曖曖
ボルサリーノは北の海に掃いて捨てるほど存在する薄汚い孤児の一人だった。
一つ、他の孤児と違う点があるとすれば、悪魔の実――――それも希少な自然系であるピカピカの実を食べた能力者であることだ。
しかし、ボルサリーノは偶然得たこの能力でどうこうしようという気持ちはさらさらなかった。ボルサリーノという幼子は他人にも、自分自身にすらも興味がなく、あるのは知識欲と好奇心だけだった。だから、本さえ読めれば他はどうでもいい。食事は生命を維持できるだけの最低限の栄養さえ得られればゴミでも口にしたし、硬い地べたでも冷たい雪の中でも問題なく眠ることができた。
そんなボルサリーノはひょんなことからそこら辺に掃いて捨てるほど存在する薄汚い孤児から、海軍の頂点である元帥――――サカズキの庇護に置かれることになった。何故そうなったのかと聞かれると、ボルサリーノにもよくわからない。
■■■
その日はいつものように倒壊寸前の廃屋で寝ていたら、運悪く雪崩に巻き込まれて生き埋めになってしまった。と言っても能力を使えばすぐにでも抜け出せるため、ボルサリーノは泣いたり喚いたりせず雪の中で真白の世界をぼーっと眺めてまったりしていたのだが、突然視界が白から赤に変わったかと思うと、ボルサリーノを包んでいた雪がすべて溶かされていたのだ。何が起きたのか分からずにキョトンとしていると、ボルサリーノの小さな身体を大きな何かの影が覆い、気づいた時には自分の何倍も大きな二つの手のようなものに掬いあげられていた。
それが人の手であるかどうか、ボルサリーノには咄嗟に判断がつかない。なにせ、それはまるでたった今噴火したばかりのようにボコボコと気泡を立てながら湧き出る灼熱のマグマなのだ。ボルサリーノは自然系の能力者であるためマグマに触れても肉体は無傷だが、雪深い国で生まれ育ったボルサリーノが感じたことがないほどに熱いそれに、ただただ驚いた。自分が能力を持たない普通の子供であったら、たちどころに溶けて骨まで残らないであろう。
ボルサリーノはそろりと顔を上げて、マグマの主たる人物の方を窺う。ボルサリーノを抱き上げているのは人間で、壮年の男だった。顔は目深に被られた帽子でよく見えないが、男は茜色のスーツを身にまとい、子供であるボルサリーノの目から見ても鍛えられた逞しい身体つきをしていた。
寒村ばかりのこの国で、こんなに上等な服と恵まれた体格をしている大人は見たことがない。ということは、余所者なのだろう。旅人、という雰囲気ではない。見るからに只者ではない空気を纏っている。
(もしかしたら、海賊、かも……)
ボルサリーノは息を殺してじっと見つめていると、不意にそれまで見えなかった男の双眸がボルサリーノを捉えた。肉食の獣のように鋭く、それでいて燃え盛る炎のような眼光に射抜かれる。しかし、不思議とボルサリーノは男を怖いと思うことはなかった。
「……こんなところにおったんか」
男が初めて声を漏らす。低く威圧感すら感じる声音なのに、まるで迷子が親を見つけた時のような安堵を感じる響きがあって、ボルサリーノは思わず首を傾げる。まるで知り合いかのような口ぶりだが、男とは会ったことがないはずだ。
人違いじゃないかとボルサリーノが口にするより早く、男の太い腕の中に閉じ込められてしまう。
ボルサリーノは他人と触れ合うのがあまり得意でない。それが見ず知らずの人間に突然抱き締められらたら尚のことだ。光になれるボルサリーノなら、男の腕から抜け出すことなど容易だった。
なのに、ボルサリーノは男の熱が、ぬくもりが、決して嫌だとは思わなかった。むしろ、人間として欠けた部分の多いボルサリーノの隙間が埋まっていくような、そんな気さえしていた。
