妄想別館 弐号棟


鬼の復活話 その5


(G)「痛ったぁい!」
グリーンは頭を押さえて起き上がった。
(G)「いったい何が起こったっていうのよ?」
その声を聞いてか、ブルーもイエローも、よろよろと起き上がる。
怪しい突風が吹いたと思ったら、どうも変な場所にとばされてしまった。
3人は呆然と周りを見渡しているが、
「ここはどこなの?」
周りは岩の壁になっている。

(青之)「ハハハ、目が覚めたな」
突然の笑い声。いつの間にか、目の前に鬼が1匹立っている。気配で振り返れば後ろにも2匹。
彼女たちは背中合わせになって構えるが、鬼どもは攻撃してこない。
ヘラヘラと、ただ笑っているだけだ。
(B)「なんなのよ。ここはいったいどこなの」
(青之)「ここはな、まあ言ってみれば屠殺場とさつじょうみたいなもんだな」
(B)「と、屠殺場って?」
(青之)「これからお前たちを調理しようとおもってな。風の術で、ここまで運んできたのさ」
(G)「風の術?」
鬼の能力は『馬鹿力』だけではなかった。様々な妖術も使えたのだ。知らなかった!
(黒彦)「お前たちを食べてパワーをつけるんだよ」
(B)「食べるって?!」
突然、両側の壁が『ゴゴゴッ』と、音を立てて動き出した。
「あぁっ、大変!」
両側から壁が迫ってくる。
(赤介)「お前らの体の厚さじゃ食べにくそうだからな。丸かじりでも悪くはないが、もう少し薄くプレスしてやる」
イエローとブルーは顔を見あわせる。
(Y)「プレスって・・・」
(B)「じょ、冗談じゃないよ!」
(黒彦)「騒げるのも今のうちだ。すぐに、お前たちは人間せんべいになるのさ、それじゃ・・・」
鬼たち3匹は、フッと、壁の上に跳びあがった。
まるで空を飛べるかのような身軽さだ。
だがこの時、この隙を逃さずに、イエローも壁の上に跳びあがった。
(黒彦)「あ、この女、跳びあがってきやがった」
壁の上で、イエローと鬼3匹が対峙する。
(Y)「当然でしょ。むざむざ潰されてたまるか」
(赤介)「お、やるか。よしよし俺が相手になってやる」
イエローは体を光らせて構えるが、しかしブルーとグリーンは・・・

イエローは赤介に飛び掛かっていった。
しかし赤介はまったくの余裕だ。
ホッホッと、イエローのパンチを軽く受け流しながら、
(赤介)「おーい兄貴たち、炭火の準備をしておいてくれ」
「あいよぉ」と、のどかな返事が返ってくる。
(Y)「あ、ちょっと待ちなさいよ」
イエローが黒彦たちを追いかけようとすると、
(赤介)「なんだよ。お前の相手は俺だぞ」
この鬼は打ち合いながらものんきそうに、しゃべっている。
目の前の格闘なんか、まるで眼中にないと言った風だ。
イエローは「なめんなよ!」と叫んでパンチを繰り出すが、
「ホッ、ハッ」「それそれ、どうしたどうした」「今のパンチはなかなか良かったぞ」
軽〜く、あしらわれている。

一方、ブルーとグリーンは迫ってくる壁を必死に押し返そうとするが・・・
グリーンが壁をバシバシ叩きながら、
(G)「だめだ。ビクともしない」
(B) 「グリーン下がって!」
ブルーは水鉄砲を全力で浴びせるが、この岩は何でできているやら?
ビキビキとすごい音がするが、ほとんど変化がない。
(B)「そんなばかな!全く通じないなんて」
上から声がかかる。
(黒彦)「この岩は魔界の岩石でできているんだ。そんなのじゃ砕けないさ」
ブルーは鬼を見あげ、キッと睨みつけるが・・・そんな猶予ゆうよはない。
グリーンも植物でロープを作り「さあ、上に伸びて!」と妖術を放つが、
鬼ども「なんだこれは」、ブチブチと切り落としてしまう。
壁は狭まって、もう自由に動き回ることもできない。
(G)「ブルー、ジェットカッターは?」
グリーンに促されて、やってはみるが、やっぱりうまくいかない。
鬼の妖力圏内であるためだろうか?
ものすごい水しぶきが上がるが、岩はほんの少し砕ける程度、いや削れる程度だ。
鬼と打ち合っていたイエローがすきをついて、
(Y)「2人ともつかまって!」
イエローは戦闘をやめて、ビームウイップを壁の中に投げ入れて、2人を引き上げようとするが、
(赤介)「ほい、残念でした」
いつの間にか、足をつかまえられていた。バチーン!
(Y)「痛ぁ!」のけぞって転んだ。
(赤介)「そんな簡単にはいかないぜ」
それならば、瞬間移動だ。
地の利を得ようと、スッと動いたとたん、今度は首根っこをつかまれている。
(Y)「ぐ、ぐえ!」
イエローはよろめいて倒れ込んだ。
(Y)「な、なんでぇ?」
(赤介)「鬼の動体視力を甘く見るなよな。ほおらよっ!」
(Y)「うわーィ!」
ポーンとばかりに壁の中に投げ込まれた。
(B)「ちょっと大丈夫かい?」
ブルーが駆け寄って助け起こす
(Y)「ええ、今のところ」

壁を蹴っていたグリーンが振り返り叫ぶ。
(G)「だめだ、ビクともしない。イエローとブルーだけでも逃げて!」
光の術と水の術ならなんとか逃げられるかも。
でもグリーンの術では・・・
上から声がかかる。
(青之)「お、緑色は、ペッタンコになる覚悟ができたようだな」
(赤介)「すぐにおいしいベーコンになれるぜ」
(G)「ベ、ベーコンって・・・」
グリーンは泣きそうになっている。
(B)「うるさいよ、まだ負けてないよ。それにあたしは・・・」
ブルーは『バシャリ』と、体を水たまりに変えて移動しようとした。
そうか、これなら、壁でつぶされても大丈夫だろう。
ところがこれを見ていた青之はストンと下に降りてきた。
(青之)「お前は水使いか。逃げられては困るからな」
だいぶ狭くなっている壁の中で3人は構えるが、
イエローとグリーンを押しのけるようにして、水たまりのブルーに向かって行く。
水たまりは青之の体に絡みついたが、彼はブオーッと息を吹きかけた。
(B)「ギャー!」
ブルーは悲鳴を上げて、水人間からブルーの姿に戻ってしまった。
「え、どうしたの、ブルー?」
イエローとグリーンが叫ぶ。
様子が変だ。ブルーは白っぽくなっている。
(B)「さ、寒い!」
(青之)「ホレホレどうした」
さらに息を吹きかけると、ブルーは一瞬で氷漬けに!
怯えたポーズのまま、氷の中に閉じ込められてしまった。
「あ、あああーーー!うっそぉ!」
黒彦が舌打ちしながら、
(黒彦)「おいおい、青之ぃ、それじゃ焼肉にできないだろう」
(青之)「だってさ、逃げられたら困るだろ」
(黒彦)「しょうがねえな。まあいいか。そのまま押しつぶしてしまえばいいな」




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