べっこう飴ラブロマンス その3
突然、ビーという音が部屋中に鳴った。
(壮太)「何の音なの?これ」
同時に扉も『ギッ』という音を立てて閉まった。
莉乃は「あーっ!」と、血相をかえて悲鳴をあげる。
(莉乃)「そ、そんなバカな。ここには私たちがいるのよ」
あわてて扉に飛びつき、バンバンたたいている。
(壮太)「一体どうしたっていうんです」
(莉乃)「戸が、扉がロックされてしまったの」
(壮太)「え!だって、キーがなければ、あ!キーは・・・」
(莉乃)「誰かが私の服からとったのよ」
(壮太)「じゃあ、僕たちはいったい・・・」
壮太の脳裏には、先ほどチラと考えた、ゾッとする光景が浮かんだ。
(莉乃)「大変!誰か、誰かいないのぉ!」
莉乃は大声を上げたが、だれの返事もない。
壮太も同じように大声を上げるが無駄のようだ。
莉乃は上のパネル盤の所を見ていたが、ハッとして、
(莉乃)「ちょっと、パネル盤の所に誰かいるんでしょ。出てきなさいよ」
返事は・・・もちろんない。
壮太が、ふと壁を見ると、
「おや?」仁王立ちの人型が大きく足を開いたバンザイの形に変わっている。
(壮太)「あれぇ、莉乃さん、人型の形が変わっちゃった」
(莉乃)「え?」
莉乃も壁を見る。
(莉乃)「なにこれ。いっやらしいな。こんな人型じゃ使えないじゃない」
(壮太)「さっきまでの人型、簡単に変えられるんだね」
(莉乃)「この部署の者ならね。簡単よ。5分もあれば。でも、この形は・・・」
(壮太)「ものすごく大胆な格好だよね」
両手両足を思い切り、いやそれ以上に開いた格好になっている。
(莉乃)「そうよね。足開きすぎよ。いやらしい」
(壮太)「でもさ・・・これをハダカでとか言ったら・・・」
(莉乃)「・・・え?」
2人は顔を見合わせた。
そして、何か得体のしれない不安が湧き起こってくるのを感じたのだった。
やはりというか『ギーン』という音とともに壁が動き出した。
(壮太)「あ」
(莉乃)「大変!壁に挟まれるぅ」
(壮太)「莉乃さんどうするの」
(莉乃)「どーしよう」
このままでは壁に挟まれてペチャンコだ。
唯一逃れられそうな場所といえば・・・
そう、あの『バンザイの姿勢』の鋳型の部分だけだが。
(莉乃)「壮太君、鋳型の中に入って」
(壮太)「で、でも」
(莉乃)「それしかないでしょ」
(壮太)「でも、べっこう飴になっちゃうじゃん」
(莉乃)「とにかく壁に挟まれるのから逃れるのが先よ。はやく!」
(壮太)「わかった」
壮太はすばやく向き直ると右の鋳型へ駆け寄り手をかけた。
莉乃は左のへ。
(莉乃)「しょうがない」
壮太は覚悟を決めて足を大きく開いて型の中へ入った。
腰に巻いているバスタオルが鋳型の股の所に引っかかっている。
鋳型にはいりきれずに出っ張っているのだ。
(壮太)「うわ大変だ!」
当然、鋳型からはみ出した部分は、壁が閉まったときにペチャンコに挟まれてしまう。
体は完全に鋳型の中に入れなければいけない。
しかしここで、バスタオルを脱ぐわけにはいかないし、丁寧に巻き直している余裕もない。
(壮太)「なんとか鋳型の中に入れなきゃ」
はみ出しているバスタオルを無理やり鋳型に引き込んだ。
大急ぎで両手も鋳型の中に入れて、壮太の大の字の完成である。
(壮太:フウ、体が壁に挟まることはとりあえずなくなったな)
ホッと一息ついた。
(腰の部分がバスタオルに押さえつけられてきついな。でも俺、すごい格好をしている)
両足を思い切り開いている。
おまけにバスタオルの下はすっぽんぽんだ。
(壮太:えらくみっともないな)
男の壮太でもかなり恥ずかしい。
だがしかし!
