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『失礼します…若月先生?』

ノックをして戸をひく。
静まり返った部屋…生憎先生は居ないようだった。
それはそれで好都合だ。
若月先生はあれでいて勘が鋭い…
先生も旅行には引率だったから、何か訊かれたら厄介な事になる。


俺は取り合えずベットに横になった。
一人で考えたい事は山ほどある。

頭の上で手を組み、明るい昼前の青空を見た。
窓に映る雲は素肌に模様を描く。


アイツは…***は…
俺の事をどう思っている…?

雪に埋もれた時の、消えないあの顔。
小屋で一晩過ごしたあの静けさ…忘れられない。

もどかしい…
決して好意なんかじゃない。


でも気になる。
此れはただ自分に言い聞かせているだけなのかもしれない…


『俺は***が…好き…?』


かざす手を握り締める。
好き…?はは…笑わせる。

あんな酷い事をしておいて。
あんな酷い事を言っておいて。
***が?

自分の心に唾を吐きそうだ。


鮮明に浮かぶあの顔…
俺が崖から落ちそうになった時。
助けてくれた。

ユウキ。
お前はあの時俺を助けなかっただろう?
お前とあの女は違うのか…?



俺ニハ分カラ無イ…



人は動物と違って。
生きる事以外に必要とするもの、大切なものがあるという。
俺は其れを不要な物だと貶してきた。
多分…今も…

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生意気な餓鬼。 index