レズ旅館の秘密 その4
この時、扉の陰で・・・
碧(あおい)は震えながら、この残酷な様子を見ていた。
タオルをとって戻ってくると浴室には誰もいない。
浴室の奥に変な部屋が現われていて、中では騒ぎ声がする。
そっと覗いてみると、なんということだろう!
とんでもないことが起きているではないか。
「これは大変だ」そう思ったが、彼女1人ではどうしようもない。
タイミングをみて、真理子たちに助けを求めに廊下に飛び出したとたんに、
「あ、待ちなさい」中居に見つかった。廊下の反対側からも数人が来た。
慌てて近くの窓から外に飛び出し、目の前にある茂みに向かって一目散に走って行った。
再び美代子の部屋では、
(祐子)「おそいですねぇ」
もう一時間近くたっているが、夏希とるい子は戻ってこない。
そこに真理子が入ってきた。
(真理子)「こっちに玲子たち3人がお邪魔してるってこと・・・ないですよね」
玲子たち3人もずいぶん経つのに戻ってこないらしい。
(美代子)「それじゃ、あたしと真理子でお風呂に行って様子を見てくるよ」
(祐子)「わかりました。それじゃ私はお留守番しています」ということになった。
再び浴室内の情景である。
2人が服を脱いで浴室内に入っていくと、
(真理子)「あれ?お湯の色がさっきと違うじゃん」
(美代子)「変な色だよね。匂いがする。入浴剤かな」
湯船をのぞくように見ていると、後ろに殺気が!
しかしさすがにスーパーガールたちである。
真理子は後ろからつかみかかってくる男を気配で察し、前を見たまま、少しかがむようにかわした。
腰に載せるようにして軽く投げ飛ばし、浴槽に放り込んだ。
「うわー」と、男が叫ぶが、後は先ほどのとおりである。
男はすぐに大の字になって沈んでしまった。
どういう事これは?なんなのこの浴槽は?」
驚いて啞然としていると、後ろから、
(女将)「スーパーガールさん、ようこそ」
振り返ると、いつの間にか、女将と男たちが数人立っている。
「いやっ」美代子と真理子はあわてて体をタオルで隠して、戦いの構えをとる。
(真理子)「いやらしいな痴漢。なんで男がいるのよ。それにこれはなんなのよ」
女将はムッとして一瞬目を見開いたが、すぐ元の顔に戻る。
顎でしゃくって、沈んでいる男を浴槽から引き揚げさせた。
(女将)「すべてご説明しますわ。こちらにどうぞ」と、先に立ち、例の隠し部屋に入っていった。
(真理子)「あっ、玲子、直美」
玲子と直美はペッチャンコの大の字になって、骨枠に貼りつけられていた。
女将は反物についての説明を、いかにも淡々と始める。
聞いているうちに美代子と真理子は青くなっていく。
(美代子)「それじゃ、あっちの反物は松嶋巡査長と野口巡査長だっていうの」
女将はコックリとうなずく。
奥の方の干されている、鮮やかな緑色と薄ピンク色の反物は、夏希とるい子の変わり果てた姿ということになる。
真理子が先に怒りを爆発させた。
飛びかからんばかりの勢いで、
(真理子)「許さない。あんたそれでも人間なの。こんな残酷なことをして」
(女将)「どう思おうとご勝手。でもね、今回はスーパーガールの反物だけはどうしてもいただきたくてね」
女将が言い終わるよりも早く『ガコン』と、2人の足元の床が抜けた。
怒り心頭の2人は、いつになく冷静さを失っていたようだ。
あたりに気を配る余裕が全くなくなっていた。
あっと言う間もなく、下の水槽『人体軟化液《B液》』の中に落ちてしまった。
「しまった」意識が遠くなっていく。
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