男──藤島晶(ふじしま あきら)。
航の拳に力がこもる。
『お父さん……信じてもらえないかもしれないけど……僕、家庭教師の先生達に……、』
そこで岬は言葉を詰まらせた。何と言っていいかわからないのだろう。しばらく黙った後、か細い声で「乱暴された」と言った。
『──なんだって?』
『だから……っ、ひぐ、……うっ、うぇ、』
岬はしばらく泣きじゃくりながら、嗚咽と共に吐き出すように「レイプされたんだ」と口にした。そんな言葉ではきっと足りない。身体だけじゃない、心さえも汚されてしまった。
『お願い、だから……っ信じて、お父さん』
『……信じないわけじゃない。誰に、何をされたんだ』
『……それは──』
口にするのも憚られるような一部始終を映像で見たばかりだ。岬の心は切りつけられるような痛みに震えていることだろう。真っ赤な顔をしてボロボロと溢れる涙を拭いながら、必死の思いで男に打ち明ける。
拙い言葉で自分の身に起きたことを告白する岬の姿はあまりに痛ましく、口にすることで今再び男達に穢されている──航はそんな風に思い唇を噛み締めた。
『──本当なんだな、岬』
全てを言い終えた岬に晶が言った。顔を上げた岬は顔を歪めながら唇を噛み締めコクコクと頷く。
『本当だよ……僕だって信じられない、信じたくないけど……』
『お前の部屋に行こう』
『……え?』
『あったことをきちんと確認しよう。疑っているわけじゃない。お前が話してくれたことは事実なんだろう。その部屋を見せてくれないか』
真摯な様子で言う父親に、岬はどこか安堵の色を浮かべながら頷く。一方で、男を伴い部屋を出る様子に航は妙な胸騒ぎを感じていた。
何故書斎にビデオがある? 何のために撮影した? そして岬の部屋にもまた、あの淫らな陵辱劇を撮影したカメラがたくさんあったではないか。
次のカットに切り替わると、親子はベッドの上に座っていた。
岬は父親を信じ切っているのか、その肩に身を預け頭を撫でられて涙を流している。
『もう嫌だよ、あんなことされるの……痛くて、怖くて……気持ち悪かった……。助けて、お父さん』
子供らしく父親に甘えるように頭を擦りつけると、頭を撫でていた手が岬の肩をポンと叩く。
『そうか……やっぱりお前は遥海の子だな』
『え……?』
肩に置かれていた手が乱暴に岬の腕を掴む。ぐいと押し倒された岬はシーツに埋もれた。
『っ! お父さ──』
『母親に似て男を誘うのが上手い。6人、いや、学校の教師も入れたら7人か? 7人もの相手をタラし込んで……なんてふしだらな子だ』
晶は岬のシャツに手をかけると、ボタンが弾け飛ぶのも構わず引きちぎる。岬の白い胸が露わになる。
晶は乱暴に岬の身体を押さえつけるとその首筋に顔を埋めた。
『何し……お父さん!? 冗談はやめてよ、っ……や、やだ、やだぁっ……!』
首筋に吸いつかれてビクビクと身体を捩る。晶の手はいやらしく岬の胸を撫でると乳首を摘んだ。
『この部屋でさんざん男の精を搾り取ったのか……岬』
『や……だ、お父さん……お願いやめて……』
まだ本気とも冗談とも測りかねるのか、岬の抵抗は弱い。驚愕に見開かれた目で男を見上げながら、か細い手に力のこもる様子はない。いずれにしても、男の逞しい身体は岬の力などでは微動だにしないだろうけれど。
『お父さ……やだっ、』
男の手が岬のズボンの中に伸び、膨らみをぐっと揉む。
『やだ、……やだぁっ……んっ』
ポロポロと涙を流す岬の顎を掴むと男は唇を塞いだ。舌を挿し入れ、口蓋を舐りながら右手で少年のものを扱く。
『いやっ……やめて、やめてっ……』
岬は息苦しそうにしながらも腰を震わせると男の手の中に昂ぶった証を吐き出していた。
