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 いくら自分がうまい具合に引っかかってしまったことを悔やんでも仕方がない。とりあえず、だ。英智が差し出したその書類を手に取り、目を通す。まあ元々書類を確認することは予定にもあったのだから、状況以外は結果オーライ…といったところか。ぺらりと一枚目の紙をめくるやいなや、英智がそれはそれは楽しそうにふふ、と笑った。

「僕たちも先ほど見たばかりなんだけどね。どこもなかなか面白いユニットになっていて、ますます楽しみになってきたよ」
「いやここも相当面白いユニットだと思うけどね」
「アレだな! 個性の塊というやつだ!」
「はぁ? 守沢がそれ言うわけぇ〜?」
「そして泉がそれを言うわけぇ〜?」
「ちょっと、俺の口調真似しないでくれる?」
「ああもう度し難い! いいから千夜はさっさと書類を読まんか!」

べしりと敬人に頭をはたかれて、はーいと我ながらお気楽な返事をする。そうして改めて書類に目を通すと、そこには各クラスで決まったユニット一覧が書類にびっしりと明記されていた。
 上から1-A、1-B…と順に書かれている書類は、先生が作ったのか誰が知らないがごちゃごちゃと読みにくいレイアウトとなっていた。その中でもやはり目に付くのは、強豪ユニットに所属している者たち…。公正にユニットを決めても、何故だか強いものは固まってしまう傾向にあるらしい。
 先ほどひなたくんは友也くんと組んだと言っていたが、ユニット名は『Color!』……なるほど、あのふたりらしいユニット名だ。一方でもうひとつ目に付くのは創くん、鉄虎くん、翠くんのユニット『Ca*rrots』。Ra*bitsのもじりかな……? にんじんってチョイスがよくわからないけど、可愛いからなんでもよしとする。あと一年生で気になるの1BのBoundと、……メンツ的には司くん、桃李くん、忍くんのところがいろんな意味で気になるけど、ユニット名が書いていない。

「この桃李たちのユニットも含め、名前が決まっていないユニットもいくつかあるんだよね」
「まあ司くんと桃李くんだと、ユニット名決めるのも大変だよねえ……はっはっは、忍くんも大変だなあ」
「どこのジジイだお前は」
「なに、しがない平安時代のジジイだ」
「? 千夜は何を言っているんだ?」
「千秋のそういう急に冷静になるとこほんとキツイ」

キツイしほんとにずるいと思う。一時でもお綺麗な天下五剣のふりくらいさせてくれ。

「どうでもいいけどさぁ、そこよりもうちのクラスのやつらが永遠に決まんなそうなんだよねぇ」
「え? 3Aってあとは……」

言いながら泉に指さされたところを見て、思わず吹き出しそうになった。というかちょっと吹き出した。

「えっなにこれ薫くんに斑に宗って……やばいでしょこれ、やばいでしょこれ!」
「そう、本当に……『面白い』ユニットになったよね」

面白い、面白すぎる。というか正直面白すぎて戦略考えるどころじゃない! なんて言ったら怒られそうだから言わないけど! 我ながらこの企画を発案した私天才かもしれない臨時ユニット最高!

「ところで君の幼なじみくん……月永くんは流星隊の深海くんと……そうか、つむぎと組むんだね」
「『CHAOS』か……当てはまりすぎる名前をつけたものだな」
「ああそれ私がつけたんだよ」

 あっけらかんとそう言うと、え、と全員の視線が私に向けられた。

「いやあ、レオに「カオスなユニットになったね」って言ったら、「それいーな!」って……」
「王さまらしいというかなんというか……」
「奏汰も青葉も流されるままって感じだろうなあ」
「ふふ、安直で素直な名前だよね」
「いやそれを言ったらここも相当安直でしょ」

ずばりと言い切れば、英智はなんのことかな? とわざとらしく微笑む。わかっているくせに、と口を突っぱねれば、彼はもう一度にこやかに笑った。

「『infinity』、無限……。いかにも英智がつけそうな名前だもんね。さしずめ無限の力が発揮できるユニットってとこかな?」
「さすが千夜だね、かっこいいでしょ? 信頼する敬人に、流星隊のリーダーの守沢くん、Knightsの実力者である瀬名くんに 僕。ふふ、我ながらぴったりの名前になったと思うんだ」
「自分の力を過信するなよ英智」
「いつか瀬名たちとやっていたライブのユニット名を思い出すな! 忘れたけど!」
「『ナイトキラーズ』。あのムカつく名前ね〜」
「どういうことかな君たち?」
「落ち着けそのままの意味だ! 早く逃げろ!」
「お前はそのよくわからないネタをやめろ」