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蛇の道


第1話


 広い天蓋のベッドの中央で揺れる2つの影。上から覆い被さる男は艶のある長い黒髪を振り乱し、首や手首につけた宝飾品を時折シャラシャラと鳴らしながら腰を振っていた。その下で、白い装束を乱した金髪の少年が身を捩って鳴き喘いだ。
「あ、あ、あ"っ! ふ、んぐっ、はひっン!!」
 男の逞しい剛直に貫かれ、少年は弓なりに背を浮かせる。スカイブルーの大きな瞳を涙に濡らしながら、舌を突き出し切ない声で鳴いた。
 腹の奥を叩かれる衝撃をすべて快感として受け取ってしまうのは、リンドバーグ一族の持つ特殊な性質だった。本来なら感覚のないはずの腸壁の奥まで、肉棒で擦られるとぞぞぞと背筋を這い上がるような快感が走り、少年を翻弄する。
 この国の王であるオクタヴィアン・ドーマンは豊かな黒髪を掻き上げると、侍従のクラウス・リンドバーグの痩身を抱き、そのきつい締めつけを味わってはぐっと歯を食い縛った。
「くっう……! は、ついさっきまで出し挿れするのも一苦労だったが……すっかり好い具合になったな」
 ヌチ、ヌチ、と卑猥な音を立てて少年の秘部に肉棒を抜き挿ししながらオクタヴィアンが嗤う。
「あ、ああっ! はひッ──ンひッ!!」
「おまけに突く度に発火するみたいに熱くいやらしく絡みついてくる……本当に初めてか?」
 ペロリと唇を濡らし、オクタヴィアンはクラウスの腰を抱き直し引き寄せ、これでもかと奥を穿った。
 まだ齢30の国王の体力には限りがない。射精してもすぐに力を取り戻す。
「ぎ、ひぃっ!ひっ、ひはっ、あ"ッ!」
 蛇のように長い王の性器は12歳の少年の狭い内壁を強引に押し開き、弱いところを執拗に押し潰す。誰も知らない聖地、クラウス自身も預かり知らない秘部を暴かれてはひとたまりもない。
「りゃ、めっ! へぇかっ……も、ゆぅしてくらは、ひぃっ!!あ、あ"ンッ! あはっ、あああっ!!」
 嬌声と共に跳ねる華奢な身体は王よりひと回りもふた回りも小さく、正面からぐっぽりと性器を嵌められるとはしたなく両足を開いたまま身動きが取れなくなった。宙に浮いた爪先はピンと伸びて、達する度にヒクヒクと痙攣している。
「こんなに感じられるのはリンドバーグの血筋の者だけだ……っそら、上に乗れ!」
 オクタヴィアンはクラウスの腕を取るとぐん、と引っ張り上げそのまま自身は天井を見上げるよう仰向けに寝転んだ。腰ごと引き上げられ王の上に跨った状態に持ち込まれたクラウスだったが、状況も把握できないままに自重で太い男根を飲み込む。
「あはっ!? いや"ッ……や"あ"あァッ……! あ"──〜〜っ!!」
 ずぷずぷと自重のみで沈んでいく身体。さっきの余韻もまだ収まらぬうちにゆっくりと亀頭で中を撫でるように捏ねられて、広げられた白い太腿の内側がビク、ビク、と引き攣るように震えた。
 がっちりと手首を掴まれ引っ張られると、じゃじゃ馬に跨ったかのように身体が踊る。
「ひっ──ひいっ……あ"ッ!」
 この行為が始まってすでに2時間、初めてだというのに生まれついて感じ易い身体は王の手の触れるところ全て性感帯のように粟立ち、もう何度も達している。
「が、ぶりえ…たすけ、て」
「あいつの名前など呼んでも無駄だ。お前を助けに来る者などいない。これがお前の宿命なのだ」
「が、りえっ……ガブリエルぅっ……!」
 ガブリエル──それはクラウスが仕える主人の1人であり、大切な友人の名前だ。そしてそれは、オクタヴィアンの下に生まれた第1王子の名前でもある。
 つまりクラウスは国王に──クラウスにとっての大切な親友・ガブリエルの父親に、犯されている。