『っ……おと、さ……』
『あいつにもよく似てきたな。その目……』
男が岬の顔を包み込むように触れると、岬の出したものがどろりと頬を濡らす。
岬の瞳にはもはや、絶望と諦めの色が浮かんでいた。これから、父親を名乗る男が自分に何をしようとしているのか察しているのだ。
男は岬の衣服を乱暴に剥ぐと自身もズボンの前を寛げ、長大な一物を取り出した。無抵抗の岬の上に覆いかぶさるや細い足を抱え上げ、岬の出したもので濡れた指を小さな窄まりに突き挿れる。
『ひぐっ……』
申し訳程度の抵抗にと、乱暴な男の手に手を添えるが、岬はほとんどされるがままだ。
『うう、あっ』
『2本も入る……まったく、お前ときたら……』
指を増やすと悪戯に中を刺激した。岬は全身を緊張させ膝を震わせる。涙がぼろぼろと溢れ、顔は真っ赤に紅潮していく。
はらはらと涙を流す岬を目でも楽しむように昌は醜悪な笑みを浮かべながらしばらく指で悪戯をしていたが、岬は呆気なく指の刺激だけで達してしまった。
『指だけでイくなんて、すっかり雌の身体だな』
男は指を引き抜くと自身の剛直を撫で、ヒクついている少年の後孔に押し当てる。
『そら、自分から吸いついて……淫乱め』
岬は驚くほど静かだった。無防備に両手を広げて、人形のように男の剛直を受け入れていく。
男は何度か腰を前後に揺すると深く息を吐き、くつくつと笑った。
『み、さ、き……』
突き上げる度に言葉を切って、まるでからかうみたいに岬の身体を突き上げる。
荒い呼吸だけで必死に顔を背ける少年の顔を覗き込むと、再び強引に口づけた。くちゅ、ちゅぱ、という濡れた音が部屋を満たしていたが、やがて男は腰を動かし始めた。
『……ふっ……、ン……、』
押し寄せる快感に抗いきれないのか、唇を塞がれた岬は鼻から甘い吐息を漏らす。
男の動きは速度を増していく。パン、パン、と肌を打つ音が強くなり、結合部からはグチュグチュと卑猥な音が溢れ出す。
『ふっ、ふぅっ、んっ、んんっ、んっ、』
性器全体を飲み込ませては一気に引き抜き、穴がキュッと窄まったところにまた根元まで一気に。先端は的を外さず的確に岬の弱点を突き上げて、抜き出される度に秘部からは泡立った白い粘液が噴出した。
『ン、ンッ! ふ、は、アッ、アンッ! ああっ!』
唇が離れると、岬の甘い声が猥雑な音に重なる。
『ああっ! あんっ! あっ、やだ、やだ、やだあっ!』
『くっ、う、ふぅ、……はは、お前の母親よりも具合がいい! あの女は俺に抱かれても頑なに拒絶して……まるで石のようだった。それに引き換えお前の身体ときたら……っ』
『ひっ! ひんっ、ひぁっ! あっ、あっ、おと、さっ! やぁ、あんっ! もうやだっ、やだ、いや、いやぁっ!』
ずぢゅ、ずぷっ、ずぶっ、ぬぷっ
激しい律動に突き上げられて岬の身体はベッドヘッドの方にずり上がっていく。晶はガッチリと岬の華奢な腰を掴むと引き戻すようにして己の欲望を叩きつけた。
『あ"ぁッ──!! いやぁっ! いだ、ぃは、……っふか、い、……イッちゃ……、イッ……イひっ──!』
『はは、好いぞ岬っ、またイッたな! 奥までビクビク痙攣している……この淫乱、売女の子供め!』
『ひぐ、ひっ、……あ! やだ、あ、あ、あァッ!』
激しく肌がぶつかる動きは、まだ開かれたばかりの秘密の場所を乱暴に掻き乱す。男が突き上げる度に岬の身体はビクビクと痙攣し、高い声が迸った。
『ひっ……んッ! おく、あたっ……ぅ! そんな、だめ、だめぇっ! あっ、ひぃ、ひんッ!」
『くっ……お前のここ……ほら、しっかりケツ上げろ! 俺の精子をたっぷり飲ませてやる……しっかり受け止めろよ!』
