oh my omega



*オメガバース

それなりに予兆というものはあった。
朝起きたらどこか怠そうな様子だったし、顔も普段より赤らんでいて、本人曰く微熱っぽいとのこと。年端もいかない子供相手ならまだしも、三十過ぎの男ならばあたたかくして一日ゆっくりと寝ていれば治るだろうと。この頃は夜なんか肌寒くなってきたから、季節の変わり目に体調を崩したのだろうと。いい大人が二人もいたのに楽観的に考えていた。
仕方ないから滋養のつく食い物でも買ってきてやる、いい子に待ってろよパパ。なんて揶揄いを隠さない声色で汗でしっとりとしているブロンドを撫でてやると、イーサンは意志の強そうな眉をつり上げ、ついでに一週間分の買い出しとコインランドリーに洗濯とクリーニング屋から厚手の上着を取ってこいと宣う。ここぞとばかりに扱き使いやがって、といつものように反発しかけたが、病人が相手だしここは自分が大人になってやろうと思い直し、女王陛下の命令通りに溜まった洗濯物を車に乗せて街へと向かう。
必要な食材や日用品の買い出しもコインランドリーの使い方もクリーニング屋の女店主との雑談にもすっかり慣れたハイゼンベルクは、丁度昼時にはすべてのミッションを終えて家路についていた。人気の少ない田舎道に車を走らせ我が家が見えてきたところで、開け放った窓から香ってきた、脳を蕩かすような甘ったるい匂いに慌ててブレーキを踏む。

「マジかよ……ッ、あいつ……ヒートだったのか……!」

イーサン・ウィンターズは見た目は普通の成人男性だが、その身体はE型特異菌という黴のようなもので肉付けされており、切り落とされた腕を回復薬だけで元通りにくっつけたり心臓を抉り取られても死なないなど、驚異的な生命力を持っていた。しかし、それも一年前……因縁の村でミランダを倒してからは多少頑丈なレベルまで落ちていた。きっと、娘を救い出すために力を使い果たしたのだろう。
そんな特殊な身体なせいなのか、遠い地でようやく生活が落ち着いた頃、クリスに命じられて受けた定期検査で驚きの事実が判明した。
それはβであったはずのイーサンの第二の性がΩへと変化していたのだ。
α同士のカップルの片割れが後天的にΩへと変化するビッチングという例が少なからずあるが、βがなんのきっかけもなく突然Ωになるなど世界的に見ても例がないと担当医は興奮気味に捲し立てていた。
幸いハイゼンベルクはαだったため、本人の了承を得て────紆余曲折がありすぎてここでは省かせてもらう────晴れて番となったわけだが、突然変異の影響なのか、イーサンは普通のΩと比べても苦労が多かった。
まず、ヒートの周期がてんで安定しないこと。もちろん個人差はあるが、一般的には平均して三ヶ月に一度の周期でやってくるはずのヒートが一ヶ月に一度だったり、かと思えば半年もこなかったりという特異体質だったのだ。
更にはヒートがきたらきたで厄介で、普通のΩなら一週間程度で終わるはずのヒートが一ヶ月以上続いたり、フェロモンの量が桁違いに多く、番であるハイゼンベルクがいるにもかかわらず他のαはもちろん、βをも惑わしてしまいトラブルに発展しかけたことも多々あった。
前回のヒートがつい二週間前だったこともあり、ハイゼンベルクもイーサンも完全に油断していた。まさかこんな短いスパンで再びヒートがくるなんて。

「マズイ、たしか抑制剤も切らしてたよな……!?」

だから家まであと数キロあるというのにイーサンのフェロモンが漂っているのだ。
この辺りは民家もなく人通りも極端に少ないため他のαを惹き寄せる心配はないだろうが、きっと今頃ひとりで耐えているに違いない。そう思うといてもたってもいられず、ハイゼンベルクはアクセルを踏み込んで家路を急いだ。

