ダイヤモンド警備指令 その2
さて次の日。
事件が起きてしまった。いやこれから事件が起きることになっていた。
(せっかくあのクスリを使ってみようと思っていたのにな!)
緊急ということで、朝一番で署長に呼ばれた。
(署長)「実はこんなものがきていて・・・」
(碧)「手紙ですか?」
内容をかいつまんでまとめると、
今週の〇月▽日から3日間、某展示場において、50カラットのダイヤモンドの展示会が行われる。
このダイヤは、日本と某国の友好親善のために特別に国外持ち出しが許可されたものだ。
と、そこまでは碧も知っている。
なんと『そのダイヤをいただきに参上します』と、いう内容であった。
その手紙は彼、いや彼女、いや犯人の彼女からのものである。
(碧)「予告状ですね」
(署長)「そうだ。よりによって保管場所のビルはうちの所轄なんだよな」
(碧)「なるほど」
展示会の時に盗むのではない。
展示会の終了後に『保管するビルの金庫から』と、いうのがミソである。
ダイヤモンドは展示会終了後、某国の借りているビルの10階、そこの金庫に移して保管することになっている。
そして、翌日護送車で運び出すまでは、碧の警察署がビルの警備を担当することになっている。
展示場の警備やダイヤの護送は、警察庁の警備局や警視庁が担当だが、
展示会終了後から某国に返却するまで、つまりビルでの保管については、あまり重要には考えていなかった。
しかし盗まれたら国際問題だ。
警察署のメンツも丸つぶれになるだろう。
そこで・・・
(署長)「警備の指揮を、君に執ってもらいたい」
犯行予告の日時は明後日の午前零時である。一日ちょっとしかない。
(碧)「怪盗の名前は、ミス・ティンカー。愛称はベルだそうよ」
(夏美)「ディズニーですか」
(碧)「それは関係ないみたい」
有名な国際盗賊団で、予告したものは必ず盗んでいくらしい。
(美穂)「で、どうするの」
一応、警視庁の方からも応援人数は来るが、どうにも時間がない。訓練も情報伝達もイマイチだ。
(美穂)「こんなこと言っちゃなんだけど、大丈夫なの?」
(碧)「大丈夫じゃなかったら、非常に困ってしまうのよ、あたし・・・」
怪盗ティンカーは、そこら辺を狙ってきたのだろうな。
どさくさ混乱に紛れて!警備の手際の隙をついて!
またその方が盗みやすいのも確かだろう。
おまけに碧は、副署長の姿で警護に当たらなければならないので、スーパーガールにはなれない。
(碧)「今回は、ブルーの能力は使えないんだよね」
さらに碧は思っていることを言った。
(碧)「怪盗ティンカーは、他にも何か考えてるんじゃないかと思うんだ」
もう少しずる賢いことを仕掛けてくる。絶対に。なにかはわからないが。
(夏美)「ふーん、それでまあ、警備を手伝って、ということね」
(美穂)「まあ協力してもいいけどさ・・・」
あまり乗り気でない様子だ。
(碧)「どうしたの。何か不服があるの?」
(夏美)「いやというわけではないんだけどさ。なんであたしたちが手伝わなければならないの」
(美穂)「そうよ、これは本来、警察の仕事でしょ」
(碧)「それはそうかもしれないけれどさ」
実はこんなことも書いてあった。
(碧)「なお、盗むときは、スーパーガールも手伝ってくれるそうです」
(美穂)「え、それどういうこと!」
(夏美)「それじゃ、この中にそいつの協力者でもいるっていうの!あたしは違うよ」
夏美は美穂を見るが、
(美穂)「な、なによ、何であたしを見るのよ。あたしだって違うよ」
今度は碧を見る、
(夏美)「あんたはどうなの」
(碧)「バカな事言いなさんな。あたしは警備の現場指揮官だぞ。いやいやちょっと待ってよ」
碧が言うには、この中に裏切者なんかいないだろう。
ただし犯人がどういう意図でこんなことを書いてきたのかはわからないが。
署長はじめ幹部職員は「スーパーガールといえども、怪しい者は中に入れるべきではない」
という声が多数であったが、碧が必死になって説得した。
(碧)「まあ、今回は無理にとは言わないよ。凶悪犯人が相手というわけでもないしね」
美穂と夏美は渋い顔をしている。
(碧)「ただ一応、あんたたちには知っておいてもらいたいと思ってね」
2人は顔を見合わせていたが、
「いや、あたしたちも手伝うよ」
展示会は何事もなく終わり、ダイヤモンドは某ビル10階に運び込まれた。
そして、金庫の管理責任者たちによって金庫の中に納められた。
金庫の統括管理責任者が、
「それではあとは、よろしくお願いします」
と言って出ていった。
あと数時間で犯行を予告してきた時刻になる。
碧はこれから、ダイヤが保管してある金庫部屋に陣取って守ることになる。
施設内を巡回してきた警備課長が戻ってきて報告する。
(課長)「ビルの外に約50名。廊下を含めた各階に約30名。
その他階段や非常口付近にもそれぞれ署員の配備が終わりました」
室内にも碧を含めて10名はいる。
警察をあげての総動員体制だ。
これだけ厳重ならば、中に入ればすぐに捕まってしまうだろう。
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