遠慮がちに、男の首に手をまわして抱き返してみる。すると一層強く抱きしめられて、少し苦しいくらいだ。けれどその苦しさが心地いいと感じるのは、一体どういうことなのか。
「帰ろう」
そう言って、男はボルサリーノを抱いたまま立ち上がる。彼が何者なのか、どこに帰るのかもわからないが、ボルサリーノはただ「うん」と頷いて岩漿を纏う男に身を委ねた。
■■■
それがサカズキとの出会いだった。
後に彼が海兵であることを説明された時、なるほどなと納得した。海兵が孤児を引き取ることは割とよくある事だったからだ。
「わっし、サカズキさんの子になるのォ?」
海軍本部のお膝元、ニュー・マリンフォードの城下町に建てられた立派な屋敷にボルサリーノを連れてきたサカズキは、その言葉を聞いて眉間に深いシワを刻んだ後、ゆるく首を振った。
「養子にはせん、わしはおどれを自分の子とは思っちょらん。あと、わしのことは呼び捨てでええ」
「でも……」
「ええんじゃ。わしはおどれに対等でおってほしい」
サカズキの言葉に、ボルサリーノはますます訳がわからなかった。祖父と孫ほどに歳が離れた、しかも元は小汚い孤児相手にサカズキのような地位のある人間が対等を望むなんて。
サカズキの真意は杳として不明だが、ボルサリーノとしても悪い気はしない。ボルサリーノはその齢にしてはかなり賢い子供で、賢い子供というのは得てして大人扱いされたがるものだ。
「わかったよォ……サカズキ」
「ふ……ええ子じゃ」
ボルサリーノの答えに満足したように目を細めたサカズキが、不器用な手つきでボルサリーノの癖毛を撫でる。それが嬉しくて、ボルサリーノはへにゃりと相好を崩すと自ら頭を擦り付けた。
■■■
それからの生活はボルサリーノにとってまさに天国のような日々だった。
サカズキはボルサリーノにたくさんのことを学ばせてくれた。文字の読み書きや簡単な計算、世界の地理、科学、そして剣術。本も毎日のように新しいものを買ってきてくれる。それに加えて毎日三食美味しい食事も与えられ、風呂にも入れるし夜はふかふかの布団で眠ることができた。
サカズキは仕事で日中は留守にしていることが多い。この大きな屋敷には使用人などはおらず、正真正銘サカズキとボルサリーノの二人暮しだった。
サカズキがいない間好きなことをしていてもいいが、決して屋敷の外には出ないこと。サカズキ以外の者とは決して会わないこと、話さないこと、触れないこと。サカズキはその二つの言いつけを絶対に守るようにと鬼気迫る勢いで念を押してきた。その尋常ではない様子に疑問を抱かないでもなかったが、知らない土地で友達もいないし、元より外で大人数で遊ぶより一人で読書や勉強をしている方が好きなボルサリーノは、素直にサカズキの言うことに従った。
やけにボルサリーノが外界と接触することに嫌悪感を顕にするサカズキだったが、もう一つ不可解な行動があった。
それは、ボルサリーノの身体に触れてくることだ。初めて出会った時のように抱きしめられたり、寝ている時に頬を撫でられたりするだけならまだ良かったのだが、ボルサリーノの身体の至るところにキスをしてくるのだ。
決して嫌ではない。もちろん最初は驚いたが、今ではもう慣れっこである。しかし、以前よりも沢山の本を読むようになってから、サカズキがボルサリーノに行う触れ合いは、大人と子供というより。いわゆる恋人同士の愛情表現のようだった。
今だって、サカズキはボルサリーノの小さな唇を貪っている。小さな口内を舌で蹂躙しながら、サカズキは大きな手でボルサリーノの胸や腹、太腿をまさぐっている。
「んっ、ふぅ…サカズキぃ……くすぐったいってばァ……」
「…………嫌か、ボルサリーノ」