莉乃も同じような状況になっている。
(莉乃)「いやだぁ、バスタオルが出っ張って入らない」
胸までバスタオルで覆っている彼女は、型からはみ出している部分が大きく、なかなかうまくいかない。
体をよじって、なんとか胸のあたりは鋳型に収めた。
あとは下半身。
(壮太)「莉乃さん早く」
(莉乃)「わかってるわよぉ。わー」
やはり壮太と同じように、バスタオルをまいた腰の部分が型からはみ出て、
おしりのあたりが、鋳型の股のあたりに引っかかっている。
つまり、腰を突き出した卑猥な格好になっている。
(莉乃)「もう、いやっ」
壮太と同じように無理やり手でバスタオルを鋳型に引き込む。
腰のあたりがまだ変な形に膨らんでいるが、下半身も何とか型に納まった。
そして両腕も鋳型に入れなければ。
莉乃はさすがに女性である。
ここまでずっと、バスタオルで巻いた胸をさらに手で隠すようにしていた。
が、この状況では是非もなし。
選択の余地はないのである。
両手を広げて型の中にいれた。
それを見て壮太は「う」と、押し殺したような声を上げた。
その声が聞こえたのかどうか。
(莉乃)「はずかしぃ・・・」
と言いいながら莉乃は目を下に向けたのである。
『つまらぬ補足であるが、莉乃は本当はうつむくように首を下に向けたかったのだ。
しかし、頭も鋳型の中にいれているためできなかったのである、以上!』
とうとう2人とも、大きく開いた大の字の姿勢にされてしまった。
ここでなぜか壁の動きが止まった。
(壮太)「どうして止まったンだろ?」
(莉乃)「さあ?わからないわ」
とりあえずは、一息つけたが、危機が去ったわけではない。
しかしそれよりも、2人の目は・・・にいってしまうのだった。
壮太の目は、莉乃の豊満なバストと大きく開いた両足に!
(壮太:やばいなこんな時に・・・)
でも、見ないようにしてもどうしてもね。
バスタオルできっちり隠してはいるが、大きい胸の谷間のあえぎ、とか。
股のバスタオルの出っ張り、とか。
莉乃も同じく。
彼女もまた壮太の胸板を見ていたが、
(莉乃:立派な胸板ね。結構いいな)
こんな状況でもウットリしている自分にハッとした。
(莉乃:いけないわ、壮太君に見とれている場合じゃないよ)
でも、壮太の股間あたりに目がいったとたん、
(莉乃:やっだぁ!壮太君、立ってるじゃないの)
莉乃は下を向いて笑ってしまった。
いや補足の通り彼女は下は向けない。
よって正面を向き目をつむって笑っている、のが壮太からよく見える。
(壮太)「え?」
壮太は莉乃の笑いと伏し目から、何を考えているのかがわかってしまった。
(壮太)「しょうがないでしょ。やっば!やっぱり立っちゃうよ」
と叫んだ。
大の字で向き合ったままの二人だが、いやな想像はどんどん膨らむ。
(壮太)「は!でもさ、壁がこのままくっついたら俺たちは!」
鋳型の中にはいっているかぎり、壁自体に押しつぶされることはないだろう。
が、しかし、鋳型の深さといったって片方20pしかないのだ。
鋳型にはいっている莉乃や壮太の体の幅はそれ以上ある。
壁が完全に閉まって、鋳型がぴったりくっつけば2人は・・・
莉乃は「変なこと考えないでよ」(あたしたちはあたしたちはペッテング!いやだなあ。でもでも、もしかしたら)
壁、いや鋳型は2人の間を2mくらいの間のところでとまっている。
非情に恥ずかしい格好であるが、鋳型の外にうかつに出るわけにはいかない。
出たとたんに壁がすぐにでも動き出し、ペチャンコにされてしまうかもしれない。
しかも部屋の出口はロックされてるし、2階の回廊のところまでまでは高すぎて登れないし。
この部屋から脱出する方法はないのである。
所詮気休めか。
このまま鋳型の中にいても壁が再び動き出し、
そして、ペチャンコにはならずともべっこう飴になってしまうことも・・・。
(壮太)「どうするの莉乃さん」
(莉乃)「どうするって言われても」
(壮太)「助けは来ないの」
(莉乃)「うーん、わかんない」
と莉乃は言ったが、この建物には今日一日、誰も来る予定はない。
亜子も一人ではこの建物の中に入ることはできないし、スマホもどこかにいってしまったし・・・
連絡の取り様がない。
助けが来ることは、絶望的だ。
次なる『突然』が始まった!
ノズルのついたホースのようなものが下りてきたのだ。
(壮太)「今度は何なの」
(莉乃)「あれは、さっきの洗浄液よ」
しかしあからさまな攻撃ではない。
2人に向かって、ちょろちょろと液を吹き付けている程度だ。
(壮太)「何を考えてるんだ」
(莉乃)「どういうつもりなの?」
しかしすぐに理由が分かった。
液をバスタオルに吹きかけて、2人のバスタオルを脱がそうという魂胆であった。
(莉乃)「ま、いっやらしい!なんてことをするのよ」
(壮太)「ウヮ、やめろぉ」
2人は液体をよけようとするが、鋳型の中にいる状態では防ぎようもない。
だんだんバスタオルに液体がしみ込んでくる。
(莉乃)「やむを得ないわ」
逃げようにも逃げられなければ取るべき行動はおのずと決まってくる。
(莉乃)「この液体はかなり人体には有毒なのよ」。
(壮太)「え、え、まさか」
(莉乃)「壮太君、とりあえずバスタオルをはずしましょう」
(壮太)「えー裸になるのかよ」
結局・・・
2人ともバスタオルを脱がされてしまった。
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