温泉卓球 その2
突然「助けてぇ」と悲鳴が。
(祥子)「え、何、どうしたの?」
驚いて目を開けるが、
(祥子:あれ?直美がいない)
そして目の前に変な老人が立っている。
(祥子)「え、あ、あのぉ、あの、あなたはいったい」
(老人)「お前が信じようと信じまいとどうでもよいが、ワシは卓球の神じゃでな」
(祥子)「はあぁ?」
神様だと!祥子は少し頭に〇〇が来ている老人かとも思ったが、
しかしそれよりも、老人が持っているラケット、これが変なことに気が付イた。
ラケットには大の字になった人の絵が描いてある。しかも子供のようだ。
祥子は「趣味の悪いラケットだな」と、思った。
さらによく見ると絵ではない。写真だ。それも全裸の。
変態老人か!
(祥子:よりによって子供の素っ裸をラケットに張り付けて喜んでいるなんて、いやらしくて最低じゃないの)
(神様)「これに気が付いたようだな。これは絵や写真ではないぞ」
(祥子)「え?」
気持ち悪い。ニヤニヤしている老人を見ていると、あまり関わりたくはない。
あえて何気なくを装い、
(祥子)「絵や写真ではないといいますと、いったい何でしょうか?」
(神様)「本物じゃ」
(祥子)「え?、おっしゃっている意味がよくわかりませんが」
(神様)「本物と言うておるのじゃ。ほれ、手に取ってよく見てみい。お前の娘じゃよ」
(祥子)「え?」
ラケットを受け取り、よく見てみるとギョッとなった。
ラバーに描かれているのは、確かに直美だ。
手足は『これでもか』と、いうくらい、限界まで広げている。
まだ膨らんでいないお〇ぱいや新品のおマ〇コは、少しかわいくも思えるが丸見えだ。
(祥子:おマ〇コの土手とおへその左のところのホクロも確かにある)
祥子は首をかしげつつも、
(祥子)「でもでも、これは、これはやっぱり写真じゃないのぉ」
ところがラケットから「おかあさん助けてぇ」と声がした。
ギョッとして覗き込むが、もう声は聞こえなくなっている。
大事なところを恥ずかしくさらしながら、完全に固まってしまったようだ。
明るい笑顔もなかなかかわいい。
(神様)「よしよし、立派なラケットになったようだな」
祥子は老人、いや神様をにらむようにして、
(祥子)「あなた直美に何をしたんですか」
(神様)「その娘が悪さをしたので、ラケットに封じ込めてやったのじゃ」
(祥子)「悪さって・・・」
神様は大きな神棚を指さして、
(神様)「ほら、あの神棚に向かってピンポン玉を投げつけてきたんじゃ」
(祥子:あれ、あんなのあったっけ?)
だが、玉をぶつけたとしたらそれは直美が悪い。
(祥子)「そ、それは、そんなことしたのならお詫びします。どうかお許しください。そして直美を元に戻してください」
(神様)「だめだ。さあて、神棚に戻るとするか」
消えてしまった。
(祥子)「あー待ってぇ」
自称神様と言っていた神様は消えてしまったが、ラケットはそのまま手に残っている。
直美が貼りついたままのラケットが。
(祥子)「大変だあ」
祥子は神棚に向かって「お願い!直美を元に戻してよー」と、叫び始めた。
しばらくすると神様は「うるさいのう」と、また現われた。
祥子はホッとした。
(祥子:よかった。まだ交渉の余地がありそうだ)
(神様)「うるさいやつじゃな。もうその娘はラケットが壊れるまで永久にその中じゃ」
(祥子)「ど、どうすれば元通りにしてくださるんですか。なにか条件を、チャンスをください」
必死に拝む祥子を見て「うーむ」と顎に手を当てて考えていたが、
(神様)「よし、そこまで言うなら、ワシと卓球の勝負をせい。お前は卓球に自信があるようだからな」
(祥子:よかった。卓球なら少しは勝負になるかも)
だが神様の言葉は、
「だがもしお前が負けた場合は、お前もこの娘と同じようにラケットの絵になってもらうぞ」
勝負が始まった。
ただしゲームは1ゲームのみとすることに。
先に祥子のサーブから開始だ。
祥子は手に持った直美のラケットを見ながら、
「必ず元に戻してあげるからね」
神様は杖をラケットに持ち替えて台の向こう側にぼーっと立っている。
奇妙な勝負が始まった。
祥子がサーブを打ったが、打つ瞬間に、ススと神様は台の右端に寄った。
そこは祥子がサーブを打ちこもうと思っていた、まさにその位置であった。
(祥子)「あ!」
神様は絶好の位置からいとも簡単に、しかも強烈に打ち返してきた。
おまけにすごいスピンもかけながら。
(祥子)「あっ!」
祥子も伊達ではない。
かろうじてではあるが、神様のスマッシュを打ち返した、が、台の外に・・・
神様が「ククク」と笑う。
(神様)「なかなかやりおる。ワシの玉についてこれるとはな。だが、わしはお前の考えが読めるんじゃよ。よめるの!」
祥子は驚いた。
(祥子:ほ、本当かな?でも神様ならそれぐらいできるのかもね)
そして焦りだした。
『こんな老人が』と高をくくっていたのだが。
(祥子)「そ、そんなのずるいです」
(神様)「何がずるいものか。ほれ、早よこんか」
再び必殺のサーブを打つが、
「だめだわ」簡単に打ち返されてしまった。
一方的に差が開き、すでに 0―9 だ。
神様は打ち返しも正確で神業のように(神様だから当然か)、必ず台の端の2センチもないような所に当ててくる。
祥子は翻弄されてしまい、まさに手も足も出ないとはこのことだ。
だが次の時、廊下の方から風が吹き込んできて、玉が少し流されたようだ。
今度は神様が「あっ」と言った。
はじめてのミスである。
(祥子)「あ、やったやったぁ。あたしでも点が入るんだ」
神様は「ちぇ」と言っている。
(神様)「まあいいか、1点くらい」
そしてその言葉の通り、祥子が喜んだのは束の間のことだった。
それまでであったのだ。
あとは1点も取れずに試合は終わってしまった。
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