妄想別館 弐号棟


三勇士の最期 その3


ツバーンがヤレヤレと言って出てきた。
(Th)「あとは、わたしがやりましょう」
イエローは3度構え直した。
(Y)「あなたが先ね」
(Th)「はい、お手柔らかに」
彼は、これ見よがしにホワイトボードを前に突き出してくる。
(Y)「そのボードは何なのよ? いや待てよ・・・それどこかで・・・」
見たことがあるような気もするが思い出せない。
彼はイエローの問いかけを無視し、話を逸らすようなセリフを言ってきた。
(Th)「いやいや、さすがイエローさん強いですね」
(Y)「なによその言い方は。気持ち悪いな!それとも素直に降参するってことかな」
(Th)「ええ、降参してもいいです。でも降参する前に一つお願いがありますが」
(Y)「降参?降参するって本当に? それにお願いって?」
到底本気だとは思えないが、意外な言葉に少し興味を持った。
(Th)「あなたの決めポーズを見せてほしいのですが」
(Y)「決めポーズ?」
(Th)「仁王立ちで立ってもらえませんか。腰に手を当てた。凛々しくてカッコいい」
褒められるとまんざらでもない。
それにあまりに手下を一方的にやっつけたためか、少し気をよくしていた彼女はリクエストに応じる。
(Y)「ああ、そうか。こういうことかな」
彼女は余裕だ。両手を腰に当てて仁王立ちになった。
(Y)「こう?これでいいの」
(Th)「そうそう。それで結構。それではここに書いてある文字が読めますか?」
(Y)「え、文字って?」
確かにボードには何やら書いてあり、イエローはボードを見つめた・・・
ツバーンが、一心にボソボソとつぶやき始めている。
☆☆☆― スーパーガールイエローを 青柳美穂に 変換 ―☆☆☆
☆☆☆― 美穂を 決めポーズに 変換 ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:美穂は固定されて、頭以外は動かすことができない ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:固定されている間は、スーパーガールに変身できない ―☆☆☆
ほわ〜んと薄気味悪い風が吹いてきた。
「うわっ、なんだ、気持ち悪いっ!」と思う間もなく、ビシーンと、衝撃が起きた。
すでに、美穂の頭からはベネチアンマスクが吹き飛んでいる。
(美穂)「痛いっ! なに今の? あっ、変身が解けてしまった!」
それに「どうしたんだ? か、体が、体が動かないよ!」
決めポーズのまま固まってしまっている。
懸命に手足を動かそうとするがピクリともしない。
(美穂)「な、なにこれ。一体どうしたっていうの?」
なんとか動かせる頭を回してツバーンを睨みつけるが・・・それだけある。
「うまくいったようだな」と、ピーイーが前に出てくる。
(Pe)「お前はこれから立派なラブドールになるのさ」
(美穂)「ラ、ラブドール? 何言ってるの。どういう意味よ?」
(Pe)「さんざん俺たちの邪魔をしてくれた報いさ。おい服を脱がせろ」

美穂は首を振り、噛みつかんばかりに「やめろ」「触るな」と叫んではいるが・・・
体を動かせないので、何の抵抗にもならない。
(美穂)「卑怯だぞ!それでも男か!」
あっという間に全裸にされたてしまった。ただし決めポーズで立っている。
まわりは、敵方の男たちのみである。
舌なめずりをするように、豊満な体をかわるがわるもてあそんでいく。
美穂は真っ赤な顔をして絶叫しているが、されるがままだった。
怒りと恥ずかしさと悲しさのきわみであろうか。
「覚えていろよ!」とピーイーを睨みつける。
目が敵意に満ちて、唇も震えているが、ピーイーは何事もないように近づいてくる。
美穂のあごをさすりながら、
(Pe)「お前は、これから永遠に俺のワイフとしてかわいがってやるからな」
(美穂) 「ワイフ?! ワイフって何よ! やめてよ!触らないで!」
絶叫しながら顔を背けて逃れようとするが、ピーイーに顔を押さえつけられてしまった。
(Pe)「オイオイ暴れたら危ないだろ」
それでも頭を振り回すようにして抵抗する。
(美穂)「離せ、体を元に戻せぇ」
(Pe)「ああ、本当に生きがいいな。でもあと数分だな。お前が人間として動けるのも」
(美穂)「さっきから何言ってるの。ラブドールだとか人間だとか?」
歯をむいて睨みつけてくる美穂に向かって、ツバーンが、
(Th)「あなたももう最期なので、この不思議な現象を教えてあげましょう」
ツバーンは美穂にホワイトボードの説明を始めた。
(美穂)「まさか、そんな、まさかそんなことが・・・」

(Pe)「このボードがベネチアンマスクの能力を上回っている証拠を見せてやる」
ピーイーが落ちているベネチアンマスクを拾って、
(Pe)「ほれ、得意の呪文を唱えてみろよ」
美穂は驚いた。ピーイーは手にマスクを持っている。これはチャンスだ。
今変身の呪文を唱えれば確実に変身できる・・・はず・・・
でも彼らの笑い、あふれる自信は何なんだ?
美穂は不安を吹き飛ばすように大声で「変身」と唱えた。
しかし・・・「変身できない! まさか、そんなバカなことあるわけが・・・」
何度も何度も唱えるが美穂は変身できなかった。
彼女は目を見開いて呆然としている。
彼らの言っていることはウソではなかったのだ。
(Pe)「ベネチアンマスクは俺たちがもらうことにするよ。もうお前には必要ないだろ」
(美穂)「ふざけるな。返せ、返してよ」
(Th)「さあもう時間です。これが次の替文ですよ。あなたのこれからの運命」
☆☆☆― 青柳美穂を 完璧なラブドールに 変換 ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:ラブドールは形状記憶型の仕様 ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:形状記憶の初期形状はニッコリ顔の決めポーズ ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:ラブドールはスーパーガールの復元能力を持っている ―☆☆☆
☆☆☆― 条件:美穂は変身の呪文を唱えてもスーパーガールにはならずに、元のラブドールに戻るだけ ―☆☆☆
(美穂)「そんな、ウ、ウソでしょ。なんであたしがラブドールなんかに・・・」
(Pe)「いまさら何を言っている。俺たちに逆らったからに決まってるだろ。なまじ正義の味方なんかするからさ」
美穂は唇を噛みしめたが、すぐに大声で叫びだした。
(美穂)「必ず、必ず、碧や夏美が助けに来てくれるわよ!そしてあんたたちを捕まえるよ。首を洗って待っていろ!」
(Pe)「おーなるほど。涙が出る程、仲間想いのようだな2人は。でもな・・・」
ピーイーは今回の策略について話し出すが、聞いているうちに美穂は青くなった。
(美穂)「あたしをエサにって・・・・!?」
(Pe)「そ、お前がいなくなれば、2人は必ず焦り出すだろう。そこでさらに罠を仕掛けていく予定!
今回は持久戦さ。じっくりと時間をかけてな。
それに碧や夏美にもすごい復讐を考えているからな。あとのことは心配するな」
(美穂)「やめろ、そんなこと! こんなのはあたしだけでいいでしょ」
(Pe)「お前も仲間想いだな。でもダメだ。あの2人も許さない。ツバーンそろそろ・・・」
(美穂)「待って、待って下さい!」
ベネチアンマスクの能力を上回るボードの妖力!
このことを知らなければ碧や夏美でも危ないかもしれない。
(美穂)「やめて、あの2人には手を出さないで!」
思わず出た言葉であるが、ツバーンはニヤリと無視する。
ボードを美穂の前に突き出して呪文を唱えた。




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