ボルサリーノの制止の声に動きを止めたサカズキが、ボルサリーノの顔を覗き込む。ボルサリーノは慌てて首を横に振った。
「そ、そうじゃないけどォ……あっ!やぁ……」
サカズキは再びボルサリーノへの愛撫を再開する。首筋に顔を埋めたかと思うと、今度はちゅうっと吸い付いてきて、チリリとした痛みを感じた。既にボルサリーノの首筋には……首筋だけではない、肌という肌にサカズキがつけた夥しい数の所有印が散っていた。
サカズキは毎日、こうしてボルサリーノの身体を弄ぶ。
「ボルサリーノ、気持ちええか」
「あぅ…ッ、わ、わかんないよォ……ひゃあん!」
サカズキの手の動きに合わせて、ボルサリーノの口から甘い声が漏れる。幼いボルサリーノはそれが快感であることは理解できなかったが、身体の方はサカズキの手によってすっかり快楽を覚えこまされていた。サカズキがボルサリーノの乳首を摘み上げると、ビクリと身体を震わせて反応する。
「やらっ、おっぱい、触っちゃだめェ……!」
「ほう……何故じゃ?」
「だ、だってぇ……っ、なんか頭とお腹がビリビリして、変になるんだよォ……」
ボルサリーノの言葉を聞いて、サカズキはニヤリと笑う。
「ほうか、なら止めにしちゃる」
そう言うと、サカズキはボルサリーノの胸からあっさりと指を離す。ボルサリーノは物欲しそうに顔を蕩けさせて目で追っていることなど気づいていない。
「そんな顔をするな……代わりにこっちを可愛がってやるけぇ」
サカズキはボルサリーノを抱え直して両脚を大きく開かせると、浴衣の裾に手を差し込んで小さな後孔を指でなぞる。
「ひっ……!やっ、サカズキッ、そこ、汚いからァ……」
ボルサリーノは羞恥から顔を真っ赤にして抵抗するが、サカズキは聞く耳を持たない。用意していた潤滑油を手に取り、後孔と指にたっぷりとまぶすと
、つぷりと中に差し入れた。
「ああぁっ!……やっ、痛いよォ……っ」
「大丈夫じゃ、すぐに良うなる」
毎日のようにサカズキによって解されているそこは、男の太い指を容易に飲み込みきゅうと貪欲に締めつける。ボルサリーノの息が落ち着き、馴染んできたタイミングでサカズキはゆっくりと指を抜き差しし始めた。
「ん、ふぅ……あ、やぁ……サカ、ズキィ……」
異物感に吐き気が込み上げてくる。今すぐやめてほしいはずなのに、腹の内側をぐりぐりと抉られたり、トントン……と優しくノックされると、腹の奥がぞくぞくと震えて堪らない心地になってくる。
「あ、あ、やっ、それやめてェ……っ、へんになるゥ……ッ」
「ちゃんと気持ちようなれとる証拠じゃ。ボルサリーノは覚えが早いのう」
サカズキはボルサリーノの頭を撫でながら、もう片方の手ではナカを掻き回すように動かしている。ボルサリーノは頭がおかしくなりそうな感覚を必死で耐えていたが、徐に指を二本、三本と増やされバラバラと動かされると、ついに我慢できずに悲鳴を上げた。
「あぐぅ……!ぐ、くるしいィ……や、やだよぉ……サカズキ、助けて……」
「もう少し辛抱せい。だいぶ解れたけぇ……そろそろ頃合じゃろう」
ずるり、と後孔からサカズキの太い指が引き抜かれる。その刺激ですら今のボルサリーノにとっては苦痛だった。
いつもならこのまま風呂場に行って湯に浸かり、床にはいって彼の腕の中で眠るのだが、今日は違った。サカズキは畳の上に敷いた布団の上にボルサリーノを横たえると、乱れて役目を果たしていない浴衣を剥ぎ取ってしまう。肌寒い季節ではないが着るものがないのは非常に心許なく、もじもじと太腿を擦り合わせて身を縮めようとするが、それもサカズキの大きな手で阻まれてしまった。
「隠すな」
「でも……わっしだけ裸は恥ずかしいよォ」
「わしも脱ぐけぇ、恥ずかしがる必要はない」
