悪人、ゲームで遊ぶ その4
(ワイン)「全然勝負にならないよ。ブルー強すぎ。ところでそっちはどう?」
(ウイス)「このグリーンていうのも、少し面白いプロフィールだよ」
(ワイン)「へえ、どんな?」
(ウイス)「ちょっと待てよ。今からやってみるから」
(ここはどこだろう)
グリーンは湖の見える森の中に立っている。
(あたしは・・・あれ?)
体が全く動かないのだ。
(どうしたっていうんだ。いったいこれは?)
彼女も今までの出来事を思い出そうとする。
(ブルーと一緒に悲鳴があった方に行って)
少し思い出してきた。
(そうだ、確か2人の男性に会って、それから・・・あ!)
突然、森の中から人が出てきた。
すごい人数だ。20人はいるだろうか。
(あ、あの、あなたたちは?ここはいったいどこなんで・・・ダメだ、声が出ないよ)
しかし顔つきを見ると無表情でというか、感情がまったくないようだ。
(なにあれ、まるで操られている人形みたい)
いきなり、体がガクッと動き出した。とたんに、
(なんだ、あたしはあいつらを殺さなきゃならないんだっけ)
グリーンは手を前に出して開いた。
いつの間にか手のヒラに粉が盛られていて、バサバサと飛んでいく。
(こんな奴ら一瞬で片付けてやる)
グリーンは大袈裟にことを言ったと思うだろう。
しかし、彼女の言ったことは事実であったのだ。
手を振ると・・・手を振り終えると、20人全員の顔に黄色と紫のシミが浮き出した。
数歩歩いたが、バタバタと一斉に倒れてしまった。全員死んでいる。
(弱いくせに、バカみたい。あれ?)
グリーンも手を前に出した格好のまま動けなくなった。
同時に彼女は我に返った。
とたんに絶叫、悲鳴を上げた。
もちろん動けないので心の中だけのことではある。
(ギャァーーー!あたしは、あたしは、あの技を使ってしまったのか!
ちょっと、みんなしっかりして、ダメえ、死なないでぇ・・・)
グリーンは恐ろしさと後悔で泣き出し始めている・・・心の中で。
(ワイン)「なに今の技?」
(ウイス)「毒花粉なんだって。大勢を相手にする時はものすごく有効だよ」
(ワイン)「へえ、すごいな。でも相手が弱かったら一方的じゃないか。つまらないよ」
(ウイス)「そうだよ、だから敵キャラはある程度防ぐ能力を持ってないとね」
ウイスは続ける。
(ウイス)「このグリーンっていうのは、ほとんどが一撃必殺の技ばかりだな。
相手を簡単に殺す技はたくさんあるみたい」
(ワイン)「ふーん、それじゃ人間相手にはあまり使えないってわけか」
(ウイス)「そうだろうな」
悪人といえども、簡単に殺すわけにはいかないから、通常は使えない技が多いのだ。
グリーンが普段、絶対と言っていい程、大技を使わないのはそういうわけであった。
(ワイン)「そろそろ、ブルーと戦わせてみようぜ」
ブルーはボーッと立っている。
(これがあたりまえなんだわ)と、思うようになってしまった。
『なんで戦うの』とか、『ここはどこだろう』とかは、もう思いもつかない。
(向こうに誰か現れると、体が動くようになって・・・)
あとは意識がなくなり、気がつくと敵を倒している。それの繰り返し。
(あたしは出てきた敵を倒すための存在なんだろう)
ただ死んだと思っていた女性たちが再び襲ってくるのを見ると、
(やはり現実の世界ではないのかも)という考えは起きる。
殺しても生き返るのであれば、多少は気が楽になった。
というか、だんだん考えがまったくまとまらなくなっていく。
(あたしって誰なんだろう?)
まだブルーとグリーンは、自分がゲームアバターにされてしまっているとは気がつかない。
まして記憶がどんどん飛んでいくことも。
(なんか同じような人たちが出てくる気がする。5〜6回は倒していると思うな)
(B:あれ、どこかで見た人がいる)
向こうに立っているのはグリーンであった。
ブルーはグリーンを見るとなぜかホッとした気分になった。
しかし次の瞬間には戦闘ポーズになってしまっていた。
(B:あの女は殺さなきゃ。今までのと違って手ごわそうだな)
水鉄砲を全力で噴きつけたが、一瞬早くグリーンは消えてしまった。
(B:どうしたんだ?消えたって・・・)
だが、なんとなくはわかる。
(B:保護色だな。それならば)
右手左手を別々に振って、それぞれの手で水鉄砲をうち続けると、
(あ、当たった!)
グリーンは倒れて起き上がれない。
ひざから下が吹き飛んで、ドクドクと血を噴きだしている。
ブルーも戦闘巧者である。
間髪をいれずに両手を組みなおし、圧力を全開にしてグリーンに水を噴きつけた。
グリーンは立ち上がれないまま、もろに水流を受けて、バラバラに砕け飛んでしまった。
彼女の体はあたりに散らばっている。
そしてブルーの動きが止まった。
(B:まただ・・・緑の人を・・・攻撃してしまった!)
(ワイン)「ほら、まずブルーの1勝だよ」
(ウイス)「まだまだ、今のは本当に小手調べだよ。次からは必殺技を使うよ」
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