妄想別館 弐号棟


復讐劇場 その2


木陰に入って立ち話をしていると、
「真理子ぉ」と、また別の女の子が走ってやってきた。
陽子は美代子にあいさつすると、
(陽子)「あなたたちを案内しろって言われた」
美代子と真理子はドキッとした。
陽子に詰め寄るように、
(真理子)「案内しろって言った人、どんな人だった?」
(陽子)「えっと、あの、えっと、あれ、おかしいな。ごめん、よく思い出せない」
(真理子)「よく思い出せないって、なんなのよ」
まただ。2人は顔を見合わせた。
碧の時と全く同じだ。しかし、
(陽子)「とにかくこっちこっち」
手を引かれるようにして、校庭の端の方に連れていかれた。
(真理子)「どうしてここなの」
(陽子)「さあ、よくわからないよ。あたしには」と言うと行ってしまった。
校舎の向こうの方には並んでいる模擬店見える。
コンサートをやるための大きいステージもある。
上に飾ってある看板の反射がキラキラ輝いていてまぶしいくらい。

椅子が2つ用意してあり、とりあえず座ることにした。
(真理子)「なんか飲む」
(美代子)「それじゃお茶を」
真理子がお茶をもらいに行ってしまうと、美代子は立ち上がってキョロキョロとあたりを見回す。
たくさんの生徒や来客が目の前を行き来しているが、ありふれた情景である。
特段に変わった様子はなにもない。
どこかの屋台からおいしそうな匂いがしてくる。
食べ物とは違うハープのような香りもほんのりとしてくる。
(美代子)「そういえば、アロマセラピーの屋台(?)もあるようなことを言っていたな」
気持ちの良くなるような不思議な香りがする。
(美代子)「後でちょっとのぞいてみようかな」
通り過ぎる生徒たちが、会釈しながらも美代子をジロジロと見ていく。
(美代子)「?」
そのうちに真理子がお茶をもらって戻ってきた。
紙コップに入ったお茶を渡されたが、
(真理子)「おかあさんモテモテみたい」
(美代子)「なにが」
(真理子)「あっちで噂になっていたよ」
(美代子)「なんで」
(真理子)「美人だってさ」
噴きそうになった。
(美代子)「何言ってんのよ。一応仕事中だ」

お茶を飲み終わったが、さてどうするか。
(美代子)「ここでずっと待ってるの」
(真理子)「どうしようか。あっちの出方がさっぱりわからないな。下手に動くと・・・」
と、つぶやきながら、ふと地面に目をやると、
(美代子)「あれっ?これ何?」
いつの間にか足元に紙切れが落ちている。
何か書いてあり、2人は顔を寄せて一読するが「・・・!!!」である。
口にするのも憚(はばか)られる、ものすごくいかがわしい内容であった。
『後で自己紹介をするべし、内容は・・・』
(美代子)「な、内容は、スーパーガール名、正体者の氏名、年齢、年齢ってなによ!、身長、体重・・・」
美代子は顔がだんだん赤くなり、さらに赤くなり、そして真っ赤っかになって怒りだした。
(美代子)「こんなん言えるか!真理子も見なさんな」
ひったくろうとするが、
真理子は「ちょっと待ってよ、え、え、なんだって。・・・た、体重、バスト、ウエスト、ヒップ・・・乳・・・ま、ま・・・いやらしい、何よこれは」
一体いつの間に?ほんの今まで絶対にこんなものはなかった。
美代子と真理子はキッとなってあたりを見回す。
「どこだ、どこにいる変態」「下衆野郎。こんなことできるわけないでしょ」と、
真理子はブツブツ言っているが、さすがに美代子は別のことを考えていた。
(美代子:私たちが気がつかない間に、誰かが紙切れを置いて行ったって?
それじゃあもう、すでに私たちは、やつの催眠術にかかってるってこと?)
さらに不安になったのは内容である。
(美代子:自己紹介なんかしたら、スーパーガールの正体がバレバレじゃない)

まるで読み終えるのを待っていたかのように、突然スピーカーから声が流れ出してきた。
2人は「なんだろう」と、思って聞こうとしたのだが・・・
内容を聞くことが、いや理解することができなかった。
突然ボーッとしだして、立っているのもやっとだ。
(真理子)「は、あ、あれ、ど、どうしたんだろ?」
(声)「みなさん、ほんじ・・つ・・は・・・・すー・ぱ・・・」
(真理子)「何、なんて言ってるの。何言ってるかわかんないよ」
美代子と真理子は頭がクラクラして何も考えることができない。
(美代子)「ど、どうしたんだろ、いったい」
目が回る、足元がフラフラする。
やっとスピーカーの声が怪盗ピエロであることはわかったのだが・・・そこまでであった。

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