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The First Incident






シュンッという効果音が付きそうで、しかし音も無く現場へと駆け付けた私は、人質が何人いるかなど、状況を居合わせた米花警察署の刑事たちに聞く。話しかけるとギョッとされたけれど、警察手帳を見せてアリスで氷を手のひらに作り出せば納得して教えてくれた。

人質は5人、犯人は3人。
犯人は銃を持っており、人質のうち一人がリーダーらしき男に銃を突きつけられている。そして男は金を用意しろ!!と喚いているそうだ。

ふむ、と私は考える。まずは銃を使えなくすれば良いのか。そうするには__と、そう考えていると相当急いで来たらしい警部や警部補たちの車が到着した。車を降り状況を聞く警部たちを横目に私はプランを頭の中で組み立てていた。


プランA。
銃を持っている犯人たちの手足を銃諸とも氷で固めて動けなくする。

プランB。
氷で固めるのではなく影を操ってこちらの意のままに動かす。


Bの場合、影を掴めるかどうかに確実性が無いのがリスクとなる。しかしAの場合であっても、もし犯人が剛力であれば氷が粉砕されてしまうかもしれない。どちらも貰った能力だから、ドバドバ使うわけにはいかないのだ。

……まあ、氷を粉砕できるような剛力、普通はいないか。うん、プランAでいこう。そう決めた私は目暮警部にそれを話す。と、そこにいたもう一人の警部(白鳥警部というらしい)も聞いていたようで、そんな無茶はさせられない!と止めに入ってきた。しかし私の上司である目暮警部がGOサインを出してくれたので、私はどこか室内に繋がるところを探し始めた。


上方に通気孔を発見したので、音をたてずにそーっと外していく。犯人は自分の喚き声で気付いていない。私は足台を下さい、と言って、それが用意できるまでに手や足など体の部位をとある順序で叩いた。

すると私の体の周りに張っている結界が厚くなる感覚がする。これは学園を出る前に私と兄とで決めた合図だった。決まった順序で触れるとそれが兄に伝わり、兄が結界を強固にしてくれるのだ。

私は結界の感覚を確認すると足場も確認し、よし、と息を吐いてそこに乗ると通気孔から中を覗いた。






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