四勝一敗 その3
一時(いっとき)ほど、休んでから男が戻ってみると、
(男)「あれ!」
例の販売機は空になっていた。
(男)「うそだろう。あれだけ入っていたのに」
もちろん盗まれたわけではない。
アイテムの値段自体はやや高めなのではあるが、それなりの小銭は投入されている。
(男)「そうか売れたのか。いや、すごい売れ行きだな」
アイテムを多めに補充して出て行った。
だいぶ時間が経って、そろそろ閉店の時間になった。
(男)「さてと後片付けをして帰るとするかな」
ガチャポンのコーナーに戻ってみると、
(男)「う!」
と、唸(うな)ったまま棒立ちになってしまった。
今さっき少なくとも50個は補充した。しかし、またしてもすっからかんだ。
いくら何でも売り切れるのが早すぎる。
(男)「どうも様子が変だな。いったいどうなっているんだろう」
次の日。
朝一番で、再び50個ほどを入れた。
男は掃除を終えるとコーナーから出て行って、一時間ほどで戻ってきた。
(男)「あ、空だ!」
またしても、である。
(男:もしかしたら、また誰か、秘密を調べに来ている者がいるのかもしれないな)
男は壁の裏にあるのぞき穴から、コーナーの様子を見てみることにした。
昼近くになり1人の男が『日本の女シリーズ』の、ガチャポン販売機の前に立った。
いや図体がでかい。巨体だ。180pはゆうにあるが、下っ腹もえらく出ていてまるで相撲取りである。
年齢も結構いっているようだ。顔が赤光りしている。
歯も少し反っているし、鼻も広がっていて毛穴も目立つ。
おまけに、今時どういうものか、頭の後ろは薄くなっているのに、テカテカのオールバックだ。
(男:何だ、あの男)
きもデ〇と言ってもいいような感じだ。
しかし着ている服や靴、持っている鞄は超一流品だ。かなりの金持ちのようである。
(男:なんなんだよ。おい)
そのミスターきもデ〇(Mr Kと呼ぶことにする)は、分厚い財布から一万円札を何枚も取り出して、まるでシュレッダーにでもかけるように、両替機の中にどんどん入れていく。
小銭がガチャガチャと音を立てて出てきた。
その小銭を、今度は販売機にジャンジャン投入して、ハンドルを何回も回している。
清掃の男は「あらぁーーー」、壁穴から呆然と見ているしかない。
5個、10個、25個・・・
ガチャポンが、人形入りのガチャポンが取り出し口からあふれるようにどんどん出てくる。
ミスターKは、ついに全部買いきってしまった。そしてそれをカバンに入れると『ホクホク顔』で出て行った。
後には空の販売機が・・・
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