「続いては、芸能ニュース!本日より情報解禁です、人気沸騰モデル、御手杵さんのー……」
朝、ニュースをつけて、いつも通り慌ただしく準備してたら、聞き慣れた名前と、セットにするには聞き慣れない単語が聞こえてきた。
「………ドラマ?」
「あー、なんかなー、出ることになった」
「御手杵が?」
「俺がー。なんかデジャヴだな」
「気のせい。で、大丈夫なの?」
「どうなんだろうなぁ。博多は「こないだのバラエティが当たったとたい!もっと喜ばんね!」って言ってたけど」
「ふぅん」
御手杵がドラマに出る、なんてニュースを耳にしたその日の夜、泊まりに来た御手杵に話を振ってみたらまぁなんとも決まりの悪い答え。
こないだのバラエティがそこそこウケたらしく、偶然番組を見てた某監督からオファーがあったらしい。
「なんで指名されたのかよくわかんねーんだよなぁ」
それも監督直々からの連絡だったらしく、事務所はかなり沸いたそうな。御手杵を除いて。
「指名ってすごいことなんでしょ?」
喜べばいいのに、と普通だったら続くんだろうけど、元々御手杵は俳優になりたいとかそういう人では無かったので言わなかった。彼はただ「博多はそう言ってた」とだけ答えて、ご飯を頬張る。
「指名された以上お断りなんてもってのほか、でもって受けた以上はこれから三ヶ月以上休み無しだぜ?うえええ」
「仕事が減るよりマシ、ガンバレガンバレ」
「うえええ…」
呻き声をあげてソファーへ沈んでいった体は、「お風呂はいってよ」と言うまで起き上がらなかった。
数日後、ドラマの撮影が始まったらしい。
あれから御手杵には会えていない。
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