Long StoryShort StoryAnecdote

傾いた家


暗闇の中の秘密


A……12

「……っ、ふっ……ン、」
 くっくっ、と喉の奥で笑う。耳元で小さく、「気持ち好いんだね?」と尋ねると、篤は肯定も否定もなくギュッと瞼を閉じた。
 中学の入学式の日、篤は幼馴染みと再会した。名前で呼び合い、下校中に2人きりで笑い合う──そんな姿を見た俺は嫉妬に駆られた。
 そして、篤にはいつもより重い罰を与えた。とは言っても快楽による愛の鞭だが。
 蕩けきった表情で泣きじゃくりながら、「もう許して」と愛らしい懇願をする篤にはぞくぞくしたが、やめてやる代わりにあの少年とは距離をおくように誓わせた。浮気なんて絶対に許さない。
 それからというもの、篤の態度は以前にも増して俺に従順になった。今までは身体を繋げることに対してまだ恥じらいが強く、何度かは行為を拒否しようともした。けれど、俺がどれほど篤のことを大事に思っているのかがやっとわかってきたのだろう。
 俺はそっと子供達の寝室に忍び入ると篤のベッドに潜り込んだ。この逢瀬を期待してか寝つけずにいた篤の肌を優しくまさぐると、耳の中に舌を入れて舐り、首筋に口づける。
 ベッドの上段で眠る弘に気づかれまいと必死に声を殺すのが健気で、けれど俺はその秘密の行為にかえって興奮をそそられた。薄い胸を舐め、乳首にしゃぶりつく。
「ふっ……ン、」
 甘い吐息をこぼしながら、篤はビク、と肩を跳ね上げる。俺は篤の両手をシーツに押さえつけながら、暴漢のように乳首を虐めた。
 クチュ、チュパ……、チュグ、ピチャ、ピチャ
「はぁ、はっ……ンぁ……ぁ、」
 ここから母乳が出るのを夢見て、執拗に吸いあげ甘噛みする。夜毎この前戯をするうちに篤の乳首はだんだんと敏感になって、最近では行為の後に胸に絆創膏を貼っているようだ。衣擦れだけで感じてしまうような淫靡な身体をしているなんて、きっと誰も思わないだろう。もちろん、あの馴れ馴れしい少年だって──夫としての優越感を感じながら篤の乳首を執拗に虐め抜く。
「やっ……も、やめ……っ」
 ハァハァと熱い息を浴びせながら、箸で先端をつまめそうなほどに勃ちあがった乳首を吸いあげ、ゆるく噛む。
「アッ──や、はぁン……!」
 篤はぎゅっと目を閉じ眉を寄せた。乳首だけで軽くイッてしまったらしく、ガクガクと腰を浮かせて震える。
「ぁ……あ、はっ……ごめ、なさ……、」
「いいんだよ篤。気持ち好かったら好きな時に好きなだけイッていいんだ。おっぱいだけでイッちゃうなんて、女の子でもあまりいないと思うけどね」
 そう言ってからかうと、篤は暗闇でもわかるほど顔を真っ赤にした。ああ、なんて可愛い──甘イキして濡れたペニスの先を軽く扱いてやると、篤は両手で口を塞ぎながらもすぐに達した。
「いい子だね」
 フゥフゥと浅く呼吸する篤にくちづけながら、部屋に持ち込んだローションの蓋を捻る。
「このまま静かに、だよ」
 布団の中で篤を俯せにすると濡らした手でなめらかな尻を撫でる。双丘を2本の太い指で無遠慮に割り開くと、チュコチュコと浅いところを刺激した。
「ふっ……ふ、ぅっ……」
 前でイッたばかりだというのに、篤はシーツにペニスをこすりつけるように腰を前後に揺らす。いやらしい動きを少しずつ覚えていく身体に思わずゴクリと生唾を飲み込みながら、前立腺を捏ねてやるとビクビクと腰を跳ねさせた。荒い呼吸も甘い喘ぎも枕に飲み込ませて、耳やうなじを真っ赤にしているのがとても色っぽい。
