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投稿日:2025年12月31日







 シャルシスは、ナジムに一歩近づいた。

「問うているのは、こちらの方だぞ。……否定しないということは、やはりお前たちを手引きしているのは、マイゼン伯なのか?」

「…………」

 ナジムは、再び沈黙した。
しかし、泳いだ褐色の瞳と、こめかみを伝う汗が、是と答えているようなものだった。

 改めて周囲を見回し、地下には自分たち以外に誰もいないことを確かめると、シャルシスは、ひそめた声で尋ねた。

「マイゼン伯は、一体何故こんなことをしているんだ? あの刺青の男たちとは、どういう関係だ? 奴らの意図が分かれば、交渉しやすいし、逃げ出す算段も立てやすい。絶対にお前から聞いたとは漏らさないから、知っていることを教えてくれ。……もちろん、逃げる時はお前も一緒だ、ナジム」

「…………」

 後ろを振り返って、シャルシスは、傍聴している少年たちにも同意を促した。
中には、思考が話についてきていなさそうな者もいたが、何やら緊迫した場面だ、ということは理解しているらしい。
皆、緊張した面持ちで、深く頷いた。

 少年たちの反応を見てから、ナジムは、か細く息を吐き出した。
しばらくは答えず、躊躇ったように片腕をさすっていたが、やがて、シャルシスを見据えると、口を開いた。

「……あの刺青の男たちは……『蛇の毒牙』っていう、盗賊団の一味だ。ガシェンタ・マイゼンは、あいつらを使って、各地から武器をかき集めてる。お前らは、そのついでだよ。『蛇の毒牙』は、マイゼンに金で雇われて、武器と孤児を北部に運び込んでるんだ」

「運び込んでる……? って、まさか……」

 蒼白になって、シャルシスが目を見開く。
言葉の意味が分かっていない様子の少年たちに向けて、ナジムは、直球な言い方をした。

「武器と人集めっつったら、開戦の準備だろ。お前らは、徴兵されたんだよ。ウェーリンとシュベルテの戦に向けてな」

 一瞬にして、石室内の空気が変わった。
耳を疑った少年たちが、ナジムを見つめたまま、一斉に凍りつく。
シャルシスは、思わず鉄格子にすがりついて、声を荒げた。

「馬鹿な! シュベルテは、ウェーリンの宗主都市だろう! マイゼン伯が、シュベルテとの約定を反故にして、カーライル王家に刃を向けるつもりだというのか⁉︎」

「き、貴族の考えなんて知らねぇよ! ……まあでも、そういうことなんじゃねえの? 表立って戦支度するわけにもいかねえから、わさわざ賊なんぞに大金を払って、裏で動かしてるんだろう」

「そんな……そんな、ことが……」

 ドクドクと、鼓動が逸っていく。
血の気の失せた手で、シャルシスは口元を覆った。

 マイゼン伯領に属する文化都市ウェーリンは、ネール山脈やハデネ山脈といった広大な山地の森林資源を利用して発展してきた、北部の主要都市である。
かつて、カーライル王の率いる軍に侵略され、シュベルテを宗主都市とする属領の一つに加えられた歴史があるため、その遺恨が残っていたのだとすれば、開戦事由が思い当たらないわけではない。
──が、それはもう五百年以上も昔のことだ。
現在、ウェーリンを治めているガシェンタ・マイゼンは、物静かな老年の男で、他の属領である港湾都市ハーフェルンとも友好関係を築いてきた。
特別に親交が深いわけではないが、シャルシスも、幼い頃に王宮での晩餐に招かれた彼を見かけたことはあったから、なんとなくその寡黙な雰囲気は覚えている。
財政難などを理由に、シュベルテに無断で人身売買を再開させていた、くらいは予想していたが、慎重そうな老伯爵が開戦を目論んでいるとは、とても信じられない。

