報仇雪恨の巻 その6
魔老女を追って行ったスーパーガールG。
待ってましたとばかりに、手下が次々とかかってくる。
(G)「もうじゃまじゃま。どいてよ」
殴り飛ばして、蹴り飛ばして。
本音を言うと、彼女は美穂や碧みたいに、体術はあまり得意ではない。
ただしスーパーガールGになっている時は、植物を武器にすることができる。
しかしこの通路には・・・
(G)「なによ、観葉植物さえないじゃないの」
何もなくてはしかたがない。
素手で戦っているが、人数が多いし、疲れるし。
その間にも魔老女はどんどん逃げていく。
(G)「あ、ちょっと待ってよ」
業を煮やしたグリーンは、
(G)「もう、しかたがないな」
飛び下がると、右手を上に上げて人差し指を立てる。
そして彼女は何か呪文を唱え始めた。
これはスーパーガールG、つまりベネチアンマスクの能力ではなく夏美自身が持っている妖術。
(手下)「ん?何のマネだ」
見ていた手下たちはすぐに同士うちをはじめた。
1人だけまともなのが掛かってきたが、すぐに手刀で倒した。
お互いを殴り合っている男たちの脇をすりぬけて、
(G)「それじゃあね」
グリーンは老婆の後を追いかけて行った。
妖術による催眠術であるが、これは精神力の弱い三流の相手にしか効果が無いのである。
魔老女は最初から「妖術ガラスの部屋に誘い込んで・・・」と、考えていた。
手下たちが時間を稼いでいる間に、即席の罠を張り待っていると、
思惑通りにグリーンが「ここにいるのね」と、入ってきた。
老婆はしてやったりとばかりにニヤリと笑い、
(老婆)「さあこい、決着をつけてやる」
(G)「なにこの部屋は?」
スーパーガールGは興味深そうに部屋の中を見回している。
(G)「ガラス部屋かぁ、嫌いじゃないなぁ」
(老婆)「何ブツブツ言ってのさ」
ガラス台が突然グリーンに向かって動き出してきた。
(G)「オッと」
さすがにただのガラスではないだろうと思った。
直(じか)に触るのは危険な気がする。
しかし徒手空拳、素手の彼女は碧と違ってガラスを割ることができない。
(G:なんだ殺風景な部屋だな。ここにも植物がなにもないのか。これじゃ不利かも)
この部屋にも武器として使える植物はなにもなかった。
呪符は使えるが、生身の人間には効き目が・・・全然ない。
老婆は術師である。妖術も効かないだろう。
(G:やっぱり素手で捕まえるしかないか。でもな・・・)
老婆はその姿によらず、軽い身のこなしだ。
並んでいるガラスをうまく利用して、スルリスルリと彼女の手から逃げる。
(G)「ガラスがじゃまだなあ」
老婆は「どうしたどうした」と、はやし立てる。
(G)「往生際の悪い。さっさと捕まりなよ」
グリーンが逃げ場のなさそうなところに来るのを待っていたように、
「ヒヒヒ」と、笑い「そうらよ」と粉のようなものを振りかけてきた。
(G)「ベッ!なによこれ」
よけきれなかった。
初歩的な手であるが、まんまと引っかかってしまった。
しびれ薬のようなものを、もろにかぶってしまい、
(G)「しまった。なんか目が回るな」
目まいがして、しゃがみこんでしまった。
すぐにガラス台が迫ってきて、
(G)「あ!」
完全に囲まれて、逃げ場がなくなってしまった。
魔老女は勝ち誇ったように「とどめだ」と、叫んだ。
夏美の魂も、あっけなく封じ込められてしまった。
老婆がガラスを覗き込みながら「もう全く動けまい」
(夏美:なるほどな。こうなるのか)
グリーンの体が目の前に倒れている。
手足を広げて、目や口を開けたままで。
(夏美:なんか情けないな)
我ながらだらしない格好だな、と思った。
自分の体なのに直したくても直せない。
ただ見ているしかないというのは結構歯がゆい。
しかし夏美は今までガラスに閉じ込められた者と違って余裕がある。
(老婆)「この体はもらっておくよ」
グリーンの体をひっくり返して、なでて、さすって、いじくって・・・
(夏美:なんか気持ち悪いことしてるな。それあたしの体だぞ。ちょっとやめてよ!)
(老婆)「案外大したことなかったな。それじゃ魂の方は粉々に・・・?!」
老婆はギョッとした。目が見開きヒィーと、悲鳴を上げた。
何に驚いたのかと言えば、
まばたきすらできないはずの夏美が、ガラスの中でニヤリと笑っているのだ。
老婆はあわてて台座ごとひっくり返した。
ガシャーンという音とともにガラス板は粉々に。
老婆はホッとした。夏美は死んだはずである。
(老婆)「ふん、ざまあみろ。しかしあの笑ったのって、何だったんだろ」
(夏美)「こういうことよ」
ギョッとして振り返ると別のガラスの中に夏美が立っている。
ケラケラ笑いながら「あたしを裸にしたのって、高くつくよ」
突然、ガラスの中から腕が伸びるように出てきて、魔老女の腕をつかんだ。
(老婆)「あ、あ、ばかな!」
彼女はもがいて暴れるが、
(老婆)「なにを、何をする―ぅーーー」
ズルズルとガラスの中に引き込まれていく。
(老婆)「やめろ、やめろ―――ぉ」
とうとうガラスの中に引き込まれてしまった。
夏美は老婆と入れ違いにガラスから出てくると、倒れている自分の体に、体の口にスーッとはいっていった。
倒れていたスーパーガールGはゆっくり起き上がる。
(G)「ああ、だるいな。まったくもう」
ガラスを覗き込みながら、
(G)「婆さんの裸なんか誰も見たくないでしょ。だから体ごと封入してあげたんだよ」
これはギヤマンにはできない術であったのだが・・・
もちろんガラスの中の老婆はもう写真のように動かない。
他のガラスが全裸だったのに対して、老婆だけが服を着ているのが奇妙である。
奪魂術も、ガラスや鏡の中の移動術も、妖術使いの夏美の得意中の得意技である。
また、ギヤマンはスーパーガールGの正体を知らなかったが、
後で夏美がギヤマンのことを聞くと、
(G)「なーんだ、あいつはあたしの叔父さんの弟子じゃないか」
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