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 外野でinfinityの面々が騒がしいが、構っていられない。なんだかんだで彼らに言いくるめられるような形になっていたけれど、そうだ、私がひとつのユニットだけに関わるわけにはいかない。SSの大仕事を終えたもう一人のプロデュース科の彼女は、今回のクラスマッチに関しては「お休み」にすることになっているし、言いつけてある。まあ彼女のことだから隠れて仕事をするかもしれないが、入院のこともあるし、そんなあからさまに動くことはないだろう。
 そうしてもう一度資料に目を落とす。改めて2Aの欄を見ると、確かにそこには『SASHIMI』とユニット名が刻まれていた。SASHIMI、さしみ、刺身…。一瞬、聞き間違いかと思ったけれど、どうやら本当にあの刺身で間違いないようだ。何がどうなってそんなユニット名になったのかわからないけど、センスがありすぎて困る。

「しかし君たちもなかなか…いや、かなりユニークなユニット名をつけたんだね」
「でしょでしょ! ユニット名にするには少しユニークすぎるかなって思ったんだけど、オレたちなりに色々考えて、三人の特徴や好きなものを生かした名前にしたんだよ〜!」

きらきらした顔で笑うスバルくんのその言葉に、嘘は微塵も見えなかった。それに頷く颯馬くんもアドニスくんもまた然り。光り物……が好きなスバルくんに、THE・日本文化の颯馬くん、食を大切にするアドニスくん。まあわからなくはない。発想とそれを思いついちゃう3人の可愛さはスゴイと思う。ほんとに。

「いやユニークっていうか、そんなレベル超越してむしろギャグでしょ」
「そこ、余計なこと言わない」

呆れてものも言えないような泉を軽く肘で小突く。ギャグでもなんでも、可愛いからいいでしょ!

「うまそうな名前でいいじゃないか! 俺は好きだぞ!」
「度し難い…が、当人たちが良いのならそれが最適解なのだろう」

一方で肯定組? の千秋と敬人。まあ確かに、このクラスマッチのためだけのユニットだし、当人達が納得しているなら周りがどうこう言う必要は無いだろう。

「しっかし北斗くんたちも来るかもなら、面倒なことになる前に私が先に2Aに行っちゃおうかな。書類も確認できたしね」
「不本意だけど、まあ仕方ないね。無駄な敵対視はされたくないし」
「ということで私は脱出します! スタジオにサヨナラバイバイ!」

誰かの静止の声も聞かず、私は多人数が収まっていた部屋から飛び出した。どうせスバルくんたちも教室に戻るんだろうし、一緒に行けばいいとは思うけれど、とにかくあれ以上あそこにいたら本当にinfinityを贔屓にプロデュースすることになりそうだからね! それにきっとすぐにまたスバルくんたちも追いかけてくるだろうから、今はとにかく走るっきゃねえ!