呪術人形の罠 その3
魔老女は裸の人形を立たせて固定すると体形を整えはじめた。
姿勢を正し、手の位置を直し、首の向きを変える。
体や手足のところどころを金属板に、針金で丁寧に括(くく)り付けて固定していく。
やがて・・・物思いにたたずんでいるようなポーズができあがった。
(老婆)「こんな感じかな。どうだい、人形らしい格好になっただろ」
ミスターNは気が気じゃない。
邪魔が入ると具合が悪いのだ。
(Mr.N)「早くしろよ。スーパーガールRが助けに来るかもしれないぞ」
「お前さんは心配性だね」笑う。
(老婆)「マスクはすぐに結界の箱に入れただろうが」
不幸なことに、スーパーガールは緊急事態の信号を外部に発信できなかった。
美代子は廃工場に行くことを、真理子や部下たちに告げてきたが、
車で連れてこられた、このアジトのことまでは誰も知らないわけである。
人形を拾ってから車で連れ去られるまで、ほんの一瞬の出来事であったこともあるが、
こうなると1人で来たことは失敗であった。
そして魔老女の言葉の通り、ミスターNは心配は杞憂に終わったようだ。
作業はあっけないほどすぐに終わってしまった。
(老婆)「おしまい」
ポーズをとった美代子の全裸人形を金属板ごと壺の中に入れてしまった。
(Mr.N)「で、どうなる」
老婆は壺に蓋をしながら「24時間浸しておけば完全な陶器人形になるよ」
そして・・・1日が経ってしまった。
(Mr.N)「どれどれ。できあがっているかな。ほうこれはなかなか・・・」
壺の中から見事な 人形が現われた。
柔らかかった美代子の体はカチカチの陶器になってしまっている。
美しい曲線の体。スラリと長い手足。
立派な乳房や割れ目などもついている。
老婆はヌード人形を、いろいろな角度から見ていたが、
(老婆)「よし思った通りの形になっているね。
ほら見てごらん。もう触っても大丈夫だよ」
ミスターNが手で持って見るが、どうみても陶器製の人形だ。
(Mr.N)「スーパーガールの人形か。オッ、ちょっと重いな。ふーん、お、これは見事だな」
敵ながら、やはりスーパーガールは美人だ。
『人形は顔が命』などと言われるが、整った顔に、吸い込まれるような美しい目をしている。
おまけに見事なプロポーションも持っている。
(Mr.N)「敵じゃなきゃ、秘書にでも雇いたいところだったがな。
へへ、もう動くこともできないか」
ミスターNは、ぞんざいに人形を扱っていたが、
(老婆)「おい、あんた、気をつけな」
(Mr.N)「うん、なにを」
(老婆)「落とすなよ。落とせば割れちまうよ」
(Mr.N)「それもそうか。本当は粉々にしたいところだがな」
これだけでも芸術作品に値するが、老婆は念を入れよ、と言う。
(老婆)「このまま外部に出したら、必ず足がつくよ。まあ、まかせな」
(Mr.N)「まだなにかするのかい」
(老婆)「さあ、仕上げだよ」
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