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街はどこもイルミネーションが綺麗で、幸せそうなカップル達が何組も目の前を通り過ぎる。私はうらめしそうにその光景を横目で見ながら家への帰路を急いだ。
サンタさんは、
今年はつくづく運が悪い。クリスマスを目前にして3年も付き合ってきた彼氏と別れ、私は独り身。この日ほど来て欲しくない日は無かった。自然と足は速くなる。冷たい向かい風がひゅーっと私の傷をえぐるように吹く。ふと、その風にのってとても良い匂いが鼻をかすめた。
私はあるお店の前で足を止める。ここは高くて中々来れなかったけど、前に元彼と何度か訪れたレストラン。いつも良い匂いが漂っている。私の1番お気に入りのお店だ。ショーウィンドウにはウェディングケーキ並に大きな3段ケーキがクリスマスらしい装いでとても綺麗に飾られていた。私は溜め息をつく。
「あー、彼氏ほしー…てかもう結婚したい。私の白馬の王子様はいずこに〜」
言うだけ虚しくなってきた。嗚呼、もしサンタさんがいるならば、私に運命の人との出会いをプレゼントにして欲しいものだ。しばらくそのケーキを眺めていると、お店の中からそれは綺麗な女性とお店の男性が出てきた。
『んもう、今日はイブだって言うのに…つれないわね、サンジったら。』
『申し訳ありませんマダム。今日は生憎忙しくて…』
『まぁ仕方ないわね、クリスマスだもの。』
『またいつでもお待ちしておりますよ。』
その男性は車のドアを開き、女性が乗り込むのを丁寧に見届けてそれを閉めた。黒光りする高級な車が私の前を通り過ぎる。うわ、あんなに格好良いウェイターさんこのお店にいたっけ?さらさらと揺れるブロンドの髪がとても綺麗だ。私はそのウェイターさんをしばらく見つめていると目が合ってしまった。やば…
『やぁ、***ちゃん。いらっしゃい。』
「え…?」
なんで私の名前を知っているのだろう。ほんの数回しか来れないお店で、ましてやこの格好いいウェイターさんには会った事が無い。
「なんで私の名前を…?」
『王子は何でもお見通しですよ』
そのウェイターさんは深々と礼をした後クスリと笑うと、なーんてね、と言って私の胸元を指差した。あっ、会社の名札取り忘れてる!
「…は、はずかし、」
『ハハ、でもおれは***ちゃんの事前から知ってたけどね。』
「?」
『ところで今日はお1人ですか?』
「あ、はは…そうなんですよ〜イブなのに、情けないです」
『………いつもの男は?』
「は?え、あの人とはこの間別れちゃって…」
『…な、!』
ウェイターさんはいきなり目を見開いて私の手を握った。
『いま…っ、これから時間あるかい…?』
「えっ?ええ…まぁ」
『…っ、そっか、おい!クソジジイ!おれァ今日もう上がるからなー!』
(ああ"?!何言ってんだボケナス!今どんだけ忙しいと思ってんだ!)っとお店の奥の奥の方から聞こえてきたけどこの人はまるで聞いてない。
『お手をどうぞ。おれについてきて、プリンセス』
「そ、それは構いませんけど、あの、ウェイターさんお店大丈夫ですか?」
『ああ、おれはシェフだから大丈夫』
「そうなんだ…って余計ダメじゃないですか!」
(おいっ、サンジ!戻れー!)
『おれは今そんな事より大切な用事があるんだ』
「大切な…?」
私はこのサンジという人に手を引かれて、お店の裏の人通りの無い場所に連れて行かれた。
『単刀直入に言う』
「は、はぁ…」
『好きだ。***ちゃん、おれと付き合って欲しい』
「は、はぁ…って、ええええええ!」
あまりの急展開に私の頭はまるで追いついて行かない。私は手を握られて硬直してしまった。え?え?と言いながら顔が熱くなっていくのを感じた。
『一目惚れだったんだ…おれの料理幸せそうに食う***ちゃんを見た時からずっと好きで…でも***にはもう相手がいて、***ちゃんが幸せならそれで良いと思ってたんだ、諦めようって…でも、無理だった…』
私は切なそうな顔をするサンジさんに抱きしめられた。なんだか、とても胸がきゅんと締め付けられる感じがした。
『***ちゃん…おれのものになってよ』
サンジさんが離れる時、なんだか名残惜しくて私は小さな小さな声でハイと言った。
逢わせてくれる
運命の人に。
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