永久の眠り その2
碧(あおい)はミスターNの脱獄、暗躍の話を聞いて、
(碧)「あのさ、あたしもなんか手伝うよ。いや手伝わせてほしいんだけど」
(真理子)「その気持ちはありがたいけど・・・だけど気持ちだけね」
危険だし、なんの能力もない碧を危険な場所に連れて行くわけにはいかない。
(碧)「そ、そうだよね・・・」。
実は、碧もこの3年間の間に、自身の能力を高めるべく修行を積んできた。
超能力の方は結構使えそうなレベルにあがっている。
しかし、武術などの心得はカラキシない。
素手だけで悪人に立ち向かったら簡単に殺されてしまいそう。
真理子が「ぜひ手伝って」などと言うわけがない。
なんとか真理子の力になりたいとは思うのだが・・・
そこで、自分1人でなんとか彼女の役に立ちそうな手掛かりを得てやろうと思った。
最近誘拐魔が出没すると言われている、人通りの少ない道である。
碧は木刀1本を持って歩いている。
それぐらいしか手に入る獲物がないのだ。
でも「あたしだってやろうと思えばできるんだから」
『超能力』という武器はあるのだが『極力使いたくない』という、考えをまだ捨てきれていない。
今回もそれを使うつもりはまったくなかったのだが・・・
歩いていると、電柱の所に大きな荷物を持った男が2人立っている。
「?」
(いやな予感がする。あの男たち、絶対にあたしを襲ってくる。まちがいなく襲ってくる!)
碧の直観力、いや予知能力である。
碧は目を合わせないように、ものすごく用心して、ソロリソロリと、わきを通り過ぎようとした。
案の定だった。
(男)「おい」
(碧)「え?はい」
突然、ノズルの先から液体が噴霧されてきた。
咄嗟に「あれを浴びると固まってしまうんだ」と、真理子が言っていたのを思い出した。
超瞬間接着剤のソリッドネオ液である。
(いやだ。こわいよぉ!)
今の今まで自分がやろうとしていたことなどは一瞬で吹っ飛んでしまった。
「キャー」と叫んで目をつぶってしゃがみこんだ。
噴霧された液体を、突き出した両手で防ぐような恰好になったのだが、
男たちが「うわー」と、叫び、ガタゴトと音がして、後はシーンとなった。
恐る恐る目を開けると、男たちが固まっていた。あたりには噴霧装置が転がっている。
「???」
碧は呆然と立っていたが、気を取り直すと、
「やっぱり、あたしには無理だった」と、走ってその場から逃げ帰った。
付近をパトロールをしていた真理子が悲鳴を聞いたが、
「なんか男の悲鳴もまざっていたみたいだな?」
スーパーガールRに変身して、付近を探していると、
「あ、碧!」向こうの方を走って行く。
しかしただ逃げていくだけであり、彼女自身は無事のようだ。
そしてすぐそばに固まって倒れている男たちを見つけた。
のちほど、警察とスーパーガールRが男たちを問いただすと、
「女が両手を前に出したら、噴霧液が逆に俺たちに戻ってきたんだよ。本当だぞ」
「?」
碧が超能力で噴霧液を吹き返したことなど、誰も想像できるわけもない。
次の日、真理子は碧を呼び出した。
(真理子)「きのうの2人、あれどうやったの」
碧はうつ向いて「知らない」「わからない」と、はぐらかそうとする。
真理子はだんだんムッとしてくる。
(碧:お、怒ってる。どうしよう)
(真理子)「あんたさあ・・・」
説教が始まった。
碧は真理子のためにと弁明するが、そのうちケンカのようになった。
(真理子)「あんたが死んじゃったら困るんだよ」
碧も「フン」と、「わかったよ、もう手伝わないから。なんだよもう」
立ち去ろうとすると、
(真理子)「ちょっと、あの2人は、どうして、ああなったのかって聞いてんのよ」
(碧)「それは言えないわ」
碧は逃げようとした。
「教えなさいよ」捕まえようと飛び掛かったが、
「なにすんのよ」碧は反射的によけて、つんのめり、
「あっ」「あっ」2人同時に声を上げた。
真理子は呆然と立ち尽くす。
(真理子)「き、消えちゃった。碧が消えちゃった」
目の前の碧が消えている。
碧は、今いた場所よりはるか先の校庭の端で転がっていた。
そして「しまったぁ」と思っている。
(碧)「あちゃあ・・・使ってしまったよ」
無意識のうちにテレポテーションを・・・
少し後、再び2人が立っている。
真理子は腕組みをして「さあ、納得いくように説明して」
碧ももう隠せない。
ボソボソと「あのさぁ、超能力で」
(真理子)「はぁ、超能力?!」
今までの経緯を説明する。
(真理子)「信じられないなぁ」
(碧)「だって見てたでしょ」
それはその通りだ。事実である。
真理子はため息をついて、
(真理子)「それにしても、そんな大事なことを、今まで教えてくれなかったなんて・・・」
それについては、碧は一言もない。
(碧)「ごめん・・・あんまり知られたくなかったの」
碧はすごすごと去っていった。
真理子は「少し言い過ぎたかな」と思った。
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