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列車の走るレールの上を、魔道四輪が走る。

「これ…あたしたちがレンタルした魔導四輪じゃないじゃん!!!」
「鉄の森の周到さには頭が下がる。ご丁寧に破壊されてやがった」
『大方エリゴールだろうなァ。万が一にも追いかけられないようにってトコか』
「弁償かぁ…」

はぁ、とため息をつくルーシィ。領収書はマスター宛てにしとこうか、と尻尾は冗談めいて言う。

「ケッ…それで他の盗んでちゃせわないよね」
「借りただけよ!!!エルザが言うには」
「……な…なぜ僕をつれてく…?」

カゲが静かに問うた。

『怪我してたから。』
「しょうがないじゃない、町に誰も人がいないんだから。クローバーのお医者さんにつれてってあげるって言ってんのよ、感謝しなさいよ」
「違う!!!何で助ける!!?敵だぞ!!!」

怪我してたからって言ってんだろ。そう言うもカゲには聞こえないらしく、ぶつぶつとネガティブなことを言い出した。それを見て軽く息を吐く。

「うわー暗ーい」
『同意ー』
「死にてえなら殺してやろうか?」

軽いノリでルーシィに賛同した尻尾。これまで黙っていたグレイが口を開いた。

「ちょっとグレイ」
「生き死にだけが決着の全てじゃねえだろ?もう少し、前を向いて生きろよ。オマエ等全員さ…」
「………」
『いいこと言うじゃんグレイ』

尻尾がにやぁと笑った時、魔導四輪が大きく揺れた。

「きゃあ!!!」
『うわっ』

グレイの向かい側に座っていた尻尾と、カゲの向かい側に座っていたルーシィは席から投げ出される。尻尾はグレイが受け止め、ルーシィはお尻からカゲヤマに突っ込んでいった。

「だ、い丈夫か」
『いって…わり、グレイ』
「いや、…エルザ!!!」

尻尾の小さな体はグレイの腕にすっぽり収まっていた。尻尾から顔を逸らし、グレイはエルザの名を叫ぶ。

「すまない、大丈夫だ」
『エルザ、運転代わる』

エルザに代わりSEプラグを腕に嵌める。

「でけえケツしてんじゃねえよ…」
「ひーっ!!!セクハラよ!!!グレイこいつ殺して!!!」
「おい…オレの名言チャラにすんじゃねぇ」
『はははっ』

ふらつくエルザを座らせて、3人の会話に笑いながら運転席に着いた尻尾。

『さて、運転はあまり得意じゃねーが』
「はっ…そうだ!!待て尻尾!!!」
『飛ばすぜえ!!!』

急がないとこのあたりのマスターは全滅してしまう。叫んだ言葉とは裏腹に、運転する顔は真剣だった。

「尻尾運転荒くない!?さっきから落ちそうなんだけど!!!」
「荒いんじゃねえ下手くそなんだ」
「運転を変わったのは間違いだったか」
『後ろうるさいんですけど!!体放り出されたくなかったら大人しく捕まってろよ!!!』
「………酔う……」

猛スピードで走り抜けていく魔道四輪。ときたま制御ができず落ちそうになりながら走り続けていると、人影が見えた。

『…!!!見えてきた!!!』
「ナツーー!!!」

近づくとそこには、立っているナツとハッピー、横たわるエリゴール。

「さすがだな」
「ケッ」
「そ…そんな!!!エリゴールさんが負けたのか!!?」
『負けたのさ』

完全に停止した魔道四輪から降りるとすぐさまナツに絡むグレイ。ナツはエリゴールに対し圧勝だったと話すがハッピーは微妙なトコだと冷たく言った。ハッピーの正直さに尻尾は噴き出した。

「おまえ…裸にマフラーって変態みてーだぞ」
「おまえに言われたらおしまいだ。ルーシィ服貸してくれ」
「何であたしなの!!?」
『お前らルーシィのことなんだと思ってるの?』

グレイも前そんなこと言ってたよな。そう言ってチラリと視線をよこすとバツが悪そうにそっぽを向くグレイ。

「何はともあれ見事だ、ナツ。これでマスターたちは守られた」

5人と1匹で微笑み合う。

「ついでだ…定例会の会場へ行き、事件の報告と笛の処分についてマスターに指示を仰ごう」
「クローバーはすぐそこだもんね」

ほっと一息ついたその時。停めてあった魔道四輪が勢いよく動き出した。

『わっ』
「カゲ!!」
「危ねーなァ動かすならそう言えよ!!」
「油断したなハエども」

下から伸びた手が、笛を掴むのが見えた。

「笛は…ララバイはここだー!!!ざまあみろー!!!」

時が止まる。

『アイツ…!!!』
「あんのヤロォォォ!!!!」
「何なのよ!!!助けてあげたのにー!!!」
「追うぞ!!!」

魔道四輪を持っていかれた。こっちは自前の足しかない。必死に車を追いかけた。



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