サカズキは言葉通りに帯を解き着物を脱いでいく。鍛え上げられた鋼のような身体が露わになる。サカズキの身体は風呂で見慣れているが、ただ一点、股間の部分だけが見たこともないほど猛々しくそそり立っていた。
「ひっ……?!」
サカズキの割れた腹筋につきそうなほどに反り返るそれは赤黒く、血管が浮き出てドクンドクンと脈打っている。亀頭はボコリと大きく、先端からは既に透明な液体が滲み出ているのがまるで未知の生物が涎を垂らしているかのようだ。
あまりの大きさとグロテスクさに、ボルサリーノは思わず小さな悲鳴を上げて目を逸らす。しかし、サカズキはそれすら許さないとばかりにボルサリーノの腹の上に長大な肉棒をどさりと置いた。
「ぁ……、」
ドクドクと脈打つ熱塊はボルサリーノの臍をゆうに超え、奥の奥まで届いてしまいそうだ。ボルサリーノは恐怖から身体を強張らせる。
サカズキは自身の肉棒を掴みボルサリーノの後孔にあてがった。
「やっ……!何するの?怖いよサカズキ、ねぇ……っ」
「おどれの全部をわしのもんにする」
ギラギラと獣のように剣呑な光を宿したサカズキの目を見て、ボルサリーノは彼を止めることはできないと悟ってしまった。
「やだっ、やだやだァ……!サカズキ、お願いだからやめてェ……っ」
細い手足をめちゃくちゃに動かして抵抗を試みるも、子供であるボルサリーノが敵うはずもない。能力を使えば逃げ出せるのではないかと考えたが、それをしてしまえばサカズキを裏切ることになるとこの期に及んで躊躇いが生まれる。
サカズキはボルサリーノのささやかな抵抗など意にも介さず、暴れる両脚をその大きな手で一纏めにして持ち上げてしまう。
「ボルサリーノ……わしを拒むな」
サカズキはもう片方の手でボルサリーノの頬を撫でると、ゆっくりと腰を進めた。
「ひぎっ!?ぐぅ、うあぁぁぁッ!!」
メリメリ、と太く長い肉棒で無理矢理ナカが割り開かれ、ぶちぶちと嫌な音を立てながら狭い穴を押し広げていく。
「ぐっ、う、うぅ……っ、ひぅぅ……」
「……ッ、狭すぎる」
ボルサリーノの小さな後孔は限界以上に拡げられ、縁が裂けて血を流している。痛みで呼吸をすることもままならず、痙攣しながらはくはくと口を動かしていた。
「かっ、はっ……サカズキぃ……痛いよォッ、抜いてェ……!」
涙ながらに懇願するも、サカズキはあやすようにボルサリーノの額や頬にくちづけるばかりで、行為をやめようとはしなかった。
ゆっくり、それでいて着実に肉棒が奥まで侵入してくる。内蔵が押し潰され、腹の中を掻き回される不快感にボルサリーノは込み上げてくる吐き気を抑えながら嗚咽を漏らすことしかできない。
「ふぐ、う゛っ……ぐるぢぃ、」
「あと少しじゃ、辛抱せぇ」
ナカも切れてしまったのか、出血で滑りが良くなったおかげで徐々にではあるが挿入が進んでいく。
目の前が真っ赤になったり真っ暗になったりを繰り返しながら、ボルサリーノはサカズキの太い腕に柔い爪を立ててただひたすらに耐えた。
「……これで、全部入ったぞ」
ようやく全て入りきると、サカズキはボルサリーノの薄い下腹部を愛おしそうに撫でた。
「ボルサリーノ、ここにわしのがあるのがわかるか」
「ぁ……え……?」
サカズキは意識を朦朧とさせ、四肢を投げ出してぐったりとしているボルサリーノの手を掴み、腹に触れさせる。ぼこりと不自然に盛り上がった己の下腹部にボルサリーノは愕然とした。
「動くぞ」
「ま、待ってサカズキ……!お゛っ、あっ、うあぁぁッ!」
ナカに収まっているだけでも尋常ではない痛みと圧迫感を感じていたというのに、サカズキはボルサリーノの返事を待たず律動を開始した。
「ひっ、ぎっ……!ぐ、あ っ、やめっ……いだいィッ、やらァ……っ」
