妄想別館 弐号棟


異聞、妖術合戦 その7


ニセグリーンは「変身解除」と唱えて、一旦(いったん)夏美の姿に戻った。
落ちているベネチアンマスクを拾ってつけ直し「変身」と唱えた。
これで彼女が本物のグリーンとなったわけだ。
イエローとブルーの方を向いてニヤリと笑った。
こちらもゾッとするような眼をしている。
(B)「そんな、ウソだよぉ・・・あっ!」
気がつくとイエローとブルーの体に草が巻き付いている。
(B)「あ、なにこれは?」
(Y)「動けない、なにすんのよ!」
(ニセG)「ついでにお前たちも消してやる」
ニセグリーンの目が光った。右手を高く掲げて振ると、
(B)「うゎっ、なにこの粉は!」
(Y)「ぐゎ、い、息が・・・苦しぃぃぃ!」
イエローとブルーは、泡を吹いて苦しみだした。
ブルーは体を押さえられていて、バリアが張れなかった。
「グアッツ!!!」
断末魔の悲鳴を上げると、2人はもう倒れて動かない。
美穂と碧に戻ってしまった。
顔がむくんで紫色になり、目が飛び出すような形相になっていた。
ベネチアンマスクもはずれて落ちている。
ニセグリーンと、少し遠くで見ていた傀儡鬼はニヤリと笑いながら、
(ニセG)「ハハハ、即効性の猛毒だよ、今のは」
腰に手を当てて、ニセのグリーンは高々と笑っている。
しかし・・・「ん?うわー」と言って頭を押さえだした。
イエローの時と同じだ。頭そして、体中から草が生えだしている。
(ニセG)「こ、これは、いったい・・・、しまった、やられたぁ!」
だがそこまでだった。バーンと音がして、夏美の蝋人形が砕けて転がっている。
傀儡鬼は一瞬何が起きたかわからなかったが、
ようやく「ウッ、やられたな」と、唸った。
(傀儡鬼)「でもまあ、ベネチアンマスクは手に入れて・・・」
しかし、黄色と青色のマスクに触れると、
(傀儡鬼)「こ、これはレプリカ!するとイエローとブルーはまだ生きている?」
倒れて死んでいる美穂と碧は呪術でできた人形だった。
さらには倒れたグリーンの蝋人形がかぶっている緑色のベンチアンマスクまでもが、
「これもか!」やはりレプリカであった。
(傀儡鬼)「うまくやられたな・・・」
同時に茂みの中から光り出し「そこまでよ!」
本物のイエローとブルーが飛び出してきた。
傀儡期は笑いながら「でも、どうやらグリーンたちは相打ちだったようだな」
(B)「え、どういうことよ?」
(傀儡鬼)「ベネチアンマスクは手に入らなかったが、グリーンを倒しただけでも良しとするかな」
そういうと消えてしまった。
「あ、待て」と、追おうとしたものの・・・
それどころではないような気がする。
(Y)「冗談じゃないよ。夏美ぃ」
イエローが緑のベネチアンマスクを手に取って「変身」と、呪文を唱えるが・・・
(Y)「夏美が戻らないよ!」
いくら呪文を唱えても夏美は復元しない。
2人は泣きだしているが・・・やはり何も起こらない。

少し時間をさかのぼってみると・・・
3人は部屋の外に出ると、すぐに呪符のカードを経由して茂みのところにきた。
つまり結界の外である。ここなら何をしているか傀儡鬼にも気づかれない。
妖気が体から噴き出している夏美が、すごく真面目な顔になり、
(夏美)「あんたたち、あたしのこと信じられる?」
「え?!」
いきなり何を言いだすやら。しかし夏美はかなり真剣な目で迫ってくる。
(夏美)「これからあたしのやることを信じてほしいの」
2人は顔を見合わせたが、そこまで言われると、頷かざるを得ない。
それに妖怪相手では2人ではどうしようもない。
(碧)「わかったよ。言うとおりにするよ」
(夏美)「十中八九、ニセグリーンは、もしあたしを倒したら、必ずあんたたちも襲ってくるよ。
だから、こっちも奥の手を考える。少しの間だけ人形になっててもらいたいんだ。
そのかわりあんたたちの命は必ず守れるから」
(美穂)「はいぃ?に、人形って・・・あ、あたしたちが人形になるの?」
(夏美)「人形ならば結界に引っかからないから」
傀儡鬼の近くにいても気づかれないだろう。
彼女は小さな人形を2つとり出して、何かやっている。
美穂と碧は「やっぱり、人形になるなんていやだ」と思って、
(碧)「あ、あ、やっぱり待って!」
(美穂)「え、ちょっと、そんな」
夏美は2人に構わずに呪文を唱えだした。
「あ、あ、あぁぁぁ・・・」
美穂と碧は目が回わりだして・・・気がつくと、20センチくらいの人形になって転がっていた。
(えーうそぉ!夏美、ちょっと、こんなのって・・・)
代わりに、小さかった人形は、美穂と碧になって、夏美の指示を受けている。
人形になってしまっては、もはや夏美にすべて任せるしかない。

夏美は(人形になった)美穂と碧を丁寧にタオルで包むとカバンに入れてしまった。
バックの外から夏美の声が聞こえる。
(夏美)「時間が立てば元に戻れるから」
さらに夏美はレプリカの緑色のベネチアンマスク2つを用意して呪術をかけた。
これで、レプリカではあるが、この2つは本物同様の効力を持ったのだ。
そして黄色、青色、緑色、本物3つのベネチアンマスクは自分のカバンに入れてしまった。
(夏美)「あたしの分も含めて、本物のベネチアンマスクは預かってて」
もしも夏美が負けたなら、ニセ夏美は本物のベネチアンマスクを使って必ず変身しようとするだろう。
しかしこれならどちらもニセモノ。本物は渡さないのだ。
そして、レプリカマスクの呪術の効力は1時間。
(夏美)「1時間たてば呪術の効力は消えてニセモノは人間の姿に戻るから」
その時を見計らって倒してくれと言う。
(夏美)「2人掛かりなら大丈夫でしょう」
人形になった美穂と碧はいろいろと言いたいことがあるが・・・口がきけない。
あとは上述の通りのことが起こったのであった。

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