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引越しの日、オレ様は何気なく***がいた木の上に居た。
もう***は居ない…
『何やってンだろーな、オレ様は…』
何時もの笑い方が出来ない。
無理やり笑おうとしても直ぐに消えてしまう。
オレはそっと木の幹に額を落とした。
…?
香る…
***の…香り?
会った時なんかよりずっと…
居心地の良い…
「清春…やった!いたんだ…!」
『…ッ!?』
オレは聞き慣れた声の方向を向いた。
「あのね忘れ物しちゃって、もうすぐ出発だから」
『バーカ、何忘れてンだってーの』
ケケッとからかうように笑ってみせる。
***は少し恥ずかしそうに言った。
「名前、言うの忘れちゃったよ」
初めて見せる、桃色の頬。
知ってる…出会った時から。
ずっとずっと…
「私の名前は…」
そう言い掛けた***の唇に
そっと口付けて…
言葉を遮った。
『***…ダロ…?』
「?…何で知ってんの?」
知らないわけ無いダローが。
『オレ様が愛してる女の名前だから』
狙った獲物は逃さない。
定めた標的は逆に
オレ様の調子を狂わす…
もう、匂いが取れねーンだよ。
甘い甘い香り酔って
囚われたのは
オレ様の方だった。
END
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