『い、いやっ、お願いやめてっ! お父さんっ、お父さ、あ! あ、あぐっ──いやあああぁっ!!』
ブルブルと男の腰が震え、岬の背中が浮いた。男の精子が、少年の薄い腹の奥に──出しながらも男はピストンをやめず、結合部の隙間からビュ、ビュ、と白濁が飛散する。
『あ、あっ……ぁ、……』
『ふぅ、ふっ、……はぁ……っ!はは、ああ、こんなに好かったのは久しぶりだ……岬、お前の中にお父さんの子種をいっぱい注いであげたからね』
『ひっ、……ひぐ、うっ……。おと、さ……なん、で……っ』
『お前の母親が悪いんだよ。遥海が……あいつが俺の子を産もうとしないから……だからお前が代わりに産むんだよ、岬』
男は再び岬の細い腰をがっちりと掴む。
『ひっ……!? いやっ、もうやだっ! やめっ──アアッ!!」
白濁の溢れる穴に再び太い肉棒が突き挿れられて、岬は仰け反った。
「そら、子種汁だ!」
『あうっ──! いぁ、あ! あ、あ、あ、もうやだぁッ!』
腰から掬い上げるように抱き起こすと、男は自分の上に岬を座らせ下から激しく突き上げた。岬の上体は不安定に左右に揺れる。身体を支えられなくなった少年に男は忍び笑いを漏らすとまたベッドに下ろし、四つん這いにさせては後ろから。
岬は藁にでも縋るかのようにシーツを手繰り寄せると、呻くように言った
『おか、さっ、……助けて、お母さん、お母さんっ……!』
男は腰の動きを止める。それから岬の頭をくしゃりと撫で、耳元に口を寄せた。
『あいつはここにはもう戻らない』
『え……?』
『お前には長期出張の仕事だと言っていたがな。あいつはもうほとんど気が触れてるんだ。社会になど出られんだろうさ。実家に帰って療養してる。箱入り娘が……コソコソ愛人にビデオレターなんぞ送りやがって』
『愛人……?』
ピクリ、航の手が震える。
『ああそうだ岬。あの女はわたし達を裏切って他の男に股を開くような女なんだよ。お前にはその売女の血が流れてるんだ。だから男を惑わせる』
『そんな……そんなの、』
『嘘だと思うか? じゃあお前のこの身体は何だ!』
『あァッ!』
ドヂュンッ、と男の性器が岬の薄い腹に埋め込まれる。衝撃に岬はパチパチと目を瞬いた。
『奥の奥までこんなにいやらしく濡れて、男を悦ばせるように腰を捩って……尻の穴を犯されて感じて、何度も達して!』
『んぐっ! うっ! お"っ、』
その突き上げの度に男の硬く張り詰めた亀頭部が岬の腹の奥を抉るように突き上げるのだろう。岬は濁った悲鳴を上げ続ける。
『このいやらしい身体が何よりの証拠だろう! ええっ!?』
『ひがっ、ひがぅっ! あっ! あっ! あぐぅっ!』
『何が違うッ!』
『ひぃっ……! ひっ、ひんっ、ひっ……!』
男が激しく腰を突き上げると岬の身体はガクガクと跳ねた。
岬の身体は本人の気持ちを無視して何度も絶頂を極め、男の手によってさらに淫らに押し開かれていく。
狭い、柔らかく熱い肉筒は男の性器の執拗な責めにますます熱を持ち、淫らに熟れていった。そこは男を快楽に誘うのはもちろん、岬自身の感度もじょじょに高めていく。
『はぁんっ! あんっ、あっ! は、あん、あん、あんんっ!』
白く可憐な花びらが、無遠慮に毟り取られているみたいだ。
花はやがて蝶になる。蜘蛛の巣にかかった蝶に──蜘蛛の糸のように男の吐いた銀糸を纏って、痛ましく狩りとられていく。
でも──航は幼年時代の自分にも似た少年の華奢な肢体が、シーツの海を泳ぐ様に魅入られる。
月曜日よりも火曜日、火曜日よりも水曜日……岬の身体は男達の手で暴かれ火照り、薔薇色に染まる。強張っていた脚は従順に開かれ、細い腰は心得たように淫らに揺れて。