 口を覆っていた手を下ろして、シャルシスは、ゆるゆると首を振った。

「……ダメだ、無謀すぎる……。話が本当だとして、そんな戦、結果は目に見えている。ウェーリンは、独自の軍を持たない街だぞ。軍事権をシュベルテに握られているんだ。勝てるわけがない」

 ナジムが、訝しげに首を傾げた。

「だけど最近、召喚師が死んで、シュベルテの軍部は弱くなってるんだろ? 俺は、蛇連中が噂してるのを、小耳に挟んだだけだがよ。今の王宮は、召喚師派の魔導師団とイシュカル教会派の騎士団が揉めてて内乱状態だから、シュベルテの目を盗んで新しく軍を組織するなら、今しかないんだろうって」

 シャルシスは、ハッと向き直って、ナジムの顔を見た。

──そうか、そういう認識になっているのか。
ルーフェンが失脚し、召喚師制が廃止になったという事実が広まったことで、世間はいよいよ、現治世も落ち目だと見ている。
マイゼン家は、ハーフェルン同様、古くから召喚師一族を支持する領家でもあるから、開戦事由には、召喚師制の崩壊も関わっているのかもしれない。

 実際、今のシュベルテがどういう状況なのかは、シャルシスには分からなかった。
ルーフェン本人は、残った有力な魔導師たち──ジークハルトら宮廷魔導師団に後を託すことで、魔導師団と騎士団の二大勢力による軍政をこれまで通りに保てるだろう、と踏んでいたようだし、シャルシスも、召喚師制が廃止になってからのこの短期間で、シュベルテの軍部が崩壊するような事態にはなっていないだろう、と思っている。
しかし、詳しい内部事情を知らない他領の領主が、王宮での内乱勃発を聞いて、まず思い浮かべるのは、それを抑えきれていないカーライル王政の没落だ。
ウェーリンに限らず、現治世になんらかの不満がある領家は、長年一強だったシュベルテの軍部を切り崩すなら今だと、そういう風に考えているのかもしれない。

 苦しげに息を吐き出して、シャルシスは声を絞り出した。

「……だとしても……だとしてもだ。急ごしらえで組織した雑兵団ぞうひょうだんなんかが、シュベルテの軍に敵うはずがない。これでは、マイゼン伯が無意味な恨みを買うばかりだぞ。負け戦なんて始めても、民に犠牲が出るだけで、ウェーリンには何の利もない」

 少年たちは、何を言えば良いのか分からないといった様子で、一様にうつむいた。
石室内を覆う空気には、冷たく悲嘆的な静けさが満ちている。
仮に過酷な労働を乗り切っても、いずれ自分たちは、戦に駆り出されて死ぬのかもしれない。
逃げ場のない恐怖は、黒々とした闇となって、目の前に広がっていた。

 淡々とした声で、ナジムが言った。

「……俺は、単なる船乗りの子だ。親父が死んで、お前らみたく戦地送りにされそうになったから、あの蛇連中に運搬の方を手伝わせてくれって頼み込んで、今は下働きとして食い繋いでる。それだけの立場だから、ガシェンタ・マイゼンに勝算があるのかとか、そもそもなんで開戦したいのかとか、そこまで詳しいことは分からん。……が、負け戦だろうがなんだろうが、マイゼンが開戦する気なのは、本当なんだと思うぜ。現に、船を下りた後、お前らと別経路を行ったガキどもは、中央と北部山地の境にあるスタン平野に送り込まれてる。マイゼンは緒戦の場所をそこにして、突破されたら、山岳戦に持ち込むつもりらしい。そうなったら、この砦に溜め込んでる武器や、お前らの出番ってわけだ」

 ずっと鼻をすすった少年が、弱々しく呟いた。

「どうして僕たちなの……? 僕たち、出兵経験なんてない、ただの子供だよ。戦力になるわけないのに、いきなり攫われて、脅されて、中には殺されちゃった子もいて……。ウェーリンの出身でも、シュベルテの出身でもない子がほとんどなのに、なんで他所の戦のために、こんな目に遭わされなきゃいけないの?」

