妄想別館 弐号棟


ホン物ニセ物 その8


さて、ドームの外の扉の前では・・・
本物に化けたスーパーガールたちが、警官たちの来るのを待っていた。
(警官)「あ、スーパーガール!」
すぐに警官たちが突入してきた。
(警官)「残っていた手下は全員逮捕しました。副署長の方はいかがでありましたか?」
一応、ブルーは彼らの上司でもある。言葉遣いが丁寧になる。
(B)「そっちはうまくいったのね。こっちはまんまと大物には逃げられたわ」
サイレンの罠だったことを説明する。
(警官)「まだ間に合うかもしれません。一応追いましょう。それ」
(B)「いや、ちょっと待って!」
警官たちが突入しようとするのを止める。
(警官)「え、なんででしょうか?」
ブルーが手で制しながら、
(B)「ちょっと危ないから下がって。爆発物があるの。早くさがって!」
(警官)「は?爆弾ですか?」
ブルーの指示に従い、全員が通路の奥まで下がり終えたとたん、
『グ、グガーーーーーン!!!』
室内からすさまじい音と衝撃がした。
全員顔を伏せるが、扉の外まで影響はなかった。
(B)「危なかった!」

(警官)「ここには何があったのですか」
(B)「なにもない空っぽよ。でもスーパーガールのマネキンが3体置いてあった」
(警官)「は?マネキンですか。なんでまた」
(B)「さあ、わからないな」
爆発は収まったと判断して「さあ行くよ!」
警官たちが飛びついて扉を開けようとするが、ゆがんでしまったようでビクともしない。
(B)「しょうがない。扉を吹き飛ばそう。みんな後ろに下がって」
イエローとグリーンがうなずく。
ブルーは足を開いて構える。
両手を前に突き出して組むと、凄い勢いで水が吹き出した。
バコバコと言う音とともに、やがてドアが吹き飛んだ。
警官たちは、感嘆の声を上げる。
おもわず「おお、副署長カッコいい!」と、声が上がる。
(B)「おだてても何も出ないよ」
彼女は苦笑いだが、少し照れてもいる。
(B)「さあ皆、突入するよ!」
3人が中に踏み込み、後から警官たちもついてくる。

しかし一歩足を踏み入れると・・・
(警官)「あーあぁ、ひどいなこれは」
警官たちが絶句する。ブルーたちも言葉が出ない。
バラバラになったマネキンが部屋中に転がっている。
この有様を茫然と見ていたが、グリーンが声を上げる。
(G)「さあ、犯人を追おうヨ」
警官たちと一緒になって、奥に進みドーム内を調べたが・・・出口はどこにも無いようだ。
(Y)「変だね?」
またしてもやられた。どうやら犯人たちには逃げられてしまったようだ。
言うまでもなく、これは彼女たちの自作自演、いやサイレンから指示された一連の行動である。
本当の総会は、このドームから少し離れた別の場所で、すでに盛大に執り行われていたのだった。
もちろん、このドーム内の状況をライブ放送で見ながら・・・

(B)「うゎぁ、これが唯一の証拠品かぁ」
あらためて、落ちている破片に目をやるが、あまり見たくない物でもある。
(G)「だけどさ、どうするの、これを」
マネキンはバラバラに吹き飛ばされて部屋中に散らばっている。
(警官)「いやいや、ひどい惨状ですね」
(Y)「そうですね」
イエローは警官に相槌を打つが、腕を組んで何か考えている。
(Y)「粉々になっているけど・・・なにかの証拠になるかもしれません。
大変だけど、散らばっているマネキンを集めて組み立ててくれませんか」
「わかりました」と、言って、警官たちは、室内に散乱している破片の回収作業を始めた。
コスチュームのラインの色やガントレット、ブーツの色で判断するしかない。
「これは黄色だな」「こっちは緑のようだな」「これは青でまちがいない」
大きく砕けていて、誰のどの部分かハッキリわかる破片もあるが、全くわからない破片もかなり多い。
「なんだこの変な形は?」「これは手かな足かな?」「どこかの内臓のようだが・・・誰のだろ?」
小石以下の大きさになってしまった破片、砂のように粉砕されてしまった体の一部もある。
どうしようもないので、そういったものは無視することにした。いや、そうするしかないだろう。