「くっ……! ふぅ、はぁ……好いぞ、クラウス……好きなだけ鳴き叫び、よがれ。お前の鳴き声は好い……甘く切なくて憐憫を誘うが、同時にもっとひどくしてやりたくなるっ!」
「あ"っ! あ、あ、ンあ"あっ!!」
 王はクラウスの細い腰を掴むとゴン、ゴン、と強く打ちつけた。一突きごとに亀頭部は少年の深いところを抉って、中に出された精液が結合部からグビュ、ブヂュ、と溢れる。飛散した白濁は2人の腹を汚す。
 クラウスは自由になった両手をオクタヴィアンの腹について自分の上体を支えようとしたが、激しい突き上げに堪らず崩れ、その広い胸の上に伏せた。
「ひうっ! ひっ、ひいっ!! あ、あはぁっ!!」
 緊張したクラウスの白い尻を王の汗ばんだ手が割り開くように揉むと、少年の中はねだるように締めつけを強くした。
 オクタヴィアンはゴクンと生唾を飲む。
「ひっ、ひぐ、うっ! あ! あ! あっ! おねが、ゆるし……っ、」
 クラウスは切なげに眉を寄せ、オクタヴィアンの胸を涙で濡らし泣き喘ぐ。
「いっ……ま、まってくらさ……っひ!」
「お前のここはすごい……王妃の身体では得られない快感を与えてくれる。……お前の父もそうであったのだろうな」
 オクタヴィアンはスゥ、とグレーの瞳を眇めた。

 リンドバーグ家は代々、国王に仕える侍従の一族だ。もう何代も前から、侍従の中でも1番の側近として王につき従い、王や王子の世話をしている。
 そしてリンドバーグ家だけが担うのが、王の夜枷の相手だ。
 ドーマンの王族は代々性欲が強く、男は特にその性器の形が異様だ。大きく楔のように張り出した亀頭、竿は勃起すると常人にはないほどの硬さと太さを誇り、平均しても25センチは越える。
 この性器で処女を散らされる女は激しさのあまり失神してしまう者もいたほど。おまけにその1度の交わりで孕まない者はいないと言われていた。
 そうして王妃が懐胎すると王と王妃は宮を異にする。その間に王の性欲を満たすのがリンドバーグ家の男の役目だった。
 王の性を自由にさせては、王族の血が不用意にばら撒かれる可能性がある。その為に今のような慣習になったのだという。
 クラウスの父・クライドも子供の頃に先代、つまりオクタヴィアンの父の相手をしていたが、オクタヴィアンとクライドも幼い頃からの親友であった。クライドはオクタヴィアンの5つ年上で、2人は身分の違いがありながらも実の兄弟のように親しんだ。
 自分の父親が親友を抱いているという事実を知ったのは、オクタヴィアン自身が成人の儀を迎えた18歳の時のこと。クライドは23で、すでに侍従は退いて妻を娶り子をなしていた。
 次期国王となるオクタヴィアンの長男・ガブリエルもまたクラウスとは幼少期からの親友だが、まだ8歳のガブリエルはリンドバーグ家の夜の務めを知らない。
 オクタヴィアンがクライドに対してそうであったようにクラウスに懐いているが、この先リンドバーグ家の仕事を知ればショックを受けることになるだろう──オクタヴィアンがそうであったように。

「はうっ……あ、はっ……!」
 クラウスが緩く達して息を乱したところで、オクタヴィアンは腰の動きを止めた。
「よし、よし、いいぞ。初めてでも十分に愉しませてくれる。ならばわたしも、最奥での絶頂を味わわせてやろう」
「え……?」
 もう十分深いところまで犯されているのに。クラウスは眉を顰め、王の性器を受け入れたまま肩で息をする。
 全身を駆け巡る快感にぼんやりとした頭。動きを止められるとかえって、肉棒を食んだままの襞がヒクヒクと疼く。
「後ろを向いて、雌犬が交尾をする時のように尻をあげろ」
「は、い……」
 クラウスは王の腹に手をつくとゆっくりと腰を持ち上げた。
「んんっ……あ、」