「イーサン!」

車に積んだ荷物をそのままに、ハイゼンベルクは一目散に玄関へと駆け込む。家の中はイーサンのフェロモンで溢れかえっており、番であるハイゼンベルクの理性をぐらつかせるには十分だった。しかし前回のヒートからそこまで時間が経っていないこともあり、イーサンの身体のことを考えればここで自分が理性を失うわけにはいかない。
落ち着け、と頭のなかで必死に唱えながらハイゼンベルクはリビングへと急ぐ。だが、そこにイーサンの姿はない。出かける前と比べてあちこち物がひっくり返されて妙に散らかっているのが気になるが、とにかくイーサンを探そうとハイゼンベルクはリビングを出る。
ここにいないということはおそらく自分の部屋にいるはず。階段を駆け上がりイーサンの私室のドアを開けるが、予想を裏切りまたしてもイーサンの姿はなかった。
肩透かしを食らっていると、向かいのハイゼンベルクの部屋から微かに物音がすることに気づく。何故自分の部屋に?という疑問は残るが、今はイーサンの安否確認の方が先だ。

「おい、イーサン?そこにいるのか」

声を掛けてからドアノブを捻る。すると、そこにはベッドの上でタオルケットに顔を埋め枕を大事に抱えて震えているイーサンがいた。
イーサンは一生懸命にハイゼンベルクが使っていたタオルケットに鼻を擦り付けて匂いを嗅ぎ、ヘコヘコと枕に股間を擦り付けている。着替える途中にヒートが来てしまったのか、パジャマの上だけを身につけ、下は何も身に付けていなかった。

「ぁ……っ♡んうぅ……♡は……ハイゼンベルク……っ」

色白の肌はどこもかしこも上気して薔薇色に染まり、涙やら汗やらで顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら、スンスンと小動物めいた啼き声を漏らしてハイゼンベルクを呼ぶ姿に思わず喉が鳴る。衝動的に襲ってしまわないよう、ハイゼンベルクは理性を総動員させてイーサンに近づく。

「おい、大丈夫か……」

「っ、うぅ♡大丈夫、な、わけないだろ……っ!」

ハイゼンベルクの姿を見つけ蕩けた表情をしたのも一瞬のこと、こんな状況でもイーサンはキッと涙に濡れた瞳で睨みつけて強気な言葉を投げつける。

「お前が……っ、洗濯物とか全部持ってっちまったから!俺、おれ……ちゃんと巣作りできなくて……!薬もないし、お前もいないし、巣作りもまともにできないで……おなか、さみしくて……も、がまんできないっ♡早くなんとかしろっ♡」

いや、洗濯物はお前が頼んだんだろ。と言葉が出かかったが、今言うべきことではないと流石に学んでいる。
枕を放り投げ、ハイゼンベルクの身体にグイグイと自分の肌を密着させながら「早く抱け」と強請ってくるイーサンについ手を伸ばしかけたが、無理をさせたくなくてなんとか踏み止まる。

「つっても、前のヒートが終わったばかりだろうが。買い出しで抑制剤も買ってあるから、今日はそれを飲んで……」

「やだっ♡お前は俺の番だろ!?いいから抱けよ……ッ♡もう、からだが疼いて……おなか、切ないんだっ♡たのむ、おねがいからぁっ♡」

思っているよりも限界だったのか、強気な態度だったイーサンもとうとうボロボロと涙を流して抱きつきながら懇願してくる。普段から素直じゃないイーサンが身も世もなく自分に縋りついてくる様は、ハイゼンベルクの理性を揺さぶるには充分で。

「……あとで絶ッッッッ対に文句言うなよ」

「ぅんっ♡うんっ、言わないっ♡♡いわないからぁ♡♡♡」

「ったく、本当にお前は……」

「あ゛ッ♡ひ……ぃい゛っ♡♡♡いきなり……っ♡♡♡」

イーサンの身体をベッドに押し倒し、ハイゼンベルクは前戯もなしにいきなり指を蕩けた蜜壷に突き立てた。ハイゼンベルクのペニスを心待ちにして濡れそぼったそこは、いきなり二本突き立てられた指を難なく飲み込みきゅうきゅうと締め付ける。

