永久の眠り その3
夜になった。
真理子は強盗事件で警察を手伝い、帰路についたところである。
「ん、なんだこれ?」
道の真ん中にきれいな縁取りの有る手紙が落ちている。
「手紙・・・って?」
拾ってみると「あっ」となった。
差出人が『ミスターN』と、なっていた。
中を開けて読んでみると、
『本間真理子
スーパーガールのことについて知りたければ、すぐに▽◇ビルまで来い。
ただし警察を含め、他の者には一切知らせるな。
知らせた場合は、彼女の手掛かりは一切なくなると思え。
ミスターNより』
となっていた。
真理子は当たりを見回すが、もちろん誰もいない。
『罠の可能性が高い』などということは十分承知ではある。
しかし美代子のことを言われると、居ても立ってもいられなくなった。
彼女の頭には「とにかく情報が欲しい」の一点しかない。
急いで▽◇ビルに向かった。
『もし』が許されるならば・・・
このとき、真理子が碧を一緒に連れて行けば、真理子の人生は違っていたものになっていたかもしれない・・・
深夜の▽◇ビルの地下室。
もちろんここでは魔老女が手ぐすねを引いて待っている。
入念に準備した罠がいたるところに張り巡らされている。
しかし真理子は正面から建物の中に入っていった。
ボロボロの床をふみしめながら進んでいく。
(真理子)「誰もいないじゃないの」
突然、後ろから声が・・・
(Mr.N)「よく来たな、本間真理子」
(SR)「あ、ミスターN。と、それから・・・」
(老婆)「お初にお目にかかりますね。わたしは魔老女という妖術使いです。以後お見知りおきを」
(真理子)「フーン、それで、スーパーガールのことって、お母さんに何をしたのよ」
(Mr.N)「それはお前さんを倒してからだ」
手下がバラバラと現われて、2人はさっと姿を消し奥の部屋へ。
(真理子)「あ、逃げるか!」
真理子は、冷静に落ち着こうと努めるが、どうしても焦り気味になる。
手当たり次第に手下を投げ飛ばし、蹴り上げ、部屋を飛び出した。
『よし、変身』と、叫んで、2人の後を追う。
2人が飛び込んだと思われる部屋に入ると、
(SR)「うっ、これは!」
ガラス台が並べられている部屋であった。
スーパーガールRは嫌な感じがした。
(SR)「ガラスって・・・この部屋は・・・」
そう、以前ミスターギヤマンと戦った時を思い出した。
そうすると、このガラスは・・・
うっかり触るのは危険だ。魂を吸い取られてしまう。
スーパーガールRは、腰から銃をぬいてガラスを撃ちだした。
ガラスはガシャンガシャンと音を立てて砕け散った。
すべてのガラスを割ってしまうと、あたりはシーンとなってしまった。
(SR)「あいつらはどこに?」
次の部屋の扉を開ける。
隣の部屋には、またしても台座に固定されているガラス台が並べられている。
ひどい目にあった、あのいまわしい時のことを思い出した。
(SR)「なんかいやだな」
心理的にも追い込まれていくような気がしてくる。
いやな予感はどんどん大きくなるが、気力をふりしぼって邪気を払うように叫ぶ。
(SR)「悪人なんかに負けるものか!」
注意深く中に入っていったが、
「?」
突然、ガラスの中がうっすらと光りだした。
全てのガラスに突然ボワンと美代子が映し出された。
(SR)「あ、おかあさん」
美代子がガラスの中に閉じ込められている。
1枚にあわてて近寄って、ハッと気がつく。
これは罠だ。罠に間違いない。
あのガラスにも、このガラスにも 美代子が悲し気に立っている。
真理子は銃を両手で構えて、撃とうとしたが、手が震える。
これは罠、絶対罠だ。中の美代子はホログラムのニセモノだ。
でも、でも、撃てない。
美代子に向かって銃を引くことができない。
真理子はガラスを見ているうちに頭が混乱してきた。
ホログラムだということは、ニセモノ物だということは、頭の中では十分わかっている。
間違いなくわかってはいるのだが・・・
魔老女の声がささやくように聞こえてきた。
(老婆)「もしかして、この中に本物がいるかもしれないよ。それでも撃つのかな?」
真理子は「ウソだウソだ!」と叫ぶ・・・が・・・。
いや絶対にウソだろう。
しかし頭の中に「だけど、もしかしたら・・・」と言う声が響きだした。
ガラスは徐々に真理子に迫ってくる。
「真理子、助けてぇ・・・」ガラスの中の美代子がうったえてくる。
そんなことはない。あるはずがない。
ガラスの中の魂は微動だにできないはずだ。
罠とはわかっている。でもでも・・・もしかして・・・
真理子は焦りだした。どうすれば切り抜けられる?
一歩二歩と、後ろに下がるが、すでに後ろにもガラス台が迫っていた。
早く引き金を引かないと、ガラスに魂を吸い取られる。
しかし、でも・・・
とうとう完全に四方をガラスに囲まれてしまった。
真理子は銃を構えたまま、目をつむった。
そして、銃を下ろしてしまった。
その場に立ちつくして、
(SR)「ダメだ。あたしには撃てないよ」
ホログラムがフッと消えて、ガラスが真理子を押し付けるようにして・・・
隠し扉からミスターNと魔老女が現われた。
魂が封じこめられている、一枚のガラス板の前に立つと、
(Mr.N)「やっぱり、まだ子どもだったな」
真理子は冷静かつ非情になり切ることができなかった。
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