 静寂の中に、少年たちの沸々とした怒気が混じり始める。
ナジムは、嘲るように口端を歪めた。

「マイゼンや蛇連中からしたら、ガキの方が扱いやすいんだろう。大っぴらにはされていないが、ウェーリンの周辺では、傭兵団を結成したり、近隣の村の男どもを徴兵したりもしてる。だけど大人は、頭が回るし、不当な扱いを受けるとすぐ歯向かってくる。出兵命令を拒否するような腰抜けでも、大の男たちが集団で起こした反乱や逃亡は、鎮圧するのに手間がかかるもんだ。……その点、ガキはどうだ? 力がない分、従順で洗脳しやすく、最初に戦えなさそうな奴を何人か見せしめにブッ殺せば、それだけでチビるほど震え上がって、あとは何も考えずに従うようになる。身寄りのないガキなんていくらでもいるから、死んでも補充には困らないし、敵地に送り込めば、子供だからと相手の油断を誘うこともできる。……ってのは、まあ、受け売りだけどな。現実に、地べたを這いずって生きてきた能無しのガキは、大人にとって、都合の良い存在なのさ」

「…………」

 皮肉だが、否定しようのない事実を突きつけられて、場に満ちていた怒りが消沈した。
すすり泣く声が、少年たちの間から漏れ始める。
込み上がってきた涙を拭いながら、クロッカが、シャルシスの袖を掴んだ。

「ねえ、シャルくん。……僕、怖いよ。戦なんて出たくないし、死にたくない。シャルくんは、シュベルテの出身で、貴族の子なんでしょう? もしシャルくんが、僕たちを解放して下さいってお願いしたら、そのマイゼン伯って領主様は、聞いてくれるかな?」

「それは……」

 言い淀んだシャルシスにかぶせて、ナジムが言った。

「俺も、それを期待してたんだ。お前、そんだけいろんな知識があるんだから、相当良家の出なんだろう? チェスコット家って俺は聞いたことねえし、なんで捕まってんのかも分かんねえけど、もし生まれが伯爵家に口利きできるくらいの爵位を持ってんなら、進言してくれよ! 叶ったら、俺たち晴れて自由の身だぜ⁉︎」

 途端、顔を上げた少年たちの期待の眼差しが、シャルシスに集中した。
こういう流れになるよう、話を誘導したのは、他でもない自分自身だ。
けれども──開きかけた口を閉じ、シャルシスは唇を噛んだ。

 ナジムがこちらに協力する意味を見出し、少年たちも希望を取り戻せるなら、シャルシスは、自身が王族であると明かすことも辞さないつもりでいた。
もし騒ぎになって、シャルシスの居場所が王宮にも伝われば、もうルーフェンたちとの旅は続けられなくなるだろうが、それでも自分は、こんなところで死ぬわけにはいかない身だ。
礼も言えず、挨拶もできないままルーフェンやトワリスと別れるのは、それこそ死ぬほど嫌だったが、本当に死んでしまっては、結局何も伝えられない。
そうなるくらいなら、ナジム経由でガシェンタ・マイゼンと謁見する場を設けてもらい、戦などやめろと、停戦命令を出すべきだろう。
ガシェンタがシャルシスの顔を覚えているかは分からないが、カーライルの名さえ出せば、無視して斬り捨てることはできないはずだ。

 しかし、ガシェンタの目的が、シュベルテとの交戦だというなら、話は別である。
シャルシスの身柄が、思いがけず手中にあると知ったら、ガシェンタは、迷わずそのことをシュベルテへの脅迫材料に使うだろう。
彼が王宮に何を要求するかは分からないし、今の王宮が、失踪した王子にどれほどの価値を置いているかも分からない。
だが、場合によっては、シャルシス一人の存在で、戦の結末が大きく変わることもあり得る。
自分本位な理由で外に飛び出した、愚かな王子一人のせいで、何千、何万という人々の命運が、左右される可能性だってあるのだ。