「あ゛ッ♡あぅ……っ♡♡んお゛っ♡♡♡指、や、ぁあ゛ッ♡♡♡ちんぽ♡ちんぽ挿れろよぉ♡♡♡」

「そう慌てんなよ……量より質、だろ?」

「ぁ゛、う……っ?♡わかんなっ♡♡あひぃっ♡♡♡しょこ、きもちぃ……ッ♡♡♡」

抑制剤で落ち着かせるのは諦めたが、今回は回数よりもじっくりねっとりと時間をかけて抱いて満足させるのが目的だ。
腹側のしこりをゆっくりと擦りながら、仰け反った胸の上でぷっくりと主張している尖りに吸い付く。決定打には程遠く、それでいて快感を燻らせてゆくような愛撫にイーサンは身悶え、ぐずぐずと鼻を啜る。

「あ、は……っ♡♡♡ハイゼンベルク、もっとぉ♡ちゃんと触れよぉ♡」

「ちゃんと?触れてるじゃねぇか、ほら」

「あ゛ぁッ♡♡♡ちがっ♡そこじゃなくてぇっ♡♡おねが……っ♡♡じぇんりつしぇんさわって♡♡♡」

ハイゼンベルクの手に自分の手を重ねながらイーサンは腰をくねらせて強請る。普段の彼なら絶対に口にしないような言葉だ。それだけ切羽詰まっているのだろう。

「んー……パパのイイとこはどこだぁ?ここかぁ?」

「んひっ♡♡♡い、じわるっ♡するなぁ……ッ♡♡♡」

ハイゼンベルクは意地の悪い笑みを浮かべてわざと見当違いな場所を掻き回したかと思うと、気まぐれにこりゅこりゅと前立腺を指でひっかく。その刺激にイーサンの身体は面白いほど跳ね上がり、ペニスの先端からはぴゅくぴゅくと先走りが溢れている。

「あ゛ッ♡ひ……ぃいんっ♡♡♡あーっ♡♡そこ、そこぉっ♡♡♡」

「ここか?お前の好きなところは」

「んうぅ〜〜〜ッ♡♡♡そこ、しょこっ♡♡しゅきぃっ♡♡」

焦らすような指の動きにいやいやと首を振りながらイーサンは自ら腰を動かし始める。早く熱を発散したくてたまらないのだろう。ハイゼンベルクのペニスを受け入れているかのようにヘコヘコと腰を振りたくる姿は淫らで愛らしい。

「あ゛ッ♡♡♡も……っ♡イく、イっちゃぅう♡♡♡」

「いいぜ、ほら」

「んお゛っ♡♡♡ぉ、あ゛ぁ〜〜〜〜ッッ♡♡♡」

ぐりゅっ!と強く前立腺を押し潰されてイーサンは呆気なく絶頂した。ペニスからは勢いのない精液がこぷこぷと溢れている。しかし、ヒート中のΩの性欲はこんなものでは治まらない。
ハイゼンベルクは今度は更に指を増やし、先程焦らしていたのが嘘のように前立腺ばかりを執拗に責め立てる。

「ま、まっへ♡♡♡イッたばっかり、だからぁ♡♡♡あ゛ッ♡♡お゛っ♡んぉお゛っ♡♡♡」

絶頂の余韻が抜けきらず敏感になっている身体に、容赦なく快楽を叩きつけられてイーサンは身悶える。しかしハイゼンベルクはそんなイーサンに構うことなく指を動かし続けた。
空いてい方の手で乳首をカリカリと引っ掻いたり、時折強く引っ張ったりと刺激を与え続ける。その度イーサンの身体は面白いほどビクビクと跳ね上がり、ペニスからは押し出されるようにして白濁が溢れる。