 ゾロリと中を擦られる感覚に甘い声を漏らしながら、ちゅぼ、と性器を抜く。穴からはダラダラと王の精液が伝った。
 ホロリ、再び流れる涙はどうした感情からだろう。オクタヴィアンにはもちろん、クラウス自身にもわからないまま、広いベッドに膝をつき腰を突き出して頭を伏せる。空虚になった肛門はヒクヒクと誘うように痙攣しながら王の吐いた子種を滴らせている。
 クラウスは羞恥と恐怖に震えた。
「よろしい。では、いくぞ」
「は、い……あっ、」
 にゅち、と卑猥な音。続けて、ミチミチと押し入ってくる長大な異物。
「ッ……あ、……ンンッ! あ"、あ"はぁ──ッ!!」
 亀頭がゆっくり入口を押し開いたかと思うと、そこから一気に奥まで挿入されて全身に鳥肌が立つ。
 王の性技は巧みだ。強さやタイミングに単調さはなく、続けざまに新しい快感を与えられる。
「は、うっ……! は、はぁ、っんあ、あ"ッ……!」
 ビク、ビクン、と敏感に跳ねる背中を、オクタヴィアンはねっとりと撫でた。
「お前は感じ易いな、クラウス」
「へいかっ……へぇか、わたしは……わたしはもうっ……、」
 最奥での絶頂……もうそれを知っているつもりでいた。奥、と思っている場所はもう何度も、壊れるのではないかというほど激しい突き上げで犯され、精液で汚されている。身体全体がずり上がるほどの激しさなのだ、あれ以上のものなどあるものか。あるとすればそれは──串刺しにされた自身の亡骸を想像し、クラウスの背筋にぞっとした悪寒が走る。
「も、むりです……っ、ゆるして、ください陛下っ……!」
 グズグズと年相応の涙を見せるクラウスの頭にオクタヴィアンが唇を寄せる。優しい仕草で涙を舐め取りながら、しかし有無を言わさぬ態度で決然と言った。
「いいか。最初はゆっくりだ。力を抜いていろ」
 耳元で低く囁くと、クラウスの胸の突起をやわやわと撫でながら、ぐっと腰を進めた。
「んっ……あ、はぁっ……!」
「ここはもうよく知っているな? お前の膣だ。普通の男はこうはならないがお前達リンドバーグ一族は最初から女のように濡れる」
「んっ、あっ……ンはぁっ……!」
 そこでグリグリと掻き回すように腰を揺すられて、クラウスはビクビクと肩を震わせる。前立腺だ。もう何度もそこでイき過ぎて、イっているのかどうかさえよくわからないほど軽い絶頂を繰り返す。
「んんっ、んひィッ……!」
「今日はここから……まずはコールラウシュ襞を責めてやろう」
「こ、る……? あっ、ああっ!?」
 腰を引かれ、亀頭がギュッと奥に埋まる。まだその先が──知らないところを強く押された恐怖と快感に、クラウスの瞳はチカチカと星を見る。
「な、なにっ……!? そんな、だ、めぇっ……!」
「ふ、ふふっ、さすがリンドバーグの身体、しっかり感じているな。すごいぞ、わたしのものをキュウキュウと締めつけて」
 言いながらクラウスの小さな尻を愛でるように揉んだ。ビク、ビク、と跳ねる腰。
「うア"ッ〜〜!! あっ、はぁ、あっ!! ヘいか……っ!!」
「ここは知らないだろう? だが、」
「ひっ!? ひんっ、ひぃんっ! うあ"っ、あ"っ……!」
 ぐ、ぐ、とさらに奥へ。根元に行くほど太くなる王の性器は、今までにないほどクラウスの後孔を拡げている。
 しかしそれよりも──クラウスの体内ではS字に湾曲した腸の入口が、野太い男根にゴリゴリと圧迫されていた。
「い"や"ああぁっ!! あ、ああっ……だめっ、そんなっ……そんな、とこっ……!」
「おお、クラウスよ……! お前のここは……いやらしく吸いついて……くく、愉しませてくれる。子供のくせにひどく淫乱だ。やはり他の男を相手にしたことがあるんだろう? え? 話してみよ」
 クラウスはぶんぶんとかぶりを振る。およそ、こんなところまで届く性器が他にあるだろうか?
