哀れな外国人を装って情報収集した結果、非常に厄介なことが分かった。
公用語はジャポン語、ではなくニホン語。ただし口語はハンター語。
ハンター協会が認知されておらず、ライセンスも身分証として使えない。
通貨はエン。だが呼び方が違うだけで紙幣や硬貨はジェニーと同じ。
口座は全滅。取り扱えるATMがひとつもなかった。
総評。ホームレスまっしぐら。
「マジで、ここが、どこか、分からない」
抱えた頭が痛いのなんの。親父が遺跡ハンターだった関係上、子供の頃から世界各国を飛び回っていた。人よりは歴史だの文化だのの知識に深い自負がある。その俺が分からないというんだ。マジでヤバい。そして、俺の頭にある可能性が過った。
ここってもしかして、未来なんじゃね?
嫌でも目につくオーバーテクノロジーが俺にそう思わせた。特に交通の発展は目覚ましい。空を飛ぶのは飛行船ではなく飛行機という鉄の塊。汽車は電車や新幹線に取って代わられ、まだ数は少ないが車も電気で動くという。
中でもとびっきり魅力的だったのがターボエンジン付きのスケートボード。あれはいい。少し乗らせてもらったが、全力でぶっ飛ばしながらトリックを決めるのは爽快だった。
「なあこれどこ行ったら買える?」
「し、知り合いに作ってもらったから、どこにも売ってないんじゃないかなあ……?」
「マジかよ」
過去に戻ったら俺も誰かに作らせよう。心に誓ってスケボ少年とは別れた。
あらかたの情報収集を終える頃には、すっかり陽も沈んでいた。少々肌寒いが野宿できないほどでもない。金は財布の中の四万ジェニーしかないのだし、ホテルは諦めたほうが今後のためだ。
しかし、身分証なしでできる仕事なあ。この奇妙に発展した国にそんなものはあるのだろうか。犯罪だけは御免だぞ。
ひとまずコンビニで軽食を購入し、公園のベンチで食事を済ませてそのまま寝た。明日になったら仕事を探そう。天下のハンター様が職探しとは、世の中何が起こるか分かったもんじゃない。
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