「篤、もう挿れるね」
 俺はそういうと、我慢をし続けすっかり硬くなったペニスを慎ましく閉じた後孔に押しつけた。グチュ、と濡れた音がして、少し膨れた縁を亀頭部で抉じ開ける。そうされるのを待ち侘びていた蜜壺は俺のペニスを歓迎するかのように吸いついて、腰を動かすまでもなく熱い楔を飲み込んでいった。
「ンンぅ……っ!」
 何度しても、最初のうちは行為に慣れていないような清純さを見せる篤だったが、この身体の奥には俺が幾度となく快感を刻みつけてやったのだ。ゆっくりと腰を動かせば篤の方でもゆるゆると腰を揺らして、俺を悦ばせてくれる。
「はっ……、ぁ、めっ……もう、」
 挿入しただけで篤は再び軽くイッた。いつもながら感じているのが手に取るようにわかる。
 下段の振動は上に伝わりやすいからと、俺の寝室で行為に及ぶ時のような激しい動きはできない。その分、焦らすようにゆっくりと、時間をかけて篤の甘美な肉体を味わうのもまた一興。前戯だけで上がっていた心拍がさらにドクドクと大きく、速くなる。張り出した亀頭部で浅いところをグリグリと責め、シャツの中に手を入れると張り詰めたままの敏感な乳首をコリコリとこねくり回した。
「あぅっ」
「篤……、愛してるよ」
 名前を呼び、耳朶を舐める。篤の身体を上から完全に覆ってしまうような寝バックの体勢で、篤の好きなところを探るようにゆっくりと腰を揺らすと切なげな吐息を漏らす。敏感な熱い媚肉は恥じらうように奥にいくほど窮屈だったが、俺の剛直によってミチミチと押し開かれていく。ああ──気持ち好い。
「っ……ひン……!」
「い、好いよ篤……、う、うっ、飲み込まれる……っ」
 枕に顔を押しつけて必死に快感を堪える息子のいじましさに、俺は額に皺を寄せながら荒くなる呼吸を押し留めた。
「は、うっ……! お、おおっ……篤ぃ……!」
 すぐに姿を隠せるよう布団をかぶってする行為はいつも以上に汗をかく。弘に知られないようにという背徳感はもちろん、望むように激しく突き上げられないというもどかしさにかえって興奮を誘われる。俺は後ろから篤の首根っこを掴むと、その顔を枕に埋めるようにしてゆっくり、けれど深く腰を揺すった。
「う、うっ……、ふ、……ンぅっ……!」
 声を殺している篤は痛ましく、まるで無理矢理強姦しているみたいだ。篤が他の男にこんなことをされようものなら俺はきっと怒りで気が狂ってしまうだろうが、こんな風に暴漢に弄ばれる篤を妄想すると何か倒錯的な支配欲に包まれた。
「く、くっ……いけない子だ篤……っ、こんなに無理矢理されているのに感じて。お前、迫られたら誰にでも股を開くんじゃないだろうな? こんな風に強引にでも挿れられたら、簡単にイきまくってしまうんじゃないのか。そういういやらしい身体のことを淫乱って言うんだよ」
 ひどい言葉で詰りながら少し強く腰を振ればベッドの軋む音が大きくなる。すると篤の身体は咎めるように締めつけを強くした。引き抜かれるペニスに篤の尻も持ち上がるが、シーツに押しつけるように深く突き込むと篤はクゥン、と鼻で鳴いた。
「し、ないぃ……、こんな、するの……おとうさ、とだけ、だからっ……」
 愛を誓うようにそう言う声は涙声で、篤の心を傷つけてしまったと俺は後悔した。