 まだ男を受け入れて数時間だというのに、クラウスの身体はすっかり淫蕩にまみれ雌にされてしまった。肛門は女性器のように男根を飲み込み、中を擦られる度に薔薇色に染まった肌が粟立つ。
「ここはお前の子宮口だ……そしてさらにこの、先にっ……!」
「っ!! ア"ッ……!! ア"ア"ッ──!!」
 クラウスは絶叫とともにシーツを掻き毟った。あまりに強い快感──味わったことのない絶頂。そこを開かれた瞬間に激しく極めてしまう。イく、イッている──。
 しかし、王は動きを止めない。一縷の赦しも与えず、激しく乱暴な律動を続ける。
「おお、うっ……! ぐ、はぁ、すごいっ……よもやここまでとはっ……! お前の、肉筒……!」
「ぎいっ!! ひ、ひっ、ひぎっ!! お"っ、おぐっ、りゃめっ!!」
 結腸には3つ、扉がある。S字を描く窄まったそこは、普通なら性器の届く場所ではないが。
「1つずつ、ゆっくりノックしてやるからわたしを受け入れろ」
「むり、むりれしゅっ……むい! むっ……ひ!? い、はぁっ……!!」
 カリ首は前立腺を刺激し、亀頭は結腸の弁を抉じ開ける。雌の性器に作り替えられた腸内は子宮口となって、王の男根をしゃぶるようにジュパジュパと絡みつき、呼吸の乱れと相まってランダムに淫靡な痙攣を繰り返す。
「ら、めぇっ……あ、っ……ぁ!!」
 もうそれ以上はいけないと思うのに、王は容赦なく腰を進め、さらにはクラウスの腰をがっちりと掴んでゆっくりと前後に動かした。
「ヒッ──〜〜!!」
 クラウスは引きつった悲鳴と共に極めて、全身を震わせながら絶頂し続ける。
 奥の閉じた襞を舐めるように擦る、歪な形の亀頭──しっかと閉じられた扉を激しくノックするというよりも、微かに開いたドアの隙間から「ここを開けて」と囁くような甘い責めに、クラウスの身体は中も外もドロドロに溶かされていく。
「ひ、やっ……!! やぁ、やっ……!! いやっ……!!」
 もう入って来ないで──怖い、怖い、恐ろしいほどの快感に、心も身体も壊れてしまう。
「あっ……! ぁ、あっ……!」
 強張った身体にも、長く太い肉棒が狭い襞を縫い、じわりじわりとクラウスを追い詰めるように侵入してくる。精嚢が圧迫され、痺れるような快感に襲われる。
「は、ひっ──!! がひ、いっ──イッでる"ぅ、イッ、イ"ィッ──!!」
「好きなだけイくがいい。まだもう1つ、最後の扉を開けたら天国が見えるぞ」
 ぐ、ぐ、──ぐぬぷぅっ。
 3つ目の襞が押し潰され抉じ開けられて、クラウスは目と口を大きく開けた。
「うあア"ッ──〜〜!! あ"っ!! アギッ──!! お"っ、アッ! あがっ──がひぃっ──!!」
 絶叫が部屋に響き渡る。
 本当の最奥を突かれて、クラウスの頭は真っ白になった。
 身体の境界がわからない。確かに自分の身体の領域を侵されているのはわかるのに、体内に息づく異物の拍動を自分のもののように感じる。
 体内にある他人の体温……自分の肉体を欲している熱──まるで身体中を蛇に這い回られているみたいだ。もはやそれは比喩でもない。クラウスの身体の大切な器官が、国王の大蛇によって淫らに蹂躙されている。
「ひっ──!ひ、ひはっ──!! は、あ"っ、あ"あ、ア"ッ──!!」
「わたしの形を覚えたか。余すところなく、全身で感じるがいい」
 言うと、国王は腰を一気に引いた。
 ずぬるぅ──っ。
 深くまで受け入れていたものはクラウスの膣壁の食い締めもものともせずゾリゾリと擦りながらヌボン、と引き抜かれ、突然の空虚にクラウスの内壁、粘膜という粘膜が狂ったようにざわめく。
「ア"ッ──ンぅうッ!!」
 びくん、びくん!