(G)「それじゃあたし、いやグリーンのマネキンはここに持ってきて」
グリーンの首は部屋の隅に転がっていたが、1人が抱えるようにして拾ってくる。
右手首、左腕、胴体は数十個に割れていた。
その他、比較的大きい部分にもヒビが入っている。
両脚は太ももまでが胴体にくっついて残っていた。
(警官A)「ひざから下はどこだ?」
(警官B)「こっちにありました。緑色を履いているから、たぶんこれでしょう」
緑のブーツを履いたものを拾ってきて、くっつけてみると、割れ口がピッタリと一致する。
(警官)「ピッタリくっついた。これだこれだ」
まるでパズルであるが、グリーンはだいたい完成だ。
もちろん、ところどころ欠けたり隙間があったりするのだが、これ以上細かく砕けた物は集めようがない。
(G)「しかたがない。ここまでだな」

隣ではブルーを集めていた。
ブルーのは、頭はついているがトルソー状態だ。
胴体はへその下あたりから割れてどこかへいってしまってない。
両腕もどこか遠くに吹き飛んでいる。
幸い下半身は、腰の青いボトム部分ですぐに見つかった。
壁の前に転がっていた。
彼女のはあまり細かく砕けていなかったので、大まかな形はすぐに復元完了だ。
左脚が太ももからもげている。
警官が「あ、あそこに落ちている」
これも青いブーツをはいた足が一本落ちている。
右脚は下半身に残っていたがブーツを履いた部分のひざ下だけが、やはりどこかに吹き飛んでいる。
(警官)「あ、あそこか」
これも青いブーツの色でわかった。
肩の下からもげた両腕も、ガントレットの色ですぐわかった。ほぼ原形をとどめていた。
破片が比較的大きかったので簡単だ。すぐにできあがり。

一方、向こうの方でやっている、イエローの組み立てはというと・・・
ブルーとグリーンは比較的大きな塊で砕けていたが、イエローは粉々だ。
爆弾をぶら下げられていたのだ。当然だろう。
大きくても、せいぜいコブシぐらいの大きさで、それこそ部屋中に散らばっている。
原形が残っていたのは、飛ばされた頭と胸の部分だけだった。
(警官)「おーい、手の空いている者はこっちを少し手伝ってくれ」
彼女のは、ガントレット、ブーツ、それからコスチュームのボトムも含めて粉々だ。
それぞれが黄色の破片になって砕けてしまっている。
傷だらけの頭とブラのついた胸部分だけが、他の破片の中にあって目立つようにわかる。
警官たちはなんとか腕や脚を組み立てっていったが・・・まるで瓦礫細工(?)のようだった。

ようやく一段落つくと、
(B)「後はあたしたちだけで大丈夫だよ」
正体はもうバレているので「変身解除」と、碧の姿に戻ってしまった。
(碧)「ええっと、青と緑はこの形を保ったまま、何かに乗せて運び出してちょうだい。
黄色、うー、イエローのは・・・これはだめだな」
破損の度合いが激しすぎる。
(碧)「仕方がない、イエローのはテープで固定してから運ぶしかないな。誰かテープを持って来てくれる!」
1人が養生テープを取りに走って行った。
碧はイエローとグリーンに、
(碧)「どうもありがとう。犯人には逃げられたけど、まあしょうがない。あたしは後始末をして署に戻るから」
(G)「わかった」
(Y)「それじゃまた。連絡をちょうだい」
イエローとグリーンは去っていった。

何か話していた警官たちが近づいてきて、
(警官)「副署長、このマネキン、なんだか中身があるようですね」
碧も実はそう思っていた。
(碧)「そうなんだよね。少し妙だよね」
プラスチックではあるが、内臓のようなものが確かに入っている。
(碧)「よし。そのあたりも含めて、詳しく調べるように依頼してくれるかな」
ということで、マネキンの破片は専門の検査室で調べられることになり、運ばれて行った。




- 8 -

*前次#

物語の部屋 目次へ