「ごめんね、冗談だよ。篤が心も身体も許してくれるのはお父さんにだけだって、ちゃんとわかっているからね。こんな、風に……っ、」
 言って、俺はゆっくりとペニスを引き抜き、そしてまたゆっくりと挿入する。
「……っ!」
「こんな風に、お父さんのおちんちんを飲み込んだところまでドキドキさせて……本当に可愛いよ、」
 言葉通り、篤のナカは脈打つかのようにビク、ビク、と不規則に反応した。時折強く締めつけてくるのが堪らなくて、俺の腰も自然と速く動きはじめていた。
「大丈夫、弘が起きないようにゆっくりするからね」
 キッ……キシ、……キシ……ギッ、
「……ッ……!!」
 弱いところに肉棒の先端が嵌まると、篤は声もなくビクビクと身体を震わせた。腹の奥がカッと熱くなり、下腹に血が集まる。前立腺を圧迫する角度で動きを止め、グッと腰を押しつけると、篤は痙攣しながら射精した。
「、ッ──!!」
「おっ……おうぅっ……!」
 声を漏らしたのは俺の方だったが、射精は耐えた。不意の強い締めつけに興奮を高めながら、ビクビクと痙攣する媚肉の淫らな反応を愉しむ。篤の小さな尻はビク、ビク、と小刻みに震え、絶頂が長く続いているのが見てとれる。
 ゆっくりとしたストロークで腸壁を嬲られた篤の股の間は、中に出されたカウパーやローションでドロドロになっていたが、篤の腰の下には乾いたバスタオルを敷いておいたから、篤の出した精液はそれに吸い取られていく。
「はっ……はっ……ぁ、」
 快楽にぼんやりとする篤の汗ばむこめかみに口づけると、身体を離し仰向けにさせた。
「可愛い顔を見せてごらん」
 足を折り畳ませ窮屈な正常位になると、まだ元気な剛直を達したばかりの蕩けた穴に押し当てた。
「篤……まだ、ここからだよ」
「ま……待ってまだイッ……──ッ!!」
 一瞬、ギクンと表情を強張らせた篤は俺の胸に手を当て突き放そうとしたが、俺は抵抗の隙を与えず両手首をシーツに縫いつけた。押し返そうとしてくる粘膜にも反して、狭い肉筒の敏感なところをゴリゴリとやや乱暴にこすりあげると、篤はぐっと白い喉を晒して仰け反った。
「はひっ……! ゃ、ア"ッ──!!」
 篤はまたすぐに達してしまう。休む間もなく続けざまに快楽を打ち込まれて、熱く蕩けた内壁はビクビクと俺のペニスを締めつける。痛みにも近い快感に、俺は何度もイきかけた。篤は自ら細い腰を捩り、背を浮かせる。
「はっ──かひっ──はぅっ……ぁ、待っ……まだ、うごいちゃ、ぁあ、あ、あっん!」
「しー……気持ち好くても声は我慢だよ」
 忍び笑いを漏らしながら、俺は大きな手で連続絶頂に喘ぐ篤の悲鳴を塞いだ。さらに腰をゆっくりと上下させると篤の鼻息が荒くなり、やがて口を塞いでいた手が濡れた。涙だ。
「ふっ……ぅ、……ん! ……ッン"う、……!!」
「ああ、篤のナカ、すごく気持ち好いよ……! お父さんのおちんちん、今にも爆発しそうなくらい硬く、熱くなってるのがわかるだろ……? 篤のお腹の奥がいやらしくキュウキュウ締めつけてくるからこんな風になっちゃうんだよ。篤のせいだから、ちゃんと責任取ってね」
 言いがかりのようなことを言って亀頭で雄膣を小突くと、そこはまた仕返しをするみたいに俺をきつく締めつけた。篤は快感のために啜り泣いて、鼻をグズグズと鳴らしている。
「ひっ……ひぐ、うっ……んくっ」