声だって、痛々しく拒絶していた悲痛な叫びはいつしか、甘い呻吟に変わる。口ではいやいやと言いながらも、男の硬い楔を飲み込んだ場所は熱く潤んで殊更に男の欲望に火を焼べる。
『はぁっ、ん! んっ! あ、あ、あ、そこらめ、らめぇっ』
感じ易いところをしつこく突かれて甘えた声が跳ね上がる。
『ン"〜〜ッ!! んっ、んっ、あっ! やだ、やだ、あん、あん、あんっ!』
執拗な突き上げに狭い内壁をひどく虐められながらも、少年が感じているのが苦痛ばかりではないのはその嬌声を聞けば明白だ。
歯を食いしばっても鼻から漏れる吐息には、服従の色が滲む。
『ひぅっ、うっ、あ、ゆぅして、ゆ、して、いやら、や、ふわぁぁぁんっ』
仰向けになった男の上に跨り下から突き上げられながら、岬はひぐひぐと泣き喚いた。それこそ、これまでになく子供のように。
『あの女の身代わりだと言っただろう。自分の弟か妹になる種を、お前の中にたっぷり植えつけてやるからな』
『いやっ! おとうさ、──やだぁっ!』
岬にとっては実父による陵辱。信じられない気持ちと、それでも泣き縋るのは自分の親だからと諦めきれないから。
でも男は躊躇などしないだろう。
「違う……違うんだよ、岬」
航は自分の頬が涙を伝うのも気づかずに目を見開き呟いた。
「お前の本当の父親は、絶対にお前にそんなことはしない。父親は……俺は……!」
航の目の前で、自分の血を分けた少年が、1番憎い相手に汚されていく。
『そら、雄の子宮に出してやる! 孕め、孕めぇっ!』
『ああっ! やだっ、いやあぁっ!!』
まるでロデオのように男の上で白い身体が跳ねる。腰を押さえつけられ逃げることもできず、岬はガクガクと震え仰け反った。
起ち上がったままの性器をギュッと握り込まれて、突き上げられる度に中で達した。
『はっ──! あ、──あ"ぎイッ――!』
跳ねていた身体をぐぐ、と引きつけると男はグリグリと掻き混ぜるように腰を回した。また岬の中に欲望を吐き出し、それを中で攪拌してみせたのだ。
岬が少女だったなら、男の言う通り確実に孕ませられていたことだろう。男の剛直を飲み込んだ穴からはダラダラと濃厚な白濁が溢れ落ちていた。
男はぐったりと伏せた子供を抱き上げ立ち上がると、「抱っこ」の状態のままで陵辱を続ける。
岬がもう少し幼ければ父子らしい抱擁だったかもしれないが、乱れた衣服や岬の上気した悩ましい表情、何より深いところまで繋がった下半身は2人のただならない様子をまざまざと感じさせていた。
『ひうっ……あ、──ン"ゥッ!』
自重でさらに深く埋没する硬い肉棒に、岬は整った眉を切なげに寄せビクビクと感じ入る。苦しい体勢のせいで男の性器がさらに岬の腹の中を圧迫している。岬は口をパクパクさせながら声も出せない瞬間もあった。
男の精力は凄まじかった。疲れ切った岬を無理矢理立たせると壁際に追い立て、足腰が立たなくなるまで後ろから犯し、その場にずるりと座り込んでしまった少年の頭を掴んでは自分の性器を口で慰めさせた。
岬は絶頂と共に何度も意識を失い、そしてまた強制的に与えられる快感に目を覚ましては嬌声を上げた。
それがどのくらい続いたのかはもうわからない。岬の啜り泣きと、「お父さん、どうして」そう繰り返す掠れた声がフェードアウトして映像は終わった。
男が──昌が、カメラに近づく。顔面がアップになったかと思うと、脂ぎった顔をニヤリと歪ませた。
『どうだった、日野?』
カメラがブレたと思うと、壁から取り外される。手持ちのそれは床を、壁を、掻き乱されたシーツを映し、やがてほっそりとした少年の脛を映した。