「あ゛っ♡んお゛ぉッ♡♡♡また、イッちゃ……ッ♡♡♡ひぎぃいいいっ♡♡♡」

「ん、沢山イけて偉いなぁ。さすがは俺の見込んだパパだよ」

「いぐっ♡♡♡まらいぐうぅううッ♡♡♡も、やらぁ♡♡ゆびやだぁ♡♡♡」

「そうか?俺には悦んでるようにしか見えねぇけどな」

「ふ、うぅ〜……うっ、う゛ぅ〜……ッ」

「お、おい……マジ泣きかよ……」

さすがにいじめ過ぎたのか、イーサンは快楽からくる涙とは違う涙をボロボロと零し始めた。元々やさしく甘やかされるのが好きな質であり、番になってからはハイゼンベルク自身もイーサンの望むようにデロデロに甘やかして可愛がることが多かったため、こんな風に責められるのは慣れていないのだろう。

「俺がっ、出来損ないのΩだからいやになったんだろ!ひっ……だから、こんな……くそ、くそくそくそ野郎……!嫌なら番なんてやめちまえ!もう、お前なんて知らない……っ!あっちいけ!」

ぐしぐしと涙を拭いながらハイゼンベルクの腕から逃れようとイーサンは藻掻く。ヒートで情緒が不安定なのもあるだろうが、どうやら自分が出来損ないのΩであるということが相当コンプレックスになっているようだ。突然自分の身体が丸ごと変わっていたら、誰だって戸惑うし不安になる。何故かハイゼンベルクに対して意地っ張りなイーサンは、未だに弱みを見せようとしない。

「シー、シー……俺が悪かった。お前の身体に負担にならないよう前戯で沢山イかせて満足させようとしてたんだ……俺の独りよがりだった。な、機嫌直せよ……イーサン」

「…………」

「な?許してくれよ」

逃げようとするイーサンを抱き込み、耳元で囁く。すると、イーサンはおずおずとハイゼンベルクの背中に腕を回した。

「じゃあ、ちゃんと抱けよ……っ」

「ああ」

「やさしくしろ」

「勿論」

「…………キスしろ」

「仰せのままに」

ハイゼンベルクはイーサンの額にひとつキスを落とすと、そのまま顔中に唇を落としていく。そして最後に唇に吸い付くと、ゆっくりと舌を挿入した。
くちゅくちゅと舌を絡め合わせ、互いの唾液を交換するように深く口づけを交わす。イーサンもハイゼンベルクの舌の動きに応えるように辿々しくではあるが動きを合わせてきた。

「んっ♡んむ、ぅ……っ♡は、ふ……♡」

「イーサン、舌出せ。べーって」

「あ……?んぇ……」

言われるがままイーサンが舌を突き出すと、フルーツでも食べるみたいにそのままぱくりとハイゼンベルクは真っ赤に熟れた舌を口の中へと収める。そしてフェラチオをするようにじゅぽじゅぽと出し入れを繰り返した。
発情して熱を持った口内はどこもかしこも熱く潤んでいて、溢れてくる唾液で濡れたイーサンの舌は砂糖水で煮詰めたみたいに甘い。ハイゼンベルクは夢中になってしゃぶりつき、時折軽く歯を立てたりしてその甘露を堪能する。

「ん゛っ♡♡♡ふ、うぅうッ♡♡♡は……ぁ♡んむぅっ♡♡♡」

「はぁ、美味いな……」

険しかったイーサンの表情がとろんと蕩け、ハイゼンベルクの舌に自ら舌を絡めてもっとと強請る。

「ふ、ぁ……っ♡はひ……♡」

「気持ちいいなぁ?イーサン」

「あ、ぅう……♡きもひいぃ♡♡♡」

「素直になってきたな。それじゃあ……お待ちかねのこれ、挿れてやるよ」

ハイゼンベルクがボクサーパンツをずり下げると、完全に勃起したペニスが勢いよく飛び出す。赤黒く血管の浮いたそれはイーサンのものとは比べ物にならないほど立派で、玉袋もパンパンに膨れて重そうだ。
それまで抑えていたαのフェロモンを意識して放出すると、番のそれにあてられてイーサンのΩのフェロモンも急激に増していき、部屋中に噎せ返るほどの甘ったるい香りが漂い出す。

