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寒い寒い寒い…こんな寒い日は
あなたに会いたい。





火傷注意報









「あー、あったけーい」

『………おい。』

「あー、極楽だー、ここは天国かえー」

「オイっ!!」





2番隊隊長ともあれば毎日が激務だ。たまの休日に廊下でマルコと会ったもんだから、他愛も無い話を少し。話の途中、おれの腹に白い腕が巻き付き、ずっしりとした重みが後ろにかかった。




『おや、ずいぶん懐かれたもんだよい、エース』
『ハァ…いい迷惑だぜ、まったく』



今おれらのモビーディック号は冬島に入っている。夏は相当足蹴にされるおれが重宝されるわけだ。特にこいつ。***は元々低体温である上冷え性であり、隙あればおれに貼り付いてはカイロ代わりにしている。




「マルコー、エースは何でこんなにあったかいのー?」
『それはな、照れてるからだ』
『ちっ、違うわ!』



おれがしゃがむと***は嬉しそうな顔をして今度は首に腕をまわす。そのまま背負ってマルコに一瞥すると、面白そうに笑って手を振ってきた。





『おら、着いたぞ』
「やだー!降ろさないでーっ!!」
『オマエまだ仕事中だろ?まだこんなに溜まってんじゃねーか』


***はこの船の服飾デザイナーだ。野郎共はファッションなんかには興味ねーが、戦闘でボロ布と化した服をそれは綺麗に修繕してくれる。



「寒いんだもん、まだおんぶしてて」
『こんな足出してるからだろ、服着ろ服』
「オシャレは我慢っていうじゃない!」



***のわがままには付き合いきれねーとソファに降ろすと、おれは部屋を後にした。後ろから“いくらあったかくても心が冷たいんじゃモテないぞ癖っ毛!”と声がしたが聞かなかった事にする。

……大体あんな白い生足さわって背負ってられるか!





その夜。






コンコン、コンコン。





なんだこんな夜中に。もう既に時計は2時を指している。だるい身体を起こして扉を開くと、おれは目を見開いた。眠気なんて一瞬でぶっ飛ぶもんなんだな。




『おまっ、』
「エースー…、寒い。一緒に寝せてー」





大きな大きな枕の端を握りしめて引き摺り、目をこする***の姿はと言えば白く薄手のキャミソール。テラテラと光るシルクに反して下はもこもことした毛糸のショートパンツを履いている。少し幼さの残る顔に反して胸元はその大きさを主張している。おれは思わず唾を飲んだ。





『だっ…、だめだだめだっ!』
「なしてよー」


むっ、と頬を膨らます顔でさえ今のおれには刺激としか捉えられない。



『おおおまえ、こんな夜中に男の部屋で寝る意味分かってんのか?!』
「え?なに?」
『おっ、襲われても文句言えねーんだぞっ?!』




何言ってんだ俺。

これじゃあ逆に意識してるみてーじゃねーか。こいつはそんなやましい考え無しに来てるわけであって…いやしかし、もしこいつがおれなんかじゃなくて他の男の元に行っていたら、***は確実に喰われているだろう。そんな事を考えれば、仮想の男に怒りさえも覚える。だがおれもこんな事考えちまってるあたり心では***を……ああ、もう頼むから自分の部屋に戻って欲しい。




「それは…、エースだから……」

『………は?』



「エースだから大丈夫だもん」




そう言って***はにっこりと笑った。それはどーいう……?頭の中がハテナで埋め尽くされているおれの横をスタスタと通り過ぎ、さも自分の物の様におれのベッドに横になるとおやすみーっと言って毛布を被った。





『………もう知らねー』






おれは深い事を考えるのさえアホらしく思えてきて、***の眠るベッドに入った。









(エース、いつもよりあったかーい)
(うあ、そんなにくっつくなバカ!)






顔から火が出そうだ。
いやおれの場合顔が火になりそうだの方が合ってる。
***を燃やさない様に気を付けよう。









(2012.11/30)

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