06
「ごめん! 遅刻しちゃった!」
素直に謝りながら、スタジオの扉を開ける。うう、この後泉に『十分遅刻とかありえないからぁ〜』って言われるんだ。そう思って心の準備をしていたのだけれど、……来ない。
あれ? と思って、下げていた頭を上げると。
「今日は僕たち『Infinity』のライブにようこそ、お姫様♪」
「お、俺たちが……お姫様(小声)を、まだ見たことのない境地に連れて行ってやらんこともない……」
「あーっはっは! 今日はアクションから少しばかり離れる! 大爆発は起こさないから安心してくれ、お姫様!」
「ちょっとぉ! 後ろ二人ふざけてんの!? やる気あるわけぇ!?」
……どうやら3Aの教室と間違えたようだ。扉をそっと閉じて出ていこうとしたけれど、中にいた人たちは目ざとく侵入者に気づいた。
「あっ、千夜。そんなに息を切らせて、何かあったのかな?」
「い、いや……扉を開けるとそこは『Knights』の打ち合わせだったはずなんだけど……」
「伊豆の踊子の引用か? 分かりづらいんだが」
「敬人の何気ない一言が プロデューサーを傷つけた」
「ついでに僕も傷ついたら、傷つきあった僕らは結ばれるのかな?」
「英智、貴様は千夜のボケに悪ノリするな、度し難い……」
にこにこ楽しそうな英智と、終始ローテンションの敬人。敬人のテンションが低いのは、どう考えてもさっきの奇怪なレッスンのせいだろうけれど……?
「おお千夜! スタジオにお邪魔しているぞっ!」
「やっほ〜千秋。『Knights』の皆はどこにいるか知らない?」
「うん? いや、ここには瀬名しか来ていないぞ?」
「だよね……」
じーっと泉を見つめる。今日の打ち合わせを連絡してきたのは泉に他ならない。どういう状況なの、これは!
「なに〜その目は? 良いでしょ別に、一足先にプロデューサー確保したってさぁ。こういうのは先手必勝、遅い奴の方が悪いんだからねぇ?」
「え? ……まさか、今から打ち合わせするのは『Knights』じゃなくて」
「『Infinity』――僕ら3Aのクラスユニットだよ、千夜。ほら、ここに敵の情報も全部載ってるからね」
英智がおもむろに取り出したのは、何やら分厚い書類だった。【クラスマッチ】と銘打ってある。もしかしなくても職権乱用です本当にありがとうございました。
「さぁ、千夜。まずは戦況確認をしてね。『Infinity』の勝利の為にも――良い策を練ってほしいな?」