「は……ぅっ♡ハイゼンベルクのにおい……♡」

すんすんと匂いを嗅ぎながらイーサンはうっとりと目を細める。くたりと身体をハイゼンベルクに預け、ヒートの興奮状態のせいでうるうると涙の膜が張った青い瞳で、期待に満ちた視線をハイゼンベルクに向けてくる。

「どうやって抱かれたい?」

「ん……だっこ、して……だきしめて……たくさんキスしてほしい……♡」

「ふ……少し待っとけ」

ハイゼンベルクはサイドテーブルからスキンを取り出すと、慣れた手つきで自身のペニスに装着する。

「…………いらないのに」

「いや、いるだろ。お前今ヒートで妊娠し易くなってんだぞ」

「だってあかちゃんほしい……っ♡」

スキンの装着を不満そうに見ていたイーサンは、駄々っ子のようにいやいやと首を振る。Ωの本能なのか、それとも最愛の家族と離れてしまった寂しさからなのか。ヒート中のイーサンは子供が欲しい、孕みたいと頻りにねだってくる。
そんなことを言われたらハイゼンベルクとて本能に従って番に自分の子を孕ませたくなる衝動に駆られるが、それをしたら正気を取り戻したイーサンが後悔と罪悪感に苛まれることは目に見えていた。

「それはまた今度な」

「……前もそう言ってはぐらかした」

うそつき、とイーサンは唇を尖らせる。今日はいつも以上に子供っぽい仕草が多い。

「そう拗ねんなって」

「拗ねてない……っ、あ♡」

ハイゼンベルクはイーサンの身体を抱き上げて自分の上に座らせると、いわゆる対面座位の体勢をとる。そしてイーサンの尻たぶを両手で掴んで左右に割り開く。愛液を滴らせはくはくと開閉を繰り返す後孔に亀頭を押し当ててズリズリと上下に擦りつけてやると、それだけでイーサンは腰をかくかく揺らして喘いだ。

「あ……♡ぁ……♡」

「はは……すっげぇな。俺の方が食われそうだ」

ハイゼンベルクが亀頭を後孔に引っ掛けてちゅぽちゅぽと浅い出し入れを繰り返すと、イーサンはいやいやと首を振って身悶えた。

「うぅう……♡ファック、ばか、くそやろ……お゙ぉぉっ!?♡♡♡あ゙っ、お゛ぉッ♡♡♡」

イーサンが油断した隙に、ハイゼンベルクは一気にペニスを挿入する。焦らされたせいで敏感になった肉壁をごりごりと容赦なく抉られてイーサンはガクン、と仰け反って絶頂した。後ろに倒れないよう背中に腕を回して支えてやる

「お……っ♡♡♡あ゛ッ♡イッた、いまイったからぁ♡♡まって、ちょっとでいぃからとま、んほぉぉっ♡♡♡」

「遠慮すんなって。待たせた分、存分に可愛がってやるよ」

快感の波が引かないうちに律動を開始され、イーサンはハイゼンベルクにしがみついてひんひんと啼く。

「あ゛ッ♡あぅ、んぉお゙っ♡♡はひ……ぃいんっ♡♡♡や、やらぁ♡♡きもちよしゅぎてしんじゃう♡♡♡」

「おーおー、死んじまうほど気持ちいいか」

「うん♡うんっ♡♡♡きもひいいよぉ♡♡♡もっとしてぇ♡♡」

ハイゼンベルクに抱きついて耳元で甘えた声で強請るイーサンの己の歯型が刻まれた項をべろりと舐め上げると、それだけで極めたらしく後孔がきゅぅううとキツく締まった。

「んひっ♡♡♡噛んでっ♡♡♡うなじ、かんでぇ♡♡♡」

「駄目だ。お前、噛むといっつもトんじまうだろ」

「なんでぇ……っ!やだやだっ♡♡♡たのむからぁ♡♡♡おねがいぃいい♡♡」

本当に普段もこの百分の一でいいから素直ならな……。そう心の中で独り言ちてハイゼンベルクは無防備に晒された白い項をガジガジと甘噛みする。やはり番の証が刻まれているからだろうか、イーサンの身体の中でも項は一等美味に感じられた。

