妄想別館 弐号棟


都市伝説 その3


午後7時をまわった頃。
職員室の先生方は、みんな帰ってしまって、琴音1人が残っている。
あの4人はどこにいるのかな。
あるいはこっそり隠れているのかな。
6年3組の教室に行ってみることにした。

都市伝説では、夜の学校の廊下は真っ暗で不気味という描写が多い。
琴音は残業をしたことがあまりないので、そういった状況は嫌だなと思った。
「なんにも出ないよね。壮太君たちは、よく平気で夜の学校の都市伝説なんかに興味を持つな」
おっかなびっくりで歩きながら、ブツブツ言っている。
しかしながら、階段を上がった6年3組の教室のある廊下は、窓を通して見事な満月が見えている。
月の光が煌々(こうこう)と廊下に差し込んでいて、結構明るい。
「へえ、すてき」
なかなか風流だな、と思った。

教室は電気が消えていた。
「教室の中にはいないか」
教室内に隠れてはいないようだ。
「それじゃ家庭科室かな」
家庭科室の方に行って見ると、こちらも電気が消えている。
「おやぁ、それじゃ諦めて帰ったのかな」
下校時の様子では、とてもそんなふうには思えなかったのだが。
職員室に戻ろうと思って、廊下を歩いていると、ワイワイと声がする。
「???」
それは1階にある図工室からであった。
「誰かいるのかな」
ガラリと扉を開けると、
颯真が「ほら、先生が現われた」
意表を突かれて、思わず「な、なによ」と言ってしまった。
(琴音:あれ、時間は10時じゃなかったのかな。それにここは図工室だぞ)
(琴音)「ちょっと、あんたたち何をやってるの。こんな時間に」
あくまでしらばっくれて、颯真に聞く。
(颯真)「都市伝説でね・・・」
上述の通りのことを言っている。
黒板には『望月琴音』と、書いてある。
机には葉っぱが・・・しかし5枚。
「あれ???」
それも「これ、サカキの葉じゃなくてアジサイの葉じゃないの、あ!」
余計な事を言ってしまった。
(壮太)「いいんだよ先生。別になんの葉っぱでも」
琴音はさっきから『?』の連発だ。
(琴音:おかしいな。この子たち、あれだけ準備してたのに、全然違うことしてるじゃないの。時間もまだ7時過ぎだよ)
子どもたちは嬉しそうに、琴音にまとわりついていたが、
いつの間にか壮太が後ろに回っている。
(琴音)「あ、そうか。失敗」
琴音はしまったと思った。
(琴音)「壮太君が『ダルマさんが転んだ』と叫ぶと動けなくなるんだっけ」
そしてその通りのセリフを壮太は叫んだ。
もちろん動こうと思えば動けるわけ。
琴音は立ったまま笑いをこらえている。
(琴音)「失敗失敗。さあ、どうするの」
しかしここでまた、意表をついたことを颯真が言う。
(颯真)「先生、動きたかったら動いてもいいんだよ。でも僕たちガッカリするから」
(琴音)「なんだ知ってるんだ。それじゃ動かないであげようか」
しかし壮太が手に持っていたのは、トラのぬいぐるみだった。
(琴音)「あれぇ、ダルマじゃないじゃないのよ。なんでトラのぬいぐるみなの」
優斗が「ダルマとトラのバージョンがあるんだよ」
(琴音)「え?そ、そうなの、そうだったっけかな?」
琴音は首をかしげる。
(優斗)「トラのぬいぐるみだと、先生一緒にお風呂に入ることができるんだよ」
仰天発言が飛び出た!
(琴音)「え?お風呂」
優斗が指をさした先には、なるほどお風呂が・・・いやそれは変だろう!
しかし確かに図工室の窓の外に丸見えの湯舟が現われている。
(琴音)「お風呂って、校庭にお風呂って・・・いったいどうなっているんだ」
温かそうな湯気が立ち昇っている。
琴音は啞然として、この光景を見ているが、
(琴音:これも都市伝説なの?)

どこかで盆踊りをしているのだろうか。
お囃子(はやし)や手拍子のようなものが聞こえてきた。
いかにもそれらしい『〇△音頭』と、いう感じの曲が。
(琴音)「ああ、盆踊りか。風流だな」
「あのね先生」、優斗が言うには、
(優斗)「図工室の外にお風呂が現われると、祭りのお囃子が聞こえるっていう都市伝説だよ」
(柚月)「そして、それを聞くとお風呂に入りたくなるんだって」
なるほど。聞いていると、お風呂に入らなければいけないような気もしてくる。
(颯真)「ほら、早くしないと、人が来ちゃうよ」
人が来る?こんな時間に?でも琴音は、
(琴音)「あっそうだね」
上着を脱いで下着姿になったところでハッとした。
(琴音)「なんかおかしいな。あたしお酒でも飲んだんだっけ」
めちゃくちゃな都市伝説があったもんだ。
彼女は自分に『落ち着け、落ち着け』と言い聞かせる。

いつの間にか、男子3人はパンツ一枚になっている。
柚月もブラとかわいいパンツ姿になっている。
(琴音)「ちょっと柚月ちゃんはしたないでしょ。服着なさい」
(柚月)「はーい。でも先生ずるいよ。先生も全部脱いでよ」
(琴音)「先生は大人だからいいの。あ、ちょっとやめなさいったら」
しかし柚月は下着を全部脱いでしまった。
それにつられて男子も素っ裸に。
さすがに琴音は「ちょっとやだ、あんたたち何やってンの。男女で裸なんて。服を着なさいよ」
これはまずいかも。非常にまずいかも。
風紀がやかましく言われている昨今、年頃の子供たちが全裸で騒いでいる。
それもよりによって学校の校庭でだ。
彼らは全く頓着せずに、琴音の前で見せびらかすようにして踊っている。
(琴音)「ちょ、こら私の前で何踊ってんの。まったくしょうがないね」
でもしかし、フラフラのおチ〇チンに目がいってしまう。
(琴音)「いやだわ。生徒のおチ〇チンを見られるとは思わなかった。でもかわいいわね」
柚月は「なによ、本当は先生も裸になりたいくせに」
(琴音)「いっ、なんてこと言うの」
壮太と優斗は、もう湯船に飛び込んで騒いでいる。
それを見て颯真は「先生も早く入ろうよ」と、急かしてくる。
フラフラとおチ〇チンが右へ左へ揺れている。
見ているうちに琴音も面倒くさくなり、とうとう諦めた。
(琴音)「ええい、もういいわ」
ブラとショーツをぬいで、柚月の前に出てきた。
少しやけ気味になりながら、
(琴音)「しょうがない。あたしもお風呂に入るよ」
琴音もザブザブと湯船の中に入っていった。

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