妄想別館 弐号棟


報仇雪恨の巻 その3


古ぼけた建物・・・▽◇ビルである。
見張りの男たちが何人も立っている。
そしてここは、真理子が魂を抜き取られて葬り去られてしまった場所である。
もちろん3人はそんなことは知らない。
茂みの陰を縫うように進んで行き、入口が見える位置まで来た。
美穂と夏美はうなずくと、変身の呪文をとなえた。
そして2人のスーパーガールが立っている。
イエローは、碧に向かって「決して無茶をしないようにね」
碧はうなずいた、一応は・・・

(G)「どうする。思ったより見張りが多いよ。あんなに大勢じゃ、入口にたどり着く前に乱闘になっちゃうな」
碧が「あたしが吹き飛ばして押さえつけます」と乱暴なことを言いだした。
(G)「警報が鳴ったらミスターNは逃げちゃうよ。
それに、最初からフルパワー出してたら、すぐに疲れちゃうでしょ」
(碧)「そんなこと言ってられないわ!」
(Y)「まあ、ちょっと、待ってよ。
ベネチアンマスクの能力を使えばそんなに疲れないから、あたしたちがやるよ。
グリーン、谺(こだま)を返せる」
(G)「もちろん」
(碧)「こ だ ま、ってなにそれ?」
(Y)「ヨシそれで行こう。見張りを谺でひきつけてる間に突っ込むぞ」
(碧)「ねえ、谺って、どういうことよ?」
(G)「まあ、見てなって」
夏美が口に手を当てて、「こっちだぞ」とささやくと、はるか向こうの森の方から、
「こっちだぞ!」「こっちだぞ!」「こっちだぞ!」と、大きな叫び声が響きわたる。
見張りは突然の大音響に驚き、
「何だ何だ」「確認して来い」と、声のした森の方に大勢が走って行く。
だいぶ減ったが、入口にまだ3人ほど立っている。
(碧)「え、なに今の、どうして?」
イエローとグリーンは、碧にかまわず、
(Y)「どうしようか、あの3人は」
(G)「3人ぐらいだからイエローがやってよ」
(Y)「しょうがないな」
碧はイエローを見たが「あっ!」と、声をあげてしまった。
イエローはスッと、一歩足を踏み出した。
飛び出すのかと思ったら、なんと、もう建物の入口の所に立っている。
(碧)「き、消えた?え、なんであそこにいるの」
入口の見張りも何が起こったかわからない。
いきなり目の前にスーパーガールが現われた!
彼女は一瞬で3人の見張りを手刀で倒し、合図を送ってきた。
(碧)「今の、いったい何よ?瞬間移動のようだったけど?」
50メートルはある距離を一瞬で移動?
(G)「まあ、あれがイエローの能力だよ。説明はあとあと。行くよ」
グリーンは走り出した。
(碧)「あ、待ってよ」
碧も後を追って走る。
しかし谺の鳴った森に向かった連中も、すぐに入口の異変に気がついた。
すでに半数くらいが引き返して、入口に向かってきている。
建物の中からもすでに数人が現われて、イエローと対峙している。
(G)「もううまくいかないなぁ。碧さん先に行ってて。イエローに加勢をして」
(碧)「あなたはどうするのよ」

ビルの中には、数人の悪人たちが騒いでいる。
ミスターNと魔老女、それに最近脱獄したミスターギヤマン、それに名の知らない2人。
昨日の善後策について話をしている。
(Mr.N)「スーパーガールが現われたって、しかも2人だ」
(老婆)「まあ、こいつでないのは確かだが」
目の前には、レジンに閉じ込められたスーパーガールR、つまり真理子の体が置いてある。
ミスターNの本拠地にずっとオブジェのようになって飾られていたということだ。
(Mr.N)「それじゃ奴らは何者なんだ。とても素人とは思えんぞ」
昨日の戦い方を見ると、少なくとも前のスーパーガールと同程度の戦闘力はあると思われた。
(ギヤマン)「ま、新手のスーパーガールって、ところだな」
警報が突然鳴った。
ミスターNの手下が叫んでいる。
「3人ほどが侵入してきました。2人はスーパーガール、あと1人も女です」
うわさをすれば何とやらである。
あわててモニターを見てみるが、
(老婆)「なんだ、もうやって来やがった」
まさにいきなりの来襲であった。
スーパーガールたちの突然の出現で、さすがに用心深い悪党たちも逃げだす暇がない。
(Mr.N)「やっぱりマスクの色が違うな。あと1人は?」
(ギヤマン)「あ、あいつは警察だよ。僕の所に面会に何度か来ていた」
(Mr.N)「あいつら、またしても邪魔をする気か・・・」
(ギヤマン)「いいじゃないか、まだ、ここには妖術ガラスがたくさん残っているんだ。
あいつらも、これで片付けてしまえば」
魔老女とギヤマンはあまり気にしていない様子だが、ミスターNは気が気ではない。
せっかく軌道に乗ってきたマネキン事業がまた頓挫しかねない。
(Mr.N)「おい、お前をわざわざ助け出してやったんだぞ。少しは手を貸せ」
(ギヤマン)「わかってるって。それじゃ僕も手伝ってやるぜ」
ミスターNの様子を見て、老婆は笑っている。
(老婆)「お前さんの心配性はあいかわらず治ってないな。ああ、まかせておきな」

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