「あ゛ッ♡んぉお゛っ♡♡♡ほぉお……〜〜〜ッッ♡♡♡」

イーサンは舌を突き出し、焦点の定まらない蕩けきった瞳でガクガクと痙攣しながら絶頂する。雄としての機能を剥奪されたペニスがピュッ、ピュッと情けなく潮を吹きお互いの腹を濡らす。ほんの一年ほど前までは妻と子供を持って雄の務めを果たし、幸せな家庭を築いていたというのに。今やハイゼンベルクの孕み袋に成り果ててしまったイーサンの姿に、僅かな哀れみと仄暗い優越感が湧き上がってきて、危うく射精するところだった。

「あ゛……っ♡んぅ……♡は、はぅう……♡♡♡」

「はは……まだトぶには早いだ、ろっ!」

「んぉお゛っ!?♡♡♡あひ……ッ♡ふ、かぃい♡♡♡」

完全に力を失ったイーサンの身体を抱え直して下から思いっきり突き上げると、すっかり降りきった子宮口まで亀頭が届き、行き止まりの壁をコツコツとノックする。

「お゙っ♡きたっ♡♡♡しきゅ、あたってぅ♡♡♡んぉッ♡♡♡ひぎっ♡♡♡お゛ぉっ♡♡♡」

傷つかないようにゆっくりと子宮を押し上げ、ゆさゆさと腰を回すように緩く揺すってやるとイーサンは何度も甘イキを繰り返した。ねっとりと絡みついてくる肉壁が絶え間なく痙攣し、子宮口はちゅぱちゅぱとハイゼンベルクの亀頭に吸い付いて射精欲を煽ってくる。我慢する意味もないのでイーサンの尻を鷲掴みにして固定し、ハイゼンベルクはピストンを速めた。

「あ゛ッ♡♡♡お゛っ♡んぉお゙っ♡♡♡」

「は……っ、出すぞ……!」

首筋に噛みつき、イーサンの身体をキツく抱き寄せるとハイゼンベルクは腰の奥から湧き上がる痺れにも似た快感に逆らうことなく精を吐き出した。どくどくと脈打ちながら大量の子種がスキンに溜まって膨れていく。その刺激でイーサンもビクビクと身体を跳ねさせ、やがてくたりと脱力してハイゼンベルクに寄りかかる。

「はひ……♡ん……っ♡♡」

子種を出し切ると、イーサンの身体をシーツに横たえ、ずるりと後孔からペニスを引き抜く。スキンの先端には大量の白濁が溜まっており、中出ししていたら一発で妊娠していただろうな、とぼんやり考えながら口を縛ってゴミ箱に放り投げた。どうせイーサンも一度では満足しないだろうからと新しいスキンを開封しようと手を伸ばすと、横から箱を奪い取られる。

「おい、何する……っ」

「こんなのいらない!意気地無しっ、αのくせに種付けひよって情けない奴……!この玉無しチキン野郎、ちんぽ腐っちまえ!」

スキンの箱を床に投げ捨て、イーサンはハイゼンベルクに馬乗りになって挑発してくる。人が柄にもなく優しくしてやっているのだから素直に受け止めておけばいいものを、何故この男はハイゼンベルクを煽るのか。
ハイゼンベルクは大きなため息をひとつつき、イーサンの腰を掴んでぐるりと体勢を逆転させた。

