「バラエティ?」

「そ、バラエティ。」

「御手杵が?」

「俺がー。尻尾さっきの俺と同じ反応してるぜ」

「自分がTVに出て大丈夫かって思いはあるんだね」



私の言葉は聞こえなかったふりか、「俺喋れねぇよ〜」と言ってハーゲンダッツを頬張る。待て、それ私のだ。


「御手杵のは抹茶!」

「どっちでもいいだろ〜」

「緑は御手杵の色」

「初めて聞いたぞ」


バニラを取り返して、一口。うま。

隣の彼を見るけど、もう抹茶に夢中だった。彼は、不安とか、焦りとか、全然見せてくれない。
それが少し、物寂しかったり。


「(まー6割何も考えてないだろうけど。)喋りすぎない程度に、頑張ってね」

「おーありがとさん」







「では今夜のゲストの登場です!今番組初登場かつ、テレビでも初登場!モデルの御手杵さんですどうぞー!」

「よろしくお願いしまーす」

「ひゃ〜大きい!身長何センチなんですか?」

「192あります」

「192?!ちょっと隣並んで頂いてもよろしいですか?うわー!私160あるんですけど、それでもこれだけ身長差がありますよ?!」

「街中で目立つでしょう!」

「考えたことなかったです(笑)もしかしたら注目されてたかもしれないですね」

「では今夜は!謎に包まれた高身長モデル御手杵さんの素顔に触れていきたいと思います!」




「ちゃんと喋れてるじゃん」


朝からスタンバイして待ってた、御手杵の初バラエティ出演は割とフツーだった。
がっちがちに緊張してたら面白かったのに。彼が緊張してるところなんて、見たことないけど。

それにしても、TV用というのだろうか?
笑った顔はいちいちかっこいい顔をしてて、いつものふにゃふにゃした可愛い笑顔は見られなかった。



「御手杵さんの本名は?」

「あ、これ事務所大丈夫?」

「あー大丈夫みたいですね。松平御手杵です」

「いかつい!(笑)下の名前だけ使ってるんですねー」

「珍しいから下の名前だけでいける!って社長が言ってたんです(笑)」

「ほんと珍しい名前ですよね」

「あんまり正しく読んでくれませんよね。みしゅきねって言われたことあります」

「みしゅきね!(笑)」



「パジャマは絶対緑のジャージ!」

「なんで?」

「昔からなんですよね。理由は覚えてないくらいです」

「緑は好きな色なの?」

「…周りには緑のものが多いですけどねぇ…あ、前1回、緑は御手杵の色だって言われました」



「好きなタイプとかある?」

「うええー…」

「見た目とか性格とか、なんでもいいよ」

「んんー……あ、背中押してくれる子?」

「え?」

「どんな感じですか?」

「ま、ガンバレー、みたいな」

「ゆるいですね(笑)」

「自分がゆるいんで、相手もゆるくていいんですよ」



「なに言ってんのあいつ…」


じわじわ私とのエピソードを挟んでくる。
私がテレビをリアルタイムで見ることをわかっていたんだろうか。

その時の顔は、家で見るふにゃふにゃした顔と近かった。


「狙ってやったな」


なんか恥ずかしくなって、机に伏せた。

そういえば、緑のジャージも私がプレゼントしたものだったな、と思いながら。





御手杵の名字は最後に渡された松平大和守家の松平をお借りしております。
みしゅきねと呼んだのはもちろん彼女です
prev next
back