まだ体毛も生えていない滑らかな白い足を、カメラは舐めるように映し撮っていく。無防備に開かれた膝、その内股が男のゴツゴツとした手で押し開かれると、ねっとりとした白い粘液が糸を引いて伝い、白い肌をさらに艶めかしく光らせていた。
腿には男が乱暴に掴んだ時についたのであろう手の形の痣。身体を横に転がすと赤くなった尻が映る。男が双丘を割り開くと窄まりからは一体何度吐き出したものか、ドプ、と白濁が溢れ出した。さらに乱暴に指を挿し入れると、赤い襞が白濁に濡れ光っている様までが写し出される。指を離しても、窄まった穴はヒクヒクと痙攣していた。
乳首もツンと尖ったまま赤く腫れ、嬲られた痕跡がまざまざと残っている。
細い首筋から顔が大写しになると、伏せられたまつ毛は涙でしっとりと濡れていた。顔は汗と涙と精液で濡れ、赤く染まった頬と唾液を垂らす唇は激しい情交の名残をぷんぷんと振り撒いていた。
『どんな気分だ? お父さん』
画面の中、男の声がする。
『可愛い自分の息子を、眼の前でぐちゃぐちゃに壊される気分は?』
男の手が少年の腿をいやらしく撫でる。
『物静かで聡明で、それなのにこんなにも淫らで……本当にいい子に育ってくれたよ』
無骨な手は少年の身体を這い回る。
『わたしが手を下すまでもなく、家庭教師達を次々にたぶらかして。まさか全員を毒牙にかけるとはさすがあの女の子供だな。ハウスキーパーにはこの部屋のビデオを録るよう指示は出していたが、行為自体はわたしが強制したものじゃない』
手が乳首を刺激しはじめると、岬はピクンと身体を震わせ反応した。身動ぐ岬の尻にカメラを回すと、胸の刺激に反応してかトプ、ゴプリ、と呼吸するようにパクパクと口を開く孔から精液が溢れ出す。海洋生物のようにヒクつくいやらしい動きに誘われるようにして、男の指がそこに潜り込む。
『ふ、ぁっ』
『ほら、また誘ってる……さっきあれだけ注ぎ込んでやったというのに、まだ足りないらしい』
『はっ……ぁ、ん』
男の太い指を易々と飲み込んだそこは、指を出し挿れすると内側の襞がめくれてヌラヌラした桜色の肉をチラつかせた。男の欲望を受け止め散々擦られたそこは、もはや排泄器官ではない。本人はまだ眠っていると言うのに男の指を物欲しそうに食み、パクパクと口を開閉しているのだ。
『んんっ……ぁ、』
『お前も自分の息子に、自分のいちもつを突っ込みたくなってきたんじゃないか?』
ぐぱ、と肉筒の中を覗けるほどに拡げながら男が笑った。
『なぁ、お父さん?』
暴かれた少年の肛門から白濁が溢れ出しツー、と糸を引いてシーツに落ちる。
遥海が晶と婚約を結んだ時、遥海の腹の中にはすでに新しい生命があった。航の子を身籠っていたのだ。
「これはあなたとわたしの子よ」
遥海は大きな瞳を夢見るように潤ませ、慈しむように自身の大きくなった腹を撫で言った。
「"岬"。遥かな海を航り、わたし達が結ばれる場所……この子の名前は岬よ、航さん」
岬──離れていても、画面越しにその顔を見れば自分の血を分けた形質を見出せた。少女のような大きな瞳と白磁のような肌は母親譲りだが、鼻筋や口元、やや大きめの耳には航の血の名残が兆している。
航もまた瞳から透明な水をツラツラと流し、とうとう堪えきれず嗚咽した。
窓の外でバイクの音がする。朝刊の配達だろう。外はもう白み始めている。
真っ黒な画面の中で日曜日の陵辱劇が終わると共に、また憂鬱な月曜日の朝が始まろうとしていた。
2019/07/14 ... end
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