倉庫街の捕物 その3
液体窒素で満たされたプラ船のような金属製の専用容器。
それが2つ、専用のフォークリフトで運ばれてきた。
言うまでもなくブルー用とグリーン用である。
容器からはボコボコと気化する窒素と真っ白い冷気が噴き出して、
室内はまるで『雲の上にいる』ような様相を呈している。
この様子をモニター越しに見ている、レディ・イーリスである。
(手下F)「しかしすごい威力でしたね。あの爆弾は」
(Iris)「まあな。おい、換気に気をつけろよ!」
(手下F)「スーパーガールたち、何もできないうちにカチカチになっちまいましたね」
本来は、マグロや捕った魚の瞬間凍結用につくられたものだが、悪用すればこの通り。
(Iris)「フフフ、スーパーガールの冷凍マグロか」
液体窒素・・・文献によれば、摂氏マイナス196度だそうだ。
しかしこの瞬間結爆弾は、それ以下の摂氏マイナス270度。
ほぼ一瞬で液体ヘリウムの温度まで冷却してしまうらしい。
恐るべし!
さて、ここからは所謂(いわゆる)、凍結破壊の描写である。
男たちは魚の処理だけではなく、残酷なことにも慣れているようだ。
「それじゃ早速、運びやすいようにバラすか」
二組に分かれて、ブルーとグリーンの解体処理を始めた。
いやらしい奇声をあげて、岩盤破砕用のハンドハンマーをとり出してきた。
「いくぞぉ。しっかり押さえておけよ」
1人がブルーの手首をつかんで、もう一人がハンマーを肩に振り下ろした。
バコッという音がして、ブルーの右腕は肩からもげてしまった。
とれた腕を金属容器の中に放り投げる。
「ほら次、左腕だ」
同じようにハンマーをふるって『バコン』と、鈍い音が。
両腕を失ったブルーは、ほっそりした姿になって見える。
「頭を外すぞ」
1人が彼女の両耳を押さえつけて、もう1人の男がタガネを当てて首のあたりをハンマーで打つ。
『バコッ』と、はじけ飛ぶようにとれてしまった。
「そうらよ」と、ボールを放るように金属容器の中へ。
「ほら次は胴体だ。胴体と右脚を押さえろ」
1人が胴体のくびれを抱えるようにした。
「しっかり押さえておけよ」
右脚太ももつけ根、ビキニの縁のあたりをボコンと。
『ガキン』と音がして、胴体と右脚が離れた。続いて左脚も。
胴体を持ち上げて脚と離したが、なんと両脚は床に凍り付いたままだ。
2本の脚とも、まだニョキリと立っている。
芸術的な表現で言えば、床から足が生えている・・・なのだろうか。
ブーツの底をノミでたたくようにして外した。
「よし1体終了だ」
ブルーはバラバラに解体されて、金属容器の中に沈んでいる。
グリーンも同じように解体されたが、ブルーに比べてかなり雑だったようだ。
単純に押し倒されて割れてしまって・・・!
バラバラにされた2人は液体窒素の入った容器に入れられて運ばれて行った。
さてどこへ行くのか?
2人の運命はいかに?
グリーンは作業場のようなところに運ばれてきた。
頭を金属容器からとり出して台の上に押さえつける。
「まるで晒し首だな。よしマスクをとれ」
ベネチアンマスクを引っ張ってみたが、とれない。
「ダメですよ。貼りついているみたいで」
「ヨシ、それじゃ頭を少し砕いてみろ」
生身の時は絶対に取れないマスクであるが・・・
超低温になっているためか、あるいはカチンカチンになっているためか、
軽くたたくと、今度はあっけなく簡単に外れた。
初公開、ビキニのコスチュームは着ているが、
ベネチアンマスクはつけていない、グリーンである。
スーパーガールの素顔、めずらしそうに夏美の顔を見ていたが、
「よし次だ、着ているもの脱がせるぞ」
手足の無い胴体を押さえつけて、ブラのわきをカッターで切ってみる。
通常は弾をも弾くボディであるが、マスク同様、超低温だと、その作用も薄れるのだろうか。
『ピシッ』と、音がしてブラの紐は簡単にきれてしまった。
立派な胸がポロリと出てきた。
常温であれば、さぞかし柔らかいのであろうが・・・
ピッケルのようなものでガシガシやってみるが、
「これだけ大きいのに全然柔らかくないな」
「さあ、ボトムもはずせ」
これも簡単に外れてしまった。
というわけで、胴体は裸になった。
しかし彼女は、ベネチアンマスクもコスチュームをつけていないが、スーパーガールの状態なのである。
ということを、くどく付け加えておく。
「ベネチアンマスクとビキニの切れ端は、ボスのところにもっていくように」
「さあ、あとは自由にしていいぞ」
「俺は胸」「俺は腰」「それじゃ腕と足」と、男たちの取りあいが始まった。
さっきまで散々痛めつけられた仕返し。
まさに恨み骨髄に至るか!
ということで、グリーンの各パーツはさらに細かくされていった。
一例をあげれば・・・
腰の部分をもらった男が、グリーンの割れ目にタガネを入れて、ハンマーでたたいた。
割目は、ピシと音を立てて、まさに真っ二つに割れてしまった。
結構エグイが、カチンカチンなのでそんなに血が出るわけではない。
砕けるだけだ。おまけに砕いた破片はすぐに容器に戻すので、
溶けだす血もすぐに凍って固まってしまう。
アチコチに、タガネを当てて手当たり次第にうっていく。
・・・と、いう具合に。
胴体以外の、もも、ひざ、手首、指も、要するに全部だが細かく割られていく。
一通り済むと、
「一応、破片を集めて床に並べてみろ」
数センチほどの破片になったグリーンは、再び砕けた石像のように床に並べられた。
立体のジグソーパズルのようになってしまった。
男たちが上から覗き込み、ニヤついた様子で見ていたが、ホッとしたように、
「あーやっと気が済んだ。よーし、この中に入れて細かい粉末にしろ」
彼女のかけらは、さらに破砕機にかけられて、減圧蒸留器で水分を飛ばされて、
最後は粉末状になってしまった。
だがこれで終わりではない。
今度は別部屋の調理室のようなところに運び込まれた。
男が身振り手振りで、
「醤油と味醂(みりん)と砂糖で味付けをしろ」と。
何をするのか?えらく庶民的な事を言い始めたが・・・
倉庫の外に男が出てくる。
いつものようにバケツを持っている。
そして・・・
いつものようにネコが集まってきた。
そして・・・
いつものようにキャットフードを・・・ではなかった。
今日のキャットフードは一味違う。
島瀬夏美を材料にして作られたふりかけが、キャットフードにたっぷりとかかっている。
「スーパーガールグリーンもネコのエサになってしまったな。ハハハハハ」
ネコたちは夢中で食べている。あっという間に残らず食べてしまった。
やがて満腹になると、舌で口元を舐めながら、前足で顔を洗いながら、散っていく。
はたして、グリーンは元に戻れるのであろうか?
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