「あぁ?テメェ、人が優しくしてりゃつけあがりやがって……オラッ、そんなに孕みたいならお望み通り孕ませてやるよ!」

両脚を胸につくくらい折り曲げて、真上からどちゅんっ!と一気にペニスを挿入する。

「あぎ……ッッ!?♡♡♡」

今までセーフティセックスに努めていたため、生でのセックスは初めてだった。たかが数ミリといえど、隔てるもののない肉同士の触れ合いは格別な快感を生む。イーサンの方もスキン越しとは比べ物にならない熱と質量に、目を見開いて口をパクパクと開閉させている。爪先が可哀想なくらいピンと張り詰めたまま硬直しており、余程深いオーガズムに陥っているのだと分かった。
先程までのハイゼンベルクならイーサンが落ち着くまで待ってやるのだが、散々煽られてもう我慢の限界だった。

「挿れただけでキマッてんじゃねぇよ、イーサン・ウィンターズ。子作りはこっからが本番だろ?なぁ、パパ?」

「んぎゅっ!?♡♡♡お゛ッ♡♡♡あがっ♡♡♡んぎぃい♡♡♡」

杭を打ちつけるかのように容赦のない激しいピストンに、イーサンは舌を突き出して身悶える。
ごちゅんっ♡どちゅんっ♡ばちゅっ♡と肉同士がぶつかり合う音が部屋に響き渡り、結合部から泡立った白濁と愛液の混ざったものがぶびゅっ、ぶびゅっと下品な音を立てて吹き出す。
抜け落ちそうになるくらい引き抜き、そのまま一気に最奥まで貫かれるのを繰り返す。大きく張り出たエラが前立腺をこそぎ、亀頭が子宮口にめり込む破壊的な快楽にイーサンは身も心もバラバラになりそうなほどの衝撃を受けた。

「ひっ♡♡♡♡こわいっ♡♡♡んぉお゙っ♡♡♡こわいぃぃ♡♡♡ハイゼンベルクッ♡♡♡はいぜんべるくぅう♡♡♡」

「何が怖いだ、自分から煽ってきたくせに」

「んお゛ッ♡♡♡ごめ、なさ……っ♡んひぃっ♡♡♡らって、ハイゼンベルク、あかちゃんほしくないって言うから……っ♡♡♡おれは、ハイゼンベルクのあかちゃんがほしいだけなのにぃ……」

「…………ほしくねぇとは言ってねぇ。お前は発情期だから本能的にそう思っちまうだけで、本当にガキがデキたら後悔するに決まってんだろうが」

ハイゼンベルクだって出来ることなら今すぐにでも孕ませてやりたい。しかし、それは本当にイーサンが望んだことなのか?と問われれば答えは否だ。番のαの子を孕むという本能的な衝動で口にしているだけで、本心から子供が欲しいと思っているわけではないのだ。
だからハイゼンベルクは今まで避妊具無しでしたことは一度もなかったし万が一を考えて、ピルを処方して飲ませてやっていた。
……親に望まれない、愛されない子供の不幸は解っているつもりだからだ。

「ッ、いくらヒート中だからって自分の意思がないわけじゃないっ!確かにちょっと箍が外れるのは、その……認めるけど……お前と番になった時点で俺はそのつもりで覚悟決めてんだよ!いい加減、お前も覚悟決めろ!」

「イーサン……」

「大体、俺が好きでもない野郎の子供ほしいなんて、Ωの本能だからって軽々しく言うわけないだろ……っ」

イーサンはハイゼンベルクの首に腕を回して抱きつき、肩口に顔を埋める。
そうか。こいつはもうとっくに腹を括っていたのか。
ハイゼンベルクには家族というものが苦手だ。いや、嫌悪すらしていた。イーサンがΩになって、いざ自分にも血を分けた家族ができるかもしれないとなると、臆病になって逃げていたのだ。

「ハイゼンベルク……俺は、お前との子供なら欲しいよ。だから、」

「……悪かったな、イーサン」

「ん……」

イーサンはハイゼンベルクの謝罪に小さく頷いて返す。
そしてどちらからともなく顔を近づけると唇を重ねて舌を絡めた。ちゅくちゅくという水っぽい音が脳髄に響くようで気持ちいい。そのままゆっくりと腰を動かし、緩やかなピストンを再開する。今度はお互いが気持ちよくなれるように、イーサンが好きな浅いところを亀頭でぐりぐりと押し潰すように刺激してやる。