 刺激を求める中はじんじんと熱を持ったまま疼いて、飢えた民衆が物乞い天に手を伸ばすかのように、襞の1本1本までビクビクと逆立つ。
 クラウスは熟れたトマトのように真っ赤に染まった顔を涙と唾液でぐちゃぐちゃにしながら叫んだ。
「いっ挿れでッ……!! へぇかっ、挿れてくあしゃいっ!! ああっなか、なかがっ……!」
 切なくて、苦しい。
 ガクガクと震える少年に国王は苦しげに微笑むと、まだまだ衰えない男根をいやらしく誘う穴に埋めた。
「ンギィッ──〜〜!!」
 コールラウシュ襞も、その奥も。一気に貫かれ本当の「奥」まで暴かれて、クラウスは絶頂し、同時に失禁した。
「ひあ"あ"っ──!! や"っ、い、いぎっ──」
 ビヂャビヂャと熱い尿を噴き出す幼い性器。男根を受け入れた奥は電気を発するかのようにビリビリとした快感に蕩ける。
 少年の膣は反撃するようにぎゅうっ、きゅん、きゅんっ……と断続的に切なく締まって、オクタヴィアンにも激しい快感を与えた。
「くっ……! なんて卑猥な肉壺……子を為せぬとは惜しい、」
「ひぐっ……う、うぅっ! アッ……! あ、はぁ、はぁ、ああっ、ん"っ──!!」
 思わずオクタヴィアンも腰の動きを止める。
 その間にも達し続ける少年の身体は、肉を食んだ箇所に血液を集めるかのようにそこを熱く蕩けさせる。うねうねと蠢き、肉の悦びを訴えるようにオクタヴィアンの性器を締めつけた。
「くっ、うっ……!」
「しにゅ……しんじゃうっ……! うっ、うっ、うはあぁっ……!!」
 もはや、快楽と快楽の争いだ。オクタヴィアンの激しい快楽の責めにクラウスは達し、それによる痙攣や甘く切ない悲鳴がオクタヴィアンに快楽を与える。
 再び始まった容赦のない突き上げにクラウスはシーツにしがみついて必死に耐えるが、そうしていてもなお身体のずり上がる激しさに、廊下まで漏れるほどの高い悲鳴が迸った。
「い"や"ぁあああっ〜〜!! い、ひっ! ひぃ、ひっ、ひっ、ひン"ッ〜〜!」
「ふっ、く、……! お前の父も、わたしの父上に抱かれる時はこんな風だったのか……?」
 王の声に切ない哀愁が混ざったことにもクラウスは気づかない。
「いや、いやっ! らめっ! り"ゃめえっ! へぇか、へぇかぁっ! ひっ、ひぐっ、ひあ"ッ……!!」
 肌の触れ合うクラウスの白い尻はバンバンと叩かれて赤くなっていく。
「ぎっ! ひっは、はひっ! ひぃっ!!」
「そのアクアブルーの瞳、吊り上がった眉尻、ふくよかな唇……、」
 言い、無理な体勢でクラウスの顎を取るとオクタヴィアンは強引にくちづけた。
「ふうっ……! んっ……ふ、」
 息苦しさにクラウスの膣が締まる。雄の子宮口まで届いている亀頭は、そこに熱い口づけをする。
「ふあっ……! や"あ"あ"ぁっ〜〜!!」
 オクタヴィアンは強い快感を噛み締めながら唇を舐め、独り言のように呟いた。
「あいつは……クライドは父上に抱かれてこんな風に乱れ、悦んだのか?」
「や"あああぁッ!! あ"っ、あ"あっ、だめ、だめぇっ、い"や"あ"ァァァッ〜〜!!」
 乱れ狂うクラウスはオクタヴィアンの問いを理解しない。涙と鼻水で濁った悲鳴を迸らせながら絶頂し続ける。
「今のお前のように、淫らに泣き喘ぎ、雌のように腰を振って!」
 オクタヴィアンはクラウスの足首を乱暴に掴んで引き戻すと、頭を上から押さえつけて激しく犯した。
「ひいっ!? ひっ、あ、あ"ッ! あ"あ"っ!!」
 四つん這いの体勢も崩れ、もはや少年はシーツの上に俯せに押しつけられた状態で上から性器を出し挿れされる。腕ほどの長さの性器が小さな窄まりに飲み込まれ、そして出て来るのはほとんど手品のようだが、少年の中を味わって出て来る性器は血管が浮き上がり赤黒く漲って、どんどん力を増していく。
「ふぅ、ふうっ! くっ、クライドっ! お前の膣、子宮っ……これで父上を喜ばせたのか!」
