妄想別館 弐号棟


鬼の復活話 その3


翌日、3人はN市の某ホテルにやって来た。
このホテル、都心からのアクセスも良く、周りも風光明媚ふうこうめいび。 
観光旅行、商談の打ち合わせ、ゴルフ、登山、などなど。
非常に評判がよく、いつも満室だ。
しかしそれは表向きのこと。
実はピーイーが裏でひそかに運営しているホテルなのでもあった。
もちろんそんなことは悪人仲間の少数を除いて誰も知らない。
この3人ももちろん知らない。
加えて言えば、ここが鬼たちの隠れ家になっていることも。
いや、ピーイーが鬼たちのために、ここを隠れ家として提供したと言ってもよいだろう。
美穂たちも、まさかここのVIPルームに鬼がいるなどとは微塵も思わない。

このホテル、鬼が封印されていた山への、ちょうど登山口に位置する。
封印石の場所はというと、ここから山に登って、さらに分け入った奥。
歩いて登れば結構な労力であるが、彼女たちは超能力を使って行くわけである。
それほど大変ではないだろう。
夜は鬼のパワーが上がるから、行くなら昼間だ。
今日はゆっくり休んで、明朝、出発することになった。

少し話を脱線する。
夕方、3人は庭園の散策路を歩いている。
(夏美)「美穂、うれしそうだね」
(美穂)「え、そうかな」
昨日、生徒に策を授けて、後顧の憂いがすっかりなくなったからだろうか?
(美穂)「はは、そう見えるかな」
碧も夏美と同じくそう思った。
しばらく歩いていると、
(碧)「あれぇ?」
噴水がある。石像から水がジョボジョボと出ているのだ。
碧は「ねえねえ、ちょっと見て行こうよ」
3人は近寄ったが、顔を赤らめる。
一風変わった噴水だ。
少し高い岩があり、上に青年の裸像が仁王立ちで立っている。
腰に手を当てて、性器を前に突き出すような格好で。
碧は石像を見上げながら、
(碧)「この石像の噴水ってさぁ。いったいなんなの?」
(夏美)「やっぱり気になるんだ」
(碧)「気になるっていうかさあ・・・」
男前の石像についている、立派なオチ〇チンの先端から、いい勢いで水が噴き出している。
その水は、噴水池の中央あたりにジョボジョボと注がれている。
(碧)「ウフン。でもナニの先からはないでしょうに」
『もう少し品のあるものを』とも思うが、面白い趣向でもあるかな。
家族連れ、男女のカップル、ご老人夫婦と、大勢が散策しているが、やっぱり興味があるのだろう。
3人が見ていると、他の人たちも近寄ってくる。
みなこの石像を見て『クスクス』笑っている。
「いやだぁ」と言いつつも、旅の土産話に、こういうのは案外いいのかも。
(美穂)「卑猥なんだけれども、結構、和むんよね」
美穂が周りに集まっている人たちを見回しながら笑っている。
(夏美)「少し変かもね。でもおもしろいと思うよ」
よっぽど気に入ったのだろうか?
碧は堂々と見ていたが、なんと、人が散ってしまうとさすっている。
(美穂)「いいかげん、はしたないよ。もうやめたら」
(碧)「だってさ。あたしこういうの結構好き」
ウットリしている。
ブフと2人は噴き出した。
ここにいる3人は生娘ではない。
でもやっぱり興味が起きるような代物だ。
美穂が「碧、それ飲んで見たら」
(碧)「バ、ばかなこと言いなさんな」
代わりに指で噴いている水に触ってバシャバシャと。
「キャァァァー」
はしゃいでいるが、実はこの噴水、碧の運命と深く関わることになるのである。
しかしそれはまた別のお話で今回は関係ない。
でもしかし、読者諸氏もこの噴水のことを覚えておいていただきたい。

閑話休題。
次の日、朝のかなり早い時間に3人は出発した。
適当なところまでくると、進むペースをあげるため、スーパーガールに変身した。
もちろん細心の用心はしている!
グリーンが前方の霊気をはかり、ブルーとイエローが左右後方を確認しながらついて行く。
鬼が出てくる気配はなく、昼近くになって鬼を封印した場所までたどり着いた。
そしてやっぱりだ。石がない。
(Y)「やっぱりないね」
それらしい石は、まわりを見渡しても見当たらない。
(B)「とにかくあたりを探してみようか」
手分けして付近を探すとすぐに見つかった。
(B)「あったよ。あそこだ」
石は、はるか崖の下に転がっている。
くどく書くが、この石に妖怪たちは触れることができない。
だとしたら、これを動かしたのは人間の仕業だ。
こんな山奥まで来て、わざわざこんなことをやる奴は、どこのどいつだ!
(Y)「とにかく元に戻そう」

「せーのぉ」と、声をかけながら、石運びをしている彼女たち。
戦闘コスチューム姿の彼女たちが、こんなことをしているのは奇異な感じだ。
ようやく崖の上の土手まで運び上げたところで・・・予想していたことが起きた。
「おい!」と、封印すべき場所に男たちがのっそりと立っている。
イエローたちはすぐに石を放り出して戦闘態勢に入る。
グリーンがハッと気がついて大声で叫ぶ。
(G)「気をつけてみんな。人間の姿をしているけれど、こいつら鬼だよ」
言うまでもなく、イエローもブルーも、すぐに攻撃できる準備は、もうすでにできている。

鬼たちがのうのうと叫ぶ。
(赤介)「お前たち、こんなところで何をしている」
(B)「大きなお世話だ」
(青之)「おうおう、生きのいいこと」
なんと舌なめずりをしている。
(黒彦)「一応聞いておくが、お前たちがスーパーガールだな」
(美穂)「そうよ、だからなんなのよ」
(黒彦)「やっぱりツバーンの言う通りだな。俺たちを封じ込めに来たのか。ご苦労な事だな」
(B)「今、ツバーンって言った?」
ツバーンの名が出たら、ピーイーも関係しているだろう。
(G)「やっぱり犯人はあいつらだったのか」
石をほんの数十メートル先に置くだけで済む話なのだが、目の前の敵を何とかしないと無理そうだ。
余計な戦闘は極力避けたいところだが・・・
(Y)「仕方がない。応戦しよう」





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