妄想別館 弐号棟


美人署長の活躍 その2


美代子こと、スーパーガールは第三実験棟の前まで来た。
「ここだな」とつぶやきながら、ドアノブに手を触れたのだが、
とたんに『パタン』と音がして、周りに強化アクリル板のようなものが起き上がり、四方を囲まれてしまった。
(S)「あ、あ、しまったぁ!」
どのような仕掛けになっているのか、ドア全面から猛烈に液体が噴き出してきた。
四方をふさがれた彼女は逃げきれない。
(S)「うゎ、体がっ、体が固まるぅ」
激しくもがいていたが、すぐに静かになった。
しかし今回はさらに噴霧を続けている。
どうやら一挙にマネキン化してしまおうという魂胆だったようである。

たっぷりと20分は経ったろうか。
ようやく噴霧が終わり、アクリル板内の霧が晴れると、スーパーガールが驚いたような表情で立っている。
完全に固まってしまったのか彼女はピクリともしない。
ゾロゾロと男たちが集まってきた。
(男A)「へん、立派なマネキンになったぜ。しかしいい女だな」
まるで水着を着たモデルのようだ。
8頭身ほどのスラリとした細身ではあるが、胸や腰回りのボリュームは相当なものだ。
長くて細い指、こんな華奢な手でどうして悪人を殴り倒せるのだろう?
足はブーツをはいていることもあり、かなり長く見える。
男たちはしばらく固まった彼女を見ていたが、その間、彼女は瞬き一つしない。
(男C)「大丈夫のようだぜ。やっぱり完全に固まってら」
スーパーガールを取り囲むと、美代子に戻そうとして、力いっぱいマスクを引っ張った。
(男A)「ダメだ取れない」
頭に完全にくっついてしまっていて、体ごと一緒に動いてしまう。
他の男たちが、スーパーガールの体を押さえつけて引っ張ったがダメだった。
取れないはずはないのであるが、
(男B)「ちぇ、本人でなければ取れないのかな」
結局あきらめてしまった。
(男C)「でもさあ。やっぱりたまらないぜ」と言いだして、胸や土手をなぜ回し始めた。
(男A)「確かに、見てみろよこれ。パンパンだぜ」
土手をグリグリいじくりまわしているうちにバターンと倒れてしまった。
(男C)「おい、気をつけろよ」
(男A)「大丈夫だって」
足で胸のあたりを踏みつける。
(男A)「なあに壊れちまってもいいだろ」
スーパーガールは固まった格好のまま微動だにしない。
よほど頑丈に固められたとみえる。
男たちは調子に乗り、さらに体中を撫でまわしている。
太もも、お尻、そしてもちろん土手の膨らみも。
(男B)「すごい胸だな。でも固まってるから揉めないのが残念だな」

モニター室では、ミスターNが少しイライラ気味だ。
(Mr.N)「この間の娘は、バラバラにしたのにどうして元にもどれたんだろう。
しかも完全なマネキンにまでなったのに。
その理由がわからなければ、マネキンにしても無駄だ。元に戻ってしまう」
(Mr.N)「おい、そんなことしてないで、裁断してみろ。バラバラにするんだ」
男たちは名残惜しいと思ったが、ボスの命令には逆らえない。
(男C)「わかりました。へへ、でも最後に・・・」
もう一回土手にさわろうとしたところ、
(S)「もう、いい加減にしなよ」
突然手首をひねられてころがされた。
(Mr.N)「あーやっぱり薬剤が効かなかったのか」
下っ端たちは驚いたが、ミスターNも驚いた。
(S)「あのね、スーパーガールは不死身なの。こんな液体ぐらいなによ」
言うより早いか、男たちを倒してしまい、縛り上げてしまった。
(男B)「じゃあ、わざと触られていたのかよ」
仮面の下が少し赤くなっている。
(S)「ま、まあね」

(S)「署の者たちがくるまでもう少し時間がかかるかな。
その前に建物の中をちょっと調べてみようかな」
奥の方に進ンで行くと人の気配を感じる。
(S)「あの角の向こう側に数人いるな」
少し考えたが「ウン」とうなずき、知らんふりをして行き過ぎようとすると、
後ろから「手を挙げろ」
わざと驚いたように「あ、まだいたの。油断したわ」
(男D)「ゆっくりとこっちを向け」
ゆっくりと振り向くと、3人が手に拳銃を持っている。
(男D)「変なマネすると撃つぞ」
(S)「はいはい、わかりました」
美代子は(拳銃で撃たれても平気なんだけどなぁ)と思ったが、口には出さない。
あえて、男たちの言われたとおりにしている。
(男D)「両足を開いて、手をもっと上にあげろ」
(男E)「妙な真似するなよ」
(S)「はい」
(男D)「さ、変身を解け」
(S)「え?」
(S:変身を解いたら、少々危なっかしくなるな。どうしよう)
スーパーガールが黙っていると「早くしろよ、撃つぞ」と怒鳴り声が。
(S)「わかった、わかったわ、乱暴しないでよ。右手を下ろすよ」
そしてマスクを外してしまった。
たちまちスーパーガールは『ヒューン』と美代子に戻った。
(男D)「よしよし、そうそれでいい。マスクはこっちによこせ」
このやり取りを聞いていて、ミスターNは首をかしげている。
『絶対におかしい』と思った。
(Mr.N)「この女、わざとやってるんじゃないか?
でもまあいいや。マスクを取らせるとは気が利いている。
しばし成り行きに任せてみるか」
しかしながら当の男たちは思慮が浅い。
そんなことは微塵も思わず、勝ち誇ったように得意になっている。
(男D)「なるほど、やっぱりあんたが本間美代子、署長さんだね」
(美代子)「なんだ。よく知ってるね。それじゃ隠してもしょうがない。もう十分にあたしのことを調べたのかな?」
(男F)「へへ、お宅のお嬢さんと同じことをしてもらいたいんだよ」
(美代子)「真理子と?どうするの」
うっかり娘の名前も言ってしまった。
ミスターNは「そうか、やっぱり本間美代子とスーパーガールは同一人物か」
よしよしとうなづく。

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