「ひにゃっ! あ"あ"んっ!! あ"っ、へい、へぇかっ! おく、おくはもぉっ……! こわれりゅっ、こわっ……ひゃあ"ッ!? あ"あ"──〜〜ッ!!」
 父の名を呼ばれながら、少年の身体は男の欲望の受け皿となって暴力的な快楽をひたすら飲み込み続ける。
 ぐぢゅん、ぐぢゅん、と濡れたいやらしい音。身体の奥は熱く蕩けて、もっとひどいことになっている。
「や"、あ"、あ"、あ"! へんけ、おにゃかへんけぇしゅるっ、ら"め、い"や"ぁっ──〜〜!!」
 連続絶頂を繰り返し、腹の奥はまさに男の射精を心待ちにして淫らに吸いついた。ぢゅぱぢゅぱとしゃぶるような締めつけに、オクタヴィアンも唇を歪める。
「ひんっ──! ひ、ひぃっらめ、らめ、イッちゃ、イッてる、イ"ッでる"ぅっ……!」
「クライド、クライドっ──! わたしは、この国の因習が憎いっ! 父の手からお前を、守ってやりたかった、それなのにっ……くそ、くそぉっ!!」
 オクタヴィアンの突き上げはさらにスピードを増す。
「ひあぁぁぁっ……!! ひぬっひんじゃうぅっ……!! た、けてっ、たしゅけ……誰か、だっ……あ! あ! あっ! が、ぶり、が、はっ、あ"ッ! ガブリエりゅっ……!」
 親友の名前を呼びながら、クラウスはこれまでにない絶頂を迎えた。
「うぐっ……!」
 王はクラウスの1番奥に性器を押し込むと、狭く敏感なそこで射精した。
「うぐっ、ア"ッ! ア"ア"ア"ッ──〜〜ッ!?」
 雌の絶頂を味わっているそこに、欲望の飛沫を受ける。ビヂャビヂャとぶちまけられた白濁は少年の腹の中で暴れるように隅々まで広がり、その粘膜から体内へと吸収されていく。
 無数の子種。親友の──弟妹達。
「ひっ──!! ぁ、あ"っ……!! が、は……あ"……!! ひ、……ぇっ、がぶ、りぇ……っ、」
 薔薇色に染まった華奢な身体はビクビクとのたうち、王に与えられた快楽に完全に支配されてしまう。
 奥に出したにも関わらず、体内に収まりきらない精液はビュブブ、と音を立て、意識を手放した少年の後孔からドクドクと溢れた。
 クラウスにとっての、初めての夜の仕事が終わったのだ。
 それは誰が見るにつけあまりにも残酷で、そしてあまりにも淫猥な交わりだった。
 少年の身体は王の下で快楽の余韻に熱く震え、大蛇の心地好い棲家としていまだ蠢動している。
 下半身に飼う逞しい生き物をよそに、オクタヴィアンは切なげに眉を寄せると気絶した少年の金の髪を梳いた。汗で額に貼りついた前髪を後ろに撫でつけてやると、まだあどけない少年の顔がよく見える。
 上気した頬や涙に濡れた金の睫毛、意識をなくしながらも眉間に残った幼いしわは年齢にそぐわぬ色香を放ち、彼が強いられた行為の激しさを物語っている。
 その顔立ちはオクタヴィアンが幼少の頃親しんだ少年によく似ていたが、実際にこんな表情を見たことは1度としてなかった。
「クライド……どうして俺の前で涙を見せなかった? こんなことは望んでいないと、助けてくれと、何故俺に訴えなかったのだ」
 オクタヴィアンは涙や唾液で汚れたクラウスの頬を撫で、額に口づけた。
「俺なら、お前を泣かせたりしなかった。俺なら、この欲望を殺してでも、お前の身体など求めずお前を愛することができただろうに」
 金色の髪、半月に揺らぐスカイブルーの優しい瞳。クライドはいつも、オクタヴィアンの前では穏やかに笑ってみせた。
 クライドは自分の息子を宮に残し、妻と共に宮を出ている。おそらくもう2度と会うことはないのだろう。
 父親によく似た少年の疲れ果てた寝顔を見て、国王は成人の日以来初めて涙を流した。その泣き顔が先代の生き写しであることを、ついぞ知る者はない。

2019/03/24


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