 もっと激しく抜き挿しすれば早く終われるだろうが、熱を穿った状態でゆっくりとした動きを繰り返し焦らす。もどかしいのは篤も同じだろう、証拠に俺のペニスを深く受け入れた腸壁はいつも以上にトロトロにうねって、細腰は俺のペニスをもっと奥へと誘うように淫らに揺れた。
「……今日は積極的だね。ちょっとはしたないぞ」
 そう嗜めながらも、自ら求めてくれるのが嬉しくて俺はさらに続けた。
「さぁ篤、どこをどうして欲しいか言ってごらん?」
 声を潜めて囁く。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった篤の顔は完全に快楽に敗北していた。涎さえ垂れてまるで赤ん坊みたいになった顔で、篤は意外なことを言った。
「……ム……、ゴム、コンドーム、してください……」
「えっ?」
 俺は思わず大きな声で聞き返していた。コンドーム──避妊具のことが篤の口から出ると思わず、動きを止める。
「……学校で習ったのか?」
 篤はコクンと頷いた。俺はハァとため息をついた。余計な教育をしてくれたものだ。
「お父さんと篤は愛し合ってるんだからそんなものいらないだろ? それに、どんなに欲しくても篤はお父さんの子供を妊娠することはできないし」
「で、も……、お腹の、中に……出されると、朝……」
 確かに、篤はセックスをした翌朝はトイレにこもる癖があった。夜の間に出した俺の精液で少し調子を崩すのだろう。
「それに、学校に着いてから……溢れてくるように感じることがあって、」
 それは篤の錯覚だ。身体を繋げるのは基本的に週末だけにしているから、中出ししたとしてそれが学校生活に響くことはない。けれどそれを聞いた俺は、離れていても篤の身体を征服できているかのように感じて満足した。なおのこと、ゴムなんて煩わしいものを使うことはできない。
「お父さんお願い、コンドームを……」
「ダメだよ篤、避妊具なんて」
「おとうさ……アんっ!」
 篤は甘く鳴くと細腰を捩りたてた。きゅん、きゅん、とねだるように締めつける媚肉は熱く、俺のペニスもまた狭い器官を埋め尽くすほどさらに硬く大きく怒張する。
「ほら、篤の身体だってお父さんの精液を飲みたがってるよ」
「ち、ちがっ……!」
「だーめ」
 生で挿入しているのを思い知らせるため、篤の柔らかい身体をでんぐり返しさせるかのように折り曲げ、結合部を見せつける。太い楔は陰唇となった穴に深く埋まり、ドクドクと脈打っている。
「ぁ……あ……っ、や、だこのかっこ……! 恥ずかしい……っ」
「見てごらん? 篤の下のお口はこんなにおいしそうに生のおちんちんを飲み込んでヒクヒクしてるんだよ。ゴムなんかつけたらきっと物足りなくてもっとつらいことになるよ。可哀想だろ?」
「や、ぃや"あっ……!」
 ぬるぅ、と引き抜けば、体液をまとわせた赤黒い肉棒が剥き出しになる。血管も浮き出た禍々しいそのいちもつは白い小さな尻に収まるとは到底思えないのに、体重を少し乗せるだけでぬかるんだ穴にグプグプと飲み込まれていく。
「おお、うっ……!」
「はぁ──あァン!」
 篤は高く泣いて内腿を痙攣させた。
「ほら、篤……篤のお尻は生のおちんちんが大好きなんだよ。自分から食らいついて離してくれない……もし恥ずかしくてそんなことを言ってるなら、恥じらうことは何もないんだよ。お父さんと篤は愛し合う夫婦なんだからね」
「いやっゴム……ゴムつけて……ッン"は──!!」
 ズプ、ズプ、──ズンッ!!
