妄想別館 弐号棟


凸凹渓谷の決闘 その4


(碧)「それじゃ、超能力ごとなくなってしまったの」
(美穂)「そうなんだよ」
いくら変身してもダメだそうである。
いや変身はできるが力が全くでない。
ベネチアンマスクをしたビキニアーマースタイルのただの女性・・・
コスプレ趣味の女性みたいになってしまったのだ。
(碧)「そんなことってあるのかな。でも怪我がなくて、とりあえず無事でよかったね」
(夏美)「無事じゃないんだよぉ」
大事な部分も取られてしまったと言っている。
(碧)「はぁイ?」
(美穂)「スーパーガールになっても復元しないんだよ。あそこの部分だけは!」
いくら変身と唱えても、とられたまんまで、復元のきざしはまったくないそうだ。
(美穂)「なんとか手を貸してよ。このままじゃやあたしたちの人生は・・・」
美穂も涙目だ。ボディコン自慢の彼女ではあるが、大事な所だけがないとは。
本当に『玉に瑕(きず)』となってしまった?!
それは困ったね。と思うと同時に、
(碧:なるほど。被害者の女性たちの心境は、こんな感じだったのね)
悪人たちを懲らしめなければならないのは、百も承知だが・・・
(碧)「さあてどうしたものだろうね?」
(夏美)「あんただって、迂闊に近づいたら簡単にやられるよ。あの玉は強力な呪具だよ」
(碧)「そうだよね。何か作戦を考えていかないと、ちょっと厳しいよね」
しかし、夏美でもやられるような敵に対して、なかなかいい方法が出てこない。
3人は「ああでもない、こうでもない」と口論していたが、
「妙案が出ないね」
なにせ超能力が吸い取られてしまうのだもの。
美穂と夏美は「一晩考えてみるよ」と言って、今日のところはひとまず引き上げることにした。
碧は2人を送り出したが・・・
「なーんかなぁ・・・」
どうも嫌な感じがした。

美穂と夏美は警察署を出てトボトボと帰路についた。
夏美が「ハァァ」と、ため息をつく。
(美穂)「よしなよ。景気の悪い」
(夏美)「そうだよね。なんとかもう少し情報を集めて・・・ん?」
夏美は立ち止まった。なにか変な気配がする。
(美穂)「どうしたの」
(夏美)「気をつけて美穂。何か来る」
スッと、男たちが現われて、2人を取り囲む。
(男たち)「えへへ、能力がなくなっても、まだ気を感じる力は残っているようだな」
2人は変身したが「あ」、力がほとんど出ない。
(夏美)「だ、ダメだよ」
変身するのがやっとである。
(Y)「あんたたちいったいなんなの」
(男たち)「簡単に言えばだな・・・」
本調子が出ないうちに、スーパーガールを片付けてしまおうと、別の悪人たちが襲ってきたのだ。
『2人のスーパーガールは、現在超能力消滅中』
そのような情報が、悪人たちの間にあっという間に広がっているそうだ。
イエローとグリーンは背中合わせになって、十数人の敵に囲まれている。
よりによって、大人数である。
(Y)「随分大仰なのね」
何気ないふりを装うが、内心は焦っている。
今の状態で勝てるわけがない。
(男たち)「まあな。今までの例に凝りて・・・」
絶対に手を抜かないで攻めてきたと言っている。
良い心がけである。
戦う時は絶対油断しないこと。持てる力を全力でぶつける事。これ戦いの鉄則である。
(男たち)「と、いうわけだ。命は貰うよ!」
殴りかかってきた男のパンチを受けとめたが、
「遅いな」と、手をひねられてしまった。
「あ」イエローは簡単に転がされている。
男たち三人に押さえられたが振り飛ばす力が無い。
(Y)「うっ、放せぇ」
イエローは武術も使えるはずだが、体力も常人以下となってしまっている。
彼女たちは変身こそしているが、現在ただの女性である。
彼女を押さえている男は、腰のホルスターからナイフを抜き放ち、暴れてもがく彼女の首筋に当てようとしている。
(男)「ほれおとなしくしろ」
(G)「あぁ、イエロー」
(男)「お前もだよ」
グリーンを殴りつけていた男の1人が「死ねえ」と、サバイバルナイフを突き入れてきた。
(G)「あっ!ダメェ!」
しかし「ギャッ」と、叫んで男は跳ねとんだ。
グリーンの前に現れたのは、
(G)「あ、ブルー!」
どうも胸騒ぎがして追いかけてきてみれば、このありさまだ。
(B)「あたしが相手になってやる。かかってこい!」
ブルーは、水鉄砲で、イエローを囲んでいる男たちを、一瞬で弾き飛ばし、
グリーンの前にいた男たちを蹴り上げた。
男たちは、突然の新手に「チクショウ」と、言って逃げて行った。
ブルーは追わなかった。それよりも、
(B)「ちょっと、大丈夫かい」
かなり殴られたようだが、深手ではない。
(G)「平気、大丈夫よ」
(Y)「助かったぁ」
(B)「これは早く何とかしないと大変なことになるな。思っているより深刻だぞ」
ブルーは腰に手を当ててつぶやいた。
被害者が増えるのも問題だが、それより前に美穂と夏美が消されてしまう可能性も出てきた。
スーパーガールたちは、悪人万人の敵なのである。
集中的に狙われるのは必須だ。
(B)「とりあえず署に戻ってもう一回作戦を練りなおそ」
美穂と夏美はうなずいた。




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