 出陣経験こそないものの、シャルシスは、七年前のセントランス急襲で、一瞬にして大勢の命が奪われる瞬間を目の当たりにしている。
警護を担当していた宮廷魔導師の結界のおかげで、シャルシスは生き残ったが、その魔導師の判断が少しでも遅れていれば、自分はきっと、今ここにはいなかった。
あるいは、魔導師が違う判断をして、当時開かれていた祝宴の席を守っていれば、シャルシスの代わりに、別の多くの命が助かっていた。
そういう戦の恐ろしさも、カーライルの名の重みも分かっていて、自分たちの命惜しさに安易に名前を明かそうという気には、どうしてもなれなかった。

「……悪いが……チェスコット家は、一時なり上がっただけの没落貴族だ。俺は家出をしてきた身だし、仮にマイゼン伯に目通りできることがあっても、願いを聞き入れてもらえるような身分じゃない」

 シャルシスがそう答えると、少年たちの目に宿っていた希望の光が、暗雲に取り込まれたかのように潰えた。
代わりに立ち込めてきた、諦めと虚しさが、再び重苦しい沈黙を作る。

 大きく嘆息したナジムが、舌打ちをした。

「……なんだよ、期待させやがって。じゃあお前、交渉は無理ってことじゃねえか。言っておくけど、逃げ出すって方は、俺は不可能だと思うぜ。……お前の言う通り、ここはネール山脈の中腹あたりだが、それが分かったところで、自力での下山が難しいことに変わりない」

 胸の底に生じたわだかまりを振り切って、シャルシスは、何でもないような表情を作った。

「……なぜだ? 俺たちは実際に裸足で山を登り、この古城に辿り着いた。傷だらけにはなったが、登ることが出来たんだから、下りることもできるはずだ」

 あっけらかんと返されて、ナジムは言葉に詰まった。
すっかり気落ちしていた少年たちも、シャルシスの平然とした態度が意外だったらしい。
皆、伏せていた顔を上げ、目を丸くしている。

 ナジムが、困惑した様子で言った。

「な、なぜって……そりゃあ、行きは蛇連中の案内があったから、確実な道を登れたけど、お前ら、その間は目隠しされてただろう。俺も基本は船での見張り役が中心で、山道は把握してないから、命からがら蛇連中を出し抜いて逃げても、下手すりゃ全員、山中で遭難することになる」

「だったら、安全に下山できる道を探そう。堀を掘っている時に、ナジムが監視している数人で、周辺を探索するんだ。男たちにバレないように、毎日短時間、少しずつ地形を調べて、その成果を夜に共有する。ナジムは、見て見ぬフリをするだけでいい」

「い、いや、んなこと言ったって……麓まで下りて終わり、じゃないんだぜ? そこから更に続く、馬車で数日かかった距離を、一体どうやって──」

 ナジムの反論を手で制して、シャルシスは、面々を見回した。
自分の提案が、現実的でない、賭けに近いものだとは自覚している。
それでもシャルシスは、あえて強気な笑みを見せた。

「ナジムの言いたいことは分かるし、皆の不安も理解できる。もし、こうして思惑を巡らせていることが男たちに露見すれば、俺たちは、手酷い罰を受けることになるだろう。最悪、殺されることだってあるかもしれない。だが、このまま男たちに従い続けたところで、結局は疲労や寒さにやられて死ぬか、戦に駆り出されて死ぬかだ。それなら俺は、諦めずに、皆が生き残れる可能性に賭けるべきだと思う」

 シャルシスは、一人一人の瞳の底に残っている、微かな灯を見つめた。

「男たちをなんとか出し抜いて、日中に下山する方法。各所の鍵を入手して、監視の薄い夜間に脱走する方法。最終手段だが、武器があるなら、それを盗んで抵抗する手もある。あとは、助けも呼びたいな。俺は先程、没落貴族の出だと言ったが、俺を探している者がいるのは、本当のことなんだ。ネール山脈にいる、ということを外部の人間に伝えられたら、彼らが来てくれるかもしれない。……望みが、全くないわけじゃない」