「こうするとお父さんのおちんちんの頭に篤の熱い粘膜が吸いついてくるのがわかるよ」
 深いところに届くと腰を回し、亀頭部でやや強く刺激した。もうすっかり俺の形を覚え素直に反応する内壁は、愛液を分泌するかのように潤ってねっとりと俺のペニスに絡みついてくる。イきながらさらなる絶頂を求めるような媚態に呼吸を荒げた俺は、フッ、と大きく息を吸う。
「はぁ──ンッ……!」
 入口まで引き抜くとひと思いに奥まで深く突き上げた。亀頭部が結腸口に当たり、ムリュ、と弁を抉じ開ける。抵抗するように押し返してくる粘膜を捻じ伏せ、さらにもう1度。
「ア"ッ──〜〜!! ──あ"っ……が、ぃっ──」
「篤……そんな声出しちゃダメだよ。弘が目覚めてしまうよ」
 俺の瞳はきっと、ケダモノのようにギラギラと輝いていることだろう。篤は覚悟を決めたかのようにぎゅっと唇を噛み目を瞑った。俺の獣性が限界を超えたのを察したのだ。
「ン"ンぅ──〜〜ッ!!」
 ドチュンッ、という深いひと突きに、篤は堪えきれず鼻から抜ける高い悲鳴をあげた。俺は俺でペニス全体が痙攣する媚肉にきつく締めつけられて、脳天まで痺れるような快感に襲われていた。まだ13歳の肉体とは思えない──俺が教え込んだのに、その俺自身が翻弄されてしまう。
「おっ……おお、篤ぃっ……!! うっ……ぐ、ううっ──!!」
「はっ……は、あっ……ん、はぁんんっ……!!」
「篤のナカ、すごい気持ち好い……っ! おうっ……ずっとイッてるのか? 篤もここが好いんだね……!」
「んひぃいっ……!! ひ、あっ……ら、やぁ……!!」
 1つの肉塊になったかのようにがっちりと抱き込む。種付けするための体位とでも言おうか、ペニスがみっちりと秘部にハマっているのを目視で確認しながら、上からプレスするようにゆっくりとピストンする。
「ア"ァッ〜〜……!! アッ……ぎ、ィッ──!!」
 ひと突きごとに篤がどれほど感じているかは、その悩ましい表情を見れば明らかだ。真っ赤になりながらボロボロと涙を流して、時に歯を食い縛り、時に大きく口を開けて舌を突き出す。
 グッ……チュン、ズチュ、ズッ……チュン
 2秒に1度、ペニスを引き抜くようなペースで腰を動かすと、内壁がうねって篤の分泌した愛液がローションとともに秘部から溢れる。
「ひっ──ぁ、ン"ッ──!!」
「はは……、篤のナカ、女の子みたいにいやらしいお汁がどんどん溢れてくる……。お父さんのおちんちんに突かれるのが嬉しくてしょうがないんだね」
 篤はもう言葉も出ないようで、絶頂しながら啜り泣き頭を振りかぶっていた。
「篤……篤のナカ、気持ち好いよっ……! お父さんのおちんちんにむしゃぶりついて……ね、わかるだろう?」
 言いながら、何度も同じところをズンズンとノックする。篤は首を振った。
「も、やめっ……、おと、さぁ、……ん、」
「篤……愛してるよ。ここに、その証をたくさん刻みつけてあげるからね……!」
「──……兄ちゃん……?」
 その時、上の段で声がして俺は瞬時に呼吸を飲んだ。それは篤も同じだった。
「兄ちゃん……起きてるの? なんか……地震かなぁ?」
 ポツポツと言葉を探すような辿々しい声は弘のものだ。行為に夢中になるあまり、ベッドの振動やら声やらを気にする余裕を欠いていたらしい。
 弘はまだ寝ぼけているようでぼんやりとしたひとり言のような言葉とあくびを繰り返している。
 激しかった動きを突然止めたせいで、次の絶頂へと登りつめかけていた篤はおあずけを食らったようなものだ。自らねだるように揺れる腰を止められないまま、焦った表情で俺に助けを求めるように目配せする。俺は咄嗟に篤の口を塞ぎ、ぐっと腰を深く突き上げて絶頂へと追いやった。
「ッ──〜〜!!」
「兄ちゃん? どうかしたの?」
