妄想別館 弐号棟


人間人形 その4


一週間後の朝、例の一室において。
人間人形になった美代子は今日も棒を大事な所で受けている。
ダークガーネットの悪意から、あれからずっとスイッチは入れられっぱなしになっているのだ。
穴の部分はもう相当擦れているはずだが、棒やテグスの方が先にガタつき始めている。
ダークガーネットが部屋に入ってきた。
「はーい、美代子さん、いい朝ですね」
人間人形の顔をニヤニヤ見ながら、
「相変わらずいやらしい恰好ね。でも今日も棒を受け続けるのよ。
もう、あなたはスーパーガールでも、警察官でもなんでもなくて、ただのお人形さんなんですからね」
手足をガクガクさせながら、美代子人形はまるで「はーい、わかりましたぁ」と言っているようだ。
箱や人形のきしむ音がすごく、もうじき壊れてしまいそうだ。
「なんか、いやな音ねぇ」
フフフと笑いながら、
「もし壊れたら、あなた焼却処分だからね」
ダークガーネットは、そう言って自分の部屋に戻り、仕事に取り掛かり始めた。

どれくらい時間が経ったろうか、
(SR)「こんにちは。ダークガーネットさん」
(ダーク)「え、誰っ?」
突然、スーパーガールRが多数の警官とともに、突入してきた。
なぜかダークガーネットは、スーパーガールRの存在を全く忘れていた。
(ダーク)「あ、あなたたち!いったいどうやってここが」
(SR)「あのさ、おかあ、いえいえ、スーパーガールからの・・・」
やっとスーパーガールのマスクから発する『SOS信号』の発信源を突き止めたのだった。
(SR)「あ、人質もすでに救出、いや人間人形とやらも回収させてもらったよ。わるあがきは無駄ヨ。諦めなさい」
(ダーク)「ええい、なんということなの」
手下たちが飛び込んできて乱闘になったが、彼女の敵ではない。
悪人はのこらず平らげられてしまった。
ダークガーネットを連行した後、刑事が、
(刑事)「スーパーガールR、おかげで・・・あれ、いない。どこに行ったんだろ」

ス−パーガールRは、捕り物の直前に、美代子を見つけて布を掛けてスッと運び出した。
最初に美代子を見たときは顔が真っ赤になってしまった。なんというハレンチな姿。
(SR)「ちょっとぉ、なんなのよこれは」
この前はもたもたしている間に、警官(美代子の部下)に、素っ裸を見られてしまったので、今回は捕り物劇が始まる前に廊下まで連れ出してきたわけだが、
(SR)「うゎぁ」
とてもじゃないが正視に堪えない。
すぐにブレスレットを外し、棒を抜いてテグスも外した。
(SR)「あれ?少しつまらなそうな顔に変わったかな?」
そんなことはないだろう。
スーパーガールRは美代子のベネチアンマスクを持って「変身!」と叫んだ。
(SR)「あれぇ、変だな?」美代子はスーパーガールに変身しない。
情けない格好のまま固まっている。
スーパーガールRは焦った。
(SR)「おかしいな。どうなってんだろ。」
2回目もダメだった。
(SR)「そんなはずはないよ。元に戻らなかったらどうしよう」
美代子、いや母親は、ずっと人間人形のままなのであろうか!
再び、3回、4回と叫び、5回目にやっと、
(SR)「あ、うまく行った」
美代子はようやくスーパーガールに変身した。しかし・・・
(SR)「やっと戻った。ちょっとしっかりしてよ。おかあさん。はずかしい」
スーパーガールはボーッとしたように「あ、はいはい」と言った。
スーパーガールになった美代子ではあるが、なぜかまだ、人形の時のように両足を大きく左右に開いている。
上半身も前のめり、首もグタッと垂れている。
(SR)「ちょっと大丈夫、何その恰好。起き上がれないの?誰か来るよ」
スーパーガールRに言われてもまだ姿勢を正そうとしないし、立ち上がろうとしない。
(S)「いやそんなことない。大丈夫」
ようやく正座の姿勢になった。しかしかなり物憂げそうだ。
(S)「ちょっと長いこと同じ姿勢だったものだからさ」
ようやく顔も上げた。
スーパーガールRは腕を組んで覗き込んでいるが「あのさ、なんか怒ってない」
(S)「いや全然そんなことないよ。全然」
(SR)「本当に大丈夫?」
(S)「あの、すぐ行くから、ちょっと1人にしてくれないかな」

スーパーガールRが出て行くと、変身していたスーパーガールは再び美代子、いや本間署長に戻った。
変身を解けば、もちろん全裸である。
美代子は真理子が置いて行った服を着ると、
ようやくよろよろと立ち上がり廊下に出て行った。
「あ、署長」
美代子の警察署では署長(美代子のこと)が行方不明になったと、大騒ぎになっていたが、ひょっこり現れると、
「いやあ、ちょっとばっかり拉致されていましてねぇ」とごまかした。

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