復讐劇場 その5
(ピエロ)「これで終わりだと思うなよ。えーとぉ、次は・・・」
「まだあるの!今度はどうするのよぉ」と、真理子が泣き叫ぶ。
(ピエロ)「そうだな、スーパーガールとスーパーガールRを戦わせてみたいな」
(真理子)「戦う?あたしが敵うわけないでしょ。前みたいに負けるよ」
(ピエロ)「前みたいに負ける?それはなんだ」
美代子は「真理子、余計なこと言わないのよぉーーー」
(ピエロ)「なんだいなんだい。聞きたいな」
真理子は『しゃべるまい』と、必死になって顔を引きつらせている。
「う」「う」「う」と、口をつぐむものの、口が勝手に動き、みっともないことを全部しゃべってしまった。
(ピエロ)「なるほど、それで母親に負けたってか?」
美代子は必死になってとぼける。
(美代子)「はいぃ?何のことを言っているのかな」
(ピエロ)「大事な所にワイヤを引っ掛けて引っぱったのか。なるほど」
盛り上がっていた歓声が潮が引くようにさめていく。
あちらこちらから「いやだ」「不潔」「最低」「バカみたい」と、(主に女子から)声が巻き起こる。
美代子も真理子は、もう真っ赤に青ざめた顔だ。
『これは夢に違いない』『気を失ったらどんなに楽か』などと、思っている。
美代子はまだ言い訳を続ける。
「いや違うのよぉ、あれはミスターNの罠にかかって・・・」
「あたしのなんか、見てもつまらないよ。もう勘弁してぇ」
とうとう甲高い悲鳴を上げて懇願しはじめた。
もちろんピエロは笑いながら無視する。
「みんな見たいか」「オー」と、成り行き上は当然そうなる。
(ピエロ)「はい、じゃあ真理子さんリベンジさせてあげる。早速やってもらおうか」
美代子も顔を引きつらせて「いやだ、いやだ、いやだ。絶対いやだぁーーー」と叫ぶ。
しかし無情にもピエロは手を叩いた。
もう一回手を叩く音が聞こえると、真理子はすでにペンチを持っている。
目の前には、同じく気がついた美代子が悲鳴を上げた。
(美代子)「キャーツ、なによーこれ。この格好は!」
大開脚をしてさらに、割れ目をいっぱいに開き観客に見せている。
(ピエロ)「準備は整いました。さあ、リベンジをどうぞ」
とうとう美代子も半べそになって喚きだした。必死になって懇願する。
(美代子)「や、やめてぇ。お願いします。やめてください・・・」
しかし、美代子は下半身をリンボーダンスのような格好にして、さらに観客席の前まで出て来た。
顔を背けて逃げだす者が続出。しかしこの場から去ろうしない者も結構いる。
好奇心には勝てないということか。
口に手を当てて成り行きを見ている女性もいる。
美代子は躊躇(ちゅうちょ)せずに膝を曲げると、ペンチが届く高さと位置に割れ目を合わせた。
真理子も座り込んで、手を震わせながらペンチの位置を合わせる。
(美代子)「ちょ、ちょっとぉぉぉー。お願い、お願いします」
観客にもはっきりと垂れている『モノ』がみえる。
(美代子:もうダメか。あたしの品性も完全に地に落ちた・・・いや待てよ、うん、たぶんうまくいく)
妙案がひらめいた。)
(美代子)「さあ真理子、もういいから早くしてよ。いいから早くしなさいよ」
(真理子)「何言ってるのよ。こんなみっともない事できるわけないでしょ」
(美代子)「いいからさっさとやんなよ。やれったら」
聞いているうちに、真理子も何かイライラしてきて、
(真理子)「わかったよ。恨みっこなしだからね」
ペンチでグッと挟む。
(美代子)「ウワッ、痛たたた」
グーッと引っ張るとさすがにちぎれてしまったようだ。
(ピエロ)「あれあれ、スーパーガールのナニがちぎれてしまいましたよ」
ピエロは笑いながら得意の絶頂であったが・・・
「ん?」と、なにか考え始めた。
やがて笑っていたピエロの顔がだんだんと青ざめていく。
(ピエロ)「美代子、あ、あ、あ、もしかしてお前・・・しまったかな」
舞台から降りて逃げようとしている。
会場からブーイングが起きる。
「う」、美代子はしゃがみこんでいたが、すぐに起き上がる。
(真理子)「おかあさん、大丈夫なの?」
(美代子)「大丈夫じゃないけど、大丈夫だよ。元に戻るから。それよりピエロを追わなくちゃ」
これだけの騒ぎの割には、幕切れは非常にあっけなかった。
チョン切られた激痛によって、美代子の催眠術がとけてしまったというわけ。
ピエロは全裸の美代子に投げ飛ばされて気を失った。
しかしすぐにたたき起こされた。
ピエロの首を絞めながら、
(美代子)「今から私の言う通りにしなさい。さもなければ・・・」
すさまじい美代子の形相を見て真理子は、
(真理子)「ピエロの奴、調子に乗りすぎたな」
(美代子)「あんたの催眠術で、観客たちの記憶を消しなさい。消せぇ!」
こうして美代子たちのパフォーマンスを見ていた観客たちは、ピエロの催眠術によりすべてを忘れた・・・と、いう具合には、やっぱりいかなかった。
SNS上に残った画像等の物的な証拠は残ってしまっている。
完全に消せるわけがない。
(美代子)「失敗だったな。後始末、どうしよう・・・」
頭を抱えるのだった。
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