「んぉ゙っ♡♡♡あ、あっ♡♡♡そこぉ♡♡♡」

イーサンはハイゼンベルクの腰に脚を絡ませて自ら腰を押し付けてくる。思い切りしがみつかれて動きにくいが、正直悪い気はしない。

「は、イーサン……っ」

「お゛ッ♡♡♡あ、うぁあ゙っ♡♡♡はげし……っ♡んぉっ♡♡♡んぉおっ♡♡♡」

負けじとハイゼンベルクもイーサンをきつく抱き締め、追い詰めるように腰を振りたくる。

「んお゙っ♡♡♡イぐっ♡♡♡またイッちゃ……あ、あ゛ッ♡♡♡ひぎっ♡♡♡」

「……俺もだ。一緒にイこうな」

「うんっ♡いっしょがいいっ♡♡♡は、ぁ……っ♡も、だめぇっ♡♡♡くる、きちゃうぅう♡♡♡」

イーサンの下腹がひくんひくんと震え、限界を訴える。ハイゼンベルクはイーサンの喉仏に噛みつき、痕がつくほど強く吸い付いた。
そしてラストスパートをかけるようにペニスを子宮口に突き立てる。ぶるりとハイゼンベルクの腰が震え、熱いものが勢いよく吐き出された。

「あ、あぁ……っ♡中出し……♡♡♡きてるぅ♡♡♡ハイゼンベルクのせーえき……♡♡♡んぉお♡♡♡」

イーサンは嬉しそうに自分の薄い腹を撫でて、蕩けきった表情で微笑んだ。しかし、一向に射精が止まらないとなると焦った様子でハイゼンベルクを見上げた。

「んぉ、お……っ♡♡♡え……?なんれまだ出るのか……?♡♡♡も、お腹いっぱいだから♡♡♡ぬい、抜いて……んぉおッ♡♡♡」

「あー……わりぃ、抜きたくても抜けねぇんだわ」

「え……?」

イーサンが結合部を見ると、ハイゼンベルクのペニスの根元に瘤のようなものが膨れて後孔から抜けなくなっていた。

「なっ、なんだよこれ……」

「俺もなったのは初めてなんだが、本当に亀頭球ってあるんだな。いや、噂には聞いてたが……なら、きっと射精もあと三十分は止まらねぇってことだな」

「は……っ!?さ、三十分もこのままとか無理に決まってるだろ!?早く抜けよ!」

「仕方ねぇだろ、αの種付けは長ぇんだから……ま、しっかり孕んでくれや」

「んひ……っ♡♡♡あ、あっ♡♡♡だめだって♡♡ごりごりするなぁああ♡♡♡」

それから三時間後、幾度目かの種付けを終えようやく亀頭球が抜けきった頃にはイーサンは虫の息で声も掠れてしまっていた。

「ひ……♡♡♡もぉやだぁ♡♡妊娠したからぁ♡♡これで満足だろぉ?♡♡♡」

イーサンの腹はハイゼンベルクの子種でぽっこりと膨らみ、結合部からはごぽりと音を立てて白濁が溢れている。

「お前が孕みたいって言ったんだろうが」

「んぉ゙ッ♡♡♡おにゃか触るなぁ……♡♡♡」

ハイゼンベルクが腹を撫でると、それだけでイーサンは身体をビクビクと痙攣させて絶頂してしまう。本当に限界だったようで、イーサンはシーツに沈むように意識を失った。
ハイゼンベルクも隣に寝転び、後ろからイーサンを抱き締める。
汗で湿った髪に鼻を埋めたり、項を舐めながら腹を撫でたりしてイーサンの体温と匂いを存分に堪能しながら眠りについた。

- 4 -


prev | list | next

top page