内臓が引き摺り出されるような感覚にボルサリーノは絶叫する。サカズキはそんなこと気にせずにガツンガツンと容赦無く腰を打ちつけている。抽挿の度に亀頭はずっぽりと結腸口に嵌り、未熟な身体は快感よりも痛みを強く感じ取る。
「う゛っ……ぇ、おえぇッ……!」
ついに限界がきて、ボルサリーノは腹の中に溜まっていたものを吐き出した。元より少食であるため量は少なかったが、鼻をつく独特の刺激臭が辺りに立ち込める。
「ごほっ、げぇっ……!はーっ、はーっ……サカズキ、ごめ……んぐっ?!」
涙でぼやける視界の端で、吐瀉物がサカズキにまで飛び散ってしまったのが見え、慌てて謝罪を口にしようとすると、サカズキは何の躊躇いもなくボルサリーノの汚れた唇を塞いでしまった。子供心に自分が吐き出したものを舐められるのには抵抗があった。
口元も咥内も丹念に舐りとられ、胃液で熱くなった舌を味わうように絡めて離さない。
「んむっ、ぷはっ……!サカズキィ……きたないから、だめェ……っ」
「はっ……全部わしのもんと言うたはずじゃ」
サカズキは一通り汚れを舐めとると、再び腰の動きを再開させた。後孔から抜け落ちそうなほどギリギリまで引き抜いたかと思うと、今度は奥まで一気に突き入れる激しい抽挿を繰り返す。
ブチブチ、メリメリ、と身体の中から肉が裂け内蔵が押し潰される嫌な音が聞こえてくる。ボルサリーノの視界は真っ赤に染まり、チカチカと火花が弾けた。
「がっ、はっ……!いぎぃぃっ!!いだいっ!さ、サカズキィ、もぉやらァ!しぬ、しんじゃうゥッ!」
自分を押さえつける大木のように太く硬いサカズキの腕に爪を立てて必死に抵抗するが、ボルサリーノの指先から血が出るほどに力を込めてもサカズキはびくともしない。
「お゛っ……ご、おぉぉっ……!」
どちゅっと最奥を穿たれる度に吐き気が込み上げてくるが、先程嘔吐したため胃の中は空っぽになっていた。
後孔からは絶えず出血しておる、耐え難い痛みと苦痛でボルサリーノの意識は混濁していく。肉人形のようにされるがままに揺さぶられる中、狂気の沙汰としか言いようのない様子でボルサリーノの身体を蹂躙するサカズキの顔だけがやけにハッキリと見えた。
「ボルサリーノ、ボルサリーノ……!」
サカズキは何度もボルサリーノの名を呼びながら激しく腰を打ち付ける。
その表情は息も絶え絶えなボルサリーノより余程今にも死んでしまいそうな必死さと焦燥感を帯びていて、まるで母親を探す幼子のようにも見えた。
何故サカズキがそんな顔をするのか、何故自分などに執着するのかは理解できなかった。しかし、ボルサリーノを求めるサカズキの姿を目の当たりにして胸の奥に湧いたのは愛おしさだった。
海軍元帥という地位を持ち、常人では到底手の届かない高みにいるはずの男が、この世界に掃いて捨てるほど存在する孤児であるボルサリーノなぞに縋っている。
なんと哀れで愛おしいのだろう。
「ボルサリーノ……?」
「いいよォ……わっしをあげる」
気付けばサカズキの首に腕を回していた。サカズキの瞳が大きく見開かれる。
「サカズキの好きにしていいよォ、わっしが全部受け止めるから……」
ボルサリーノがそう呟いて微笑んだ瞬間、サカズキはボルサリーノの肩に噛み付いて勢いよく牙を突き立てた。
「ひぐぅっ!?あ あぁぁぁッ!!」
鋭い痛みに思わず悲鳴が上がる。しかし、ボルサリーノはもう抵抗はしなかった。
「ボルサリーノ……ボルサリーノ、わしの……わしだけのもんじゃ」
「うん、そうだねェ……サカズキのものだよォ」
サカズキはボルサリーノの肌に次々と噛みつきながら、獣のような荒々しさで犯し続けた。
身体中に歯形が刻まれ、腹の中の内臓は滅茶苦茶になっていることだろう。それでもボルサリーノは抵抗はせず、ただサカズキを受け入れる。
