「おはよ」

「おはよ、今日も撮影」

「頑張ってね」



朝からピコン、ピコンとなる携帯の相手をしてたら、お昼を過ぎていた。
彼は移動中らしく、暇らしい。既読も早いし返事も早い。おかげで午前中は何も出来なかった。

会いたいのはお互い様、ということなのだろう。



「ご飯作ったよ〜オムライス!」

「尻尾の手料理全然食ってない…お腹すいた…」

「ケータリングでも食べて元気だして」

「飽きた」

「そんな事言わない」



ピコン、ピコン、鳴り止まない通知は家にいる時の御手杵を思い起こさせる。



「尻尾〜構えよ〜」

「構ってるでしょーよ」

「足りねーよー会いてーよー」

「ちょっとそっち撮影現場でしょ?」



相変わらず芸能人だっていう自覚はないらしい。



「あ、はじまる。いってき」

「はいいってら」



本日3回目の通知の嵐が途切れ、急に部屋が静かになったような気がした。我ながら上出来なオムライスを食べながら、TVをつける。休日の昼間にあってるニュースのようなバラエティのような番組の内容は、喧しいだけで頭には入ってこない。


「3ヶ月休みなし、か」


ドラマの撮影が始まって、どのくらいか。計算したら、あと1週間もすればもう2ヶ月になるくらいだった。2ヶ月も御手杵に会わなかったことは、少なくとも付き合ってからは初めてのことだった。

1ヶ月の半分以上は2人で、どちらかの家で過ごしていた。
どことなく寂しい。彼が置いていっているスウェットを被りこみ、深く息を吸いこんだ。



「…行くか」



今日は御手杵がロケ先から帰ってくる日だ。


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