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特に説明もされずエルザが評議員の使者に連れられて行ったあと、ギルドは静まり返っていた。
「出せっ!!!!オレをここから出せぇっ!!!」
「ナツ…うるさいわよ」
「出せーーっ!!!」
「出したら暴れるでしょ?」
騒ぐナツはコップの中。変身魔法をかけられトカゲにされていた。
「暴れねえよ!!!つーか元に戻せよっ!!!」
「そうしたらナツは助けに行く!!って言うでしょ?」
「言わねえよ!!!誰が、エルザなんかっ!!!」
『ナツうっせえ』
思わず尻尾も言葉が漏れる。
「尻尾はどうも思わねえのかよっ!!?」
『んなわけあるか。…急に逮捕なんてな』
「ああ。今回ばかりは相手が評議院じゃ手の打ちようがねえ…」
グレイの言う通り、どんなに権威があるものを殴って黙らせることが出来ても、評議院相手に勝つことは出来ない。
「出せーーっ!!!オレは一言言ってやるんだーっ!!!評議員だかなんだか知らねえが間違ってんのはあっちだろ!!!」
「白いモンでも評議員が黒って言えば黒になるんだ。ウチらの言い分なんか聞くモンか」
『頭かったいからな』
「しっかしなァ…、今まで散々やってきた事が何で今回に限って」
「ああ…理解に苦しむね」
あちらこちらで、なんで、とかどうして、だとかが聞こえてくる。みんな考えることは同じだ。問題児ギルドとはいえ、逮捕という形が取られたのは初めてだったから動揺しているのだ。
「絶対…絶対なにか裏があるんだわ」
ルーシィの呟きがこぼれる。またギルドが静寂に包まれた。尻尾はミラに頼んだレモンティーを受け取り、席に着く。
『そろそろ始まった頃かな』
尻尾の声はそう大きくなかったが、建物内に響いた。
「やっぱり放っておけないっ!!!証言をしに行きましょ!!!」
「ルーシィ」
立ち上がったルーシィにマスターが静かに声をかける。
「まあ…待て」
「何言ってんの!!!これは不当逮捕よ!!!判決が出てからじゃ間に合わない!!!」
「今からではどれだけ急いでも判決には間に合わん」
「でも!!!」
「出せー!!!オレを出せー!!!」
「本当に出してもよいのか?」
『え?』
コップの中で騒いでいたナツが急に黙り込んだ。
「どうしたナツ、急に元気がなくなったな」
僅かに口角を上げたマスターがコップに攻撃魔法を当てた。 トカゲは「ぎゃっ」と声を上げ、人間の姿に戻る。
「マカオ!!!?」
「えーーーーっ!!!!」
中からでてきたのはマカオ。「すまねえ…ナツには借りがあってよォ」と申し訳なさそうに頭をかく。
『マカオおまえ!!』
「悪い…ナツに見せかける為に自分でトカゲに変身したんだ」
「じゃあ本物のナツは!?」
「まさかエルザを追って…!!!」
「ああ…たぶん」
『なおさら逮捕案件じゃねえか!!!』
「シャレになんねえぞ!!!アイツなら評議員すら殴りそうだ!!!」
先程までの静寂は何処へやら、ギルドはいつもとは違うざわめきに包まれた。
「全員黙っておれ。静かに結果を待てばよい」
そこにマスターの低い声が通る。全員が動きを止め、黙り込んだ。
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