 俺はゆっくりと篤のナカからペニスを引き抜き、折り曲げていた篤の身体を解放した。バスタオルで濡れた肌を拭いてやりながら、衣服を整える。自分の身を隠すためにまた最初の寝バックの体勢になって、俺は篤の上に重なりながらも頭は布団から飛び出さないように深く潜り足先を折った。
 弘は篤の呼吸から、起きていることは確信しているようだ。篤は少し呼吸が整うのを待って、
「じ、じしん、あった……!」
 慌ててそう言った。
「あ……やっぱりそう? 大きかったのかな」
「篤のが……上だから、そっちのが大きく揺れただけだよ……」
 篤は枕に顔を押しつけて声色が乱れるのを誤魔化しながら続ける。
「怖い夢見て……変な声出ちゃったかも」
「なんだ、そうだったんだ」
 弘は眠そうにそう言って、おやすみ、と呟いて布団をゴソゴソとやった。寝返りを打ってまた眠るようだ。
 篤はだいぶ落ち着いたようだったが、俺はというと──篤のナカで達しかけていたというのに、もう少しというところで中断させられペニスは張り詰めたままだ。勃起したそれを篤の太腿の間に挟ませて扱く、いわゆる素股で快感を得ることにした。
 篤は身を固くしてそれを受け入れた。太腿に力を入れ、きつく股を閉じる。俺のペニスはその滑らかな肌の感触を味わいながら昂りを取り戻していくが、当然、先までの熱い媚肉に愛撫される快感には及ばない。
 俺は無言のまま腰を上げ、股の間からペニスを抜くと篤の菊門にズプリと挿入した。
「……っ!」
 篤の下腹を撫で、自分のものがどこまで収まっているか教えるようにぐっと強く押す。篤は枕を抱き抱えるようにして顔を布に押しつける。
「うーん……目が覚めちゃったなぁ」
 上からそう声が聞こえると、驚いたように篤の腰がビクビクと震えた。
「……ね、寝ないと……だめだよ、」
 篤はなんとかそう言う。俺は構わずにゆっくりとしたピストンを続けながら兄弟の会話に耳を傾けた。
「そうなんだけどね。今、何時だろ」
 ギシ、と音がして、弘がベッドから身を乗り出しているのだろうと察する。壁掛け時計に目を凝らしているのだ。少しして、「まだ1時か」と弘。
「寝なきゃだなぁ」
「うん……う、んっ、」
 篤が取り繕いながら弘に応じる。その間も俺は気づかれないように注意を払いつつも、ゆっくりと腰を動かし篤を責めた。
 篤の下腹を撫でる俺の手を、篤の手が咎めるように掴む。悪戯をする子供を優しくしかるようなその所作に、俺はかえって悪戯心をくすぐられてしまう。
「ふあっ……!」
 前を触ってやると、篤は甘い声をこぼす。咄嗟に誤魔化すように咳払いをして、俺の手の甲をつねった。でも、やめてあげない。
 なかなか眠る様子のない弘の存在を意識しながら、俺はねっとりと篤とのセックスを続けた。篤は必死に声を殺しながら、2度、3度とドライで達した。
「お手洗いに行ってこようかな。喉も乾いちゃった」
言うと、弘は梯子を降りて部屋を出て行く。階段を降りる足音が遠ざかるのを確認すると、俺はガバと布団を剥いだ。
「お父さん……っ」
 篤は泣き腫らした目で俺を睨んだが、俺のペニスはまだ篤の中。
「ごめんな、お父さんもすぐイくからね」
 早口に言うとさらに腰を深く押しつけ──そこから、俺は突然激しい律動に切り替えた。ゆっくりとしたピストンでぐずぐずに蕩けたそこに、何発ものマグナムを打ち込むかのように。
「あ、あ"ッ!? ちょ、まっ……や、あ"、ぁん、あんっ、ア"ンッ!!」
 ベッドが激しく軋むのも構わずに、激しくピストンする。合意のない交合、レイプするかのように暴力的に犯し抜く──そんな勢いでガツガツと篤のナカを責め立て、ガチガチに硬く、熱くなったペニスで敏感な雄膣を、雄子宮を、容赦なく突き上げた。
 バチュッ、バチュッ、バチュッ、バチュッ!!