 シャルシスは、呆然としている少年たちの前に、自身の拳を突き出した。

「協力し合えば、きっと活路を見出せる。作戦は、俺が立てよう。……皆、力を貸してくれるか?」

「…………」

 少年たちは、複雑な顔つきで、シャルシスのことを見つめていた。
きっと、それぞれの心に、様々な感情が駆け巡っている。
失敗すれば殺されるかもしれないという、不安、恐怖、葛藤。
しかし、それらを跳ね除けて、まだ生きていたいという、生への渇望。
ここで諦めが勝てば、この先、成功する試みも上手くいかなくなる。
わずかな希望が、少年たちの瞳に戻ってくるのを、シャルシスはじっと待っていた。

 突き出されたシャルシスの拳が、よく見ると、小刻みに震えている。
そのことに気づいた瞬間、胸が熱くなるような衝動が込み上がってきて、クロッカは、自分も拳を前に出した。

「……僕にできることなら、協力するよ。怖いし、死にたくないけど……でも、ていよく利用されて死んじゃうくらいなら、皆で生き延びる方に、命を賭けたい」

 少年たちの肩が、小さく跳ねた。
目に浮かんでいた涙を拭い、きゅっと唇を引き結ぶと、少年たちは、次々とシャルシスの前に拳を出し始めた。

「僕も、このまま虫ケラ呼ばわりされて死ぬなんて嫌だ」

「船を下りて、ここまで生き残ったんだ。俺も、故郷に帰りたい……!」

 円形に並んだ全員の拳が、シャルシスの前に出そろう。
仲間たちの顔を見回すと、シャルシスは小声で、「退かず、諦めず、決して屈するな!」と常套の掛け声を出した。
同じく小声で「オーッ!」と応えると、少年たちは、出した拳を沈め、一斉に天に突き上げた。

 皆で目を見合わせ、決意を一つに、互いに頷き合う。
生まれた一体感を鼻で笑って、ナジムが、ぼそぼそと呟いた。

「……そう上手くいくとは思えねえけどな。ガキがまとまったところで、何ができるっていうんだよ」

 シャルシスは、ナジムの方に振り返ると、そのぼやきを一蹴した。

「その通り、簡単には上手くいかないだろう。だからこそ、お前の協力が必要なんだ、ナジム。今、ここで立てた案は全て、ナジムありきで出したものだ。……引き続き、力を貸してくれるだろう? 俺たちと一緒に、ここから逃げよう」

 シャルシスは屈んで、石床の隙間に埋め込んでいた蝋燭をとった。
そして、それをナジムに見せつけるように、けれども、手を伸ばして奪えはしないくらい位置に、そっと持ち上げた。
返してほしければ頼みを聞いて欲しい、と取引材料にされた蝋燭。
渡した時に比べると、蝋は溶け、随分と短くなっている。

 ナジムは、呆れたようにシャルシスを見た。
世間知らずで、反吐が出るような綺麗事や机上論を並べ立てるくせに、根底は図々しい、なんとも抜け目のない奴だ。
そもそも、この蝋燭を巡るやりとりがなければ、ナジムはこんな危ない橋を渡ろうとは思わなかった。
それなのに、いつの間にか、こうして丸め込まれてしまった自分がいる。

 長い逡巡の末に、ナジムは肩をすくめた。

「……お前、お坊ちゃんのくせに、いい性格してるよな。俺、港町で生まれ育って、こんな泥舟に乗る日が来るとは思わなかったぜ」

 苦笑を浮かべたシャルシスが、鉄格子の隙間から、蝋燭を差し出してくる。
やれやれ、とため息をつくと、ナジムは、蝋燭を受け取ったのだった。



To be continued....


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