「は、ぁ……ッ、ボルサリーノ、出すぞ……!」
「かひゅ、ひゅー……げほっ、お ぇッ、いいよォ……ひぐ、おいでェ……」
ボルサリーノは両手を大きく広げてサカズキを受け入れ、中で脈打つ肉棒が熱い飛沫を放つのを感じた。
ボルサリーノの薄い腹は注がれ続ける夥しい量の精液によってぽっこりと膨らんでいく。
「ぐっ……ぅ、」
「んお゛ぉぉぉ……」
長い射精が終わり、サカズキは肉棒を引き抜くとようやくボルサリーノを解放した。栓を失った後孔からどろりとした白濁と血液が流れ出る。苦痛から解放されたせいか、ボルサリーノの小さな性器からショロショロと小水が漏れ出し、血液と精液と混じり合い敷布に大きな染みを作っていった。
ボルサリーノは体力を使い果たし、ぐったりと布団に沈んだまま指一本も動かせない。下半身など特に酷く、痛みを通り越して感覚すらなかった。
「サカ、ズキ……」
なんとか名前を呼ぶと、サカズキはボルサリーノの髪を優しく撫でて頬にくちづけた。その安らかで穏やかな顔に安心し、ボルサリーノはゆっくりと瞼を閉じた。
■■■
その日を境に、ボルサリーノはサカズキの”妻”となった。
未熟な身体を無理矢理拓いたせいでボルサリーノの内臓は傷つき、一人で立つことも歩くこともできなくなってしまったこともあり、忙しいにも関わらずサカズキはボルサリーノの身の回りの世話を全て引き受けた。ピカピカの実の能力があれば移動に支障はないのだが、サカズキは頑として譲らず、ボルサリーノは大人しく世話をされるしかなかった。
ボルサリーノの生活のすべてがサカズキに支配されたと言っても過言ではない。食事も入浴も排泄も就寝も、何もかもサカズキがいなければボルサリーノは何もできない、という体で振舞っている。やろうと思えば自分でできるが、何よりもサカズキがそう強く望んでいるのだ。
ボルサリーノは己のすべてをサカズキに委ねていた。
「あぁっ!んぅ……ぐ、うぅ〜……ッ」
「ボルサリーノ、痛むか……?」
「ン〜、だい、じょーぶ……もっと、奥まできて」
「ほうか、ええ子じゃな」
「ふぁ、あっ!や、そこぉ……っ」
サカズキの太く長い肉棒がずぷずぷと後孔に飲み込まれていく。最奥の壁を亀頭で突かれると、脳天にまで痺れるような快感が走り抜けた。
あれ以来、サカズキは毎日ボルサリーノを抱いた。そうしないと眠れないらしい。
今でも圧倒的な体格差故に苦しさは感じるが、下半身の感覚が鈍くなったせいか痛みを感じることは少なくなっていた。むしろ、ボルサリーノもサカズキとの性交が病みつきになりつつある。
サカズキの肉棒がずるりと引き抜かれると、後孔が物足りなさを訴えてくる。
「サカズキ、抜かないでェ……まだ足りないよォ〜」
甘えた声でねだれば、サカズキはにぃっと口角を上げた。
そのまま一気に貫かれ、ボルサリーノの口から甲高い声が上がる。
「ひぎィッ!?あ、あ ぁぁああァッ!!」
ボルサリーノの細い腰を掴み、サカズキは激しく揺さぶり始めた。結合部からはぐちゅぐちゅという淫猥な水音が響き、二人の興奮をさらに高めていく。
「いぁっ、すごっ……サカズキの、おっきくて気持ちイイッ」
「ボルサリーノ……っ」
サカズキはボルサリーノの唇を塞いで舌を絡めとった。貪るような激しい接吻に呼吸すらままならない。
「んふゥ……ちゅっ……」
拙いながらにもボルサリーノも自ら舌を絡める。
こうして隙間なく身体も心も密着させていると、そのうちサカズキの熱でどろどろに溶かされてひとつになるのではないかと錯覚してしまう。
それはきっととてもしあわせなことだろう。
いつかその日が来ることを夢想しながら、ボルサリーノはサカズキに抱きつき、情事に耽るのだった。