帝王の夜会


「そういえば、厄介な闇市を仕切る別グループがいるのよ。 バンバン違法な医薬品を流すもんだから医者の身としちゃ溜まったモンじゃあないわ。科学者としても、組織としても垂れ流す訳にはいかない私の実験データを狙ってる。 速やかに消したいのだけれど、暗殺チームを拝借しても良いかしら? 勿論、彼等の給与は私が払うし組織のデメリットになる事はしない…」

「良いだろう。これからは奴等の管理をお前に任せる。煮るなり焼くなり好きにしたら良いさ。」

梓が言い切る前にディアボロは返事を返した、まるでチームのメンバーが自分にとっては戦力外であるかのように。
梓はそれが無性に腹ただしかった。
だが、世は無情でありこの世界に下剋上などあってはならない。 弱い者は強い者に従うしかないのだ。

「わかったわ、好きに使わせて貰います。 明日までにはドッピオ君からリゾットに伝達しておいて頂戴。 ボスが実の娘を殺そうが殺すまいかには興味が湧かないけれど、御健闘を祈ってるわ。」

チョコちゃんにもよろしくね、と言い残して梓はメインディシュに目もくれず、その場を立ち上がり店を出る。
既に時刻は21時を過ぎ、辺りはキラキラと彩られていた。
ナポリの夜景は世界で3本の指に入る程美しいもので、街中を歩いていてもその幻想的な街並みと灯りに目が眩みそうになる。
日本のホッカイドウにも似たような物があるらしいが、梓は写真とガイドブックでしか観た事はない。

梓の拠点はナポリ郊外の4LDKのラボである。 一人で暮らすには寂しいくらいの広さだが実験器具や医療器具で紛らわし、地下室に至っては度重なる実験の末に何度か埋まってしまった程だ。
現在のラボは3代目で、初代、2代と度々実験の末に破壊してきた。
建て替え費用は組織持ちだった為、梓は有り余る給料と貯金を貯めて通帳を毎晩ニヤニヤしながら眺めているのだが。

さて、問題はここからだ。 暗殺チームが自分の手の内になったものの、あの輩が自分の言うことを聞いてくれるだろうか。
問題児が1人…2人…3人…梓は指折り数えるが、段々無駄に思えてきた。

「私があいつ等を変えなきゃならないのだから此処で挫折しちゃあ駄目ね。」

スタンドでねじ伏せるのもあんまりだ、梓は苦笑いを浮かべながら家路を急いだ。


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