「ン"ひっ──!! ひ、いっ、ぎぃいっ──〜〜!!」
 むごい仕打ちを受けながら、篤はそれでも絶頂する。篤のことを愛しながらも、俺はその幼い肉体の一部を、締めつけてくる熱い直腸の粘膜を、まるで性玩具のように使って己のペニスを扱きたてた。弘が戻って来る前にイかなければ。
「や"、あっ、あっ、あっ!! あうっ、はげ、しっ……!!」
「篤、篤イくっ……!! お父さん、篤のお腹の奥にたっぷりお汁出すよ……おおおっ……!!」
「ぎひっ!? あ、おぐっ……だ、めっそん、なふか……ぁあ"あぁあぁぁぁ……ッ!!」
 俺は篤の結腸で激しく極め、勢いよく射精した。ビュクビュクと勢いのあるその奔流は本来穢してはいけないところまでもビチャビチャと白濁に濡らしていることだろう。
「おほっ……!! お、おうっ……うほぉっ……!!」
「が、ひっ……い、ンぎぃいっ……!!」
 篤はまるで結腸の粘膜にまで性感帯があるかのように絶頂し、濁った悲鳴をあげた。俺は俺で獣のように呻いていたと思うが、もう快感のあまり我慢が効かなかった。
「ああっ止まらない……! おちんちんビリビリしてるっ……篤、篤はオマンコどうなってる?」
 篤は返事をしなかった。絶頂しながら意識を飛ばしていた。
 射精は思いのほか長く続いた。俺は息子の最深部に罪悪を隠蔽するかのように、熱い汚濁をたっぷりと吐き出した。
「うっ……お、おうっ……!!」
 ビュル、ビュルルッ、ドク、ドクンッ、ドビュウッ……!
「はっ……ぁ、……ぁう……」
「お父さんの精子……篤のお腹に流れ込んでる……っ!」
 篤の上体を捻るように上向かせると、唇を乱暴に塞ぎ舌を絡ませた。篤の薄い下腹を撫で、支えながら身を起こす。やや屈んだ背面座位になると、俺は幼子をあやすように篤の身体をきつく抱き締めた。
「今日もすごく好かったよ、篤」
 首筋をきつく吸う。篤が中学に入ってから、必ずこれをするようになった。篤が俺のものである証。
「他の誰にもお前を触らせない……お前は俺だけのものだよ、篤」
 階下で弘がトイレから出る音が聞こえる。キッチンに向かったのを確認して、俺はベッドから這い出た。
 篤の身体をバスタオルで拭き取り、新しい小さめのタオルを下着の中に入れてやる。眠っている間にも、中に出したものが溢れてきてしまうだろうから。仰向けにして布団をかけ直してやると、篤は最初からそうしていたかのようにあどけない穏やかな寝顔をしていた。けれど汗で髪の毛は濡れそぼり、首筋まで上気している肌は行為の余韻を隠しきれていない。
「おやすみ篤、いい夢を」
 俺は弘と鉢合わせないように注意しながら自室へと下がった。

「……兄ちゃん? もう寝た?」
 弘は部屋に戻るとそう声をかけた。部屋を出る時は兄の顔を確認しなかったが、見ると寝乱れた様子もなくきれいな姿勢で目を閉じている。弘はベッドの柵に肘を預けて兄の顔を覗き込んだ。
「髪の毛、乾かさなかったのかな……」
 濡れた前髪を不思議に思いながら額を軽く撫でる。肌のしっとりとした手触りに何か胸がざわめくのを感じて、弘はさっと手を引いた。
 暗闇に目を凝らすと、篤の目元は赤らんでいるようだ。半開きの唇から覗く舌の艶めきと相まった生々しい様子に、弘は唾を飲み込み慌てて梯子を登ると布団に潜り込んだ。
「と……さん……、」
 篤の小さな寝言を弘は確かにその時耳にしたのだが、目覚めた時には夢のように記憶から霧散していた。

2022/04/24


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