妄想別館 弐号棟


その後の世界 その3


「待ちなさい!」
2人に飛び掛かろうとしていた男たちの頭上にりんとした声が響きわたる!
建物の屋上に仁王立ちになっている女性。いやそれは・・・
(悪人)「ウッ、なんだお前は! あ、もしかしてスーパーガールか!」
彼女のベネチアンマスクは白であった。
(W)「まったく悪人っていうのは、害虫のようにどこにでも出てく・・・あーっ!」
ホワイトは詩音と羽純を見ると悲鳴のような声を上げた。
(詩音。羽純)「?」
スーッと飛び降りるが、同時に悪人2人を蹴り倒している。
さらに数人を叩きのめし、すばやい身のこなしで、羽純と詩音をかばうようにして前に立つ。
(W)「あなたたち怪我はない? それよりなんでこんなところに、いえいいわ」
(羽純)「あ、大丈夫です。スーパーガールなのね。正義の味方の」
(W)「一応、そうだね、あたしは」
言うよりも早く飛び出すと、1人2人3人と当身で倒した。
悪人たちの数はどんどん減っていく。
最後に残っていた数人が「覚えていろ」と捨てゼリフ!
伸びている仲間を見捨てて逃げて行ってしまった。

現れ出でたるスーパーガール。
ベネチアンマスクはもちろんだが、ガントレットやブーツ、それにブラやビキニにもそれぞれのカラーラインがついている。
彼女の場合は白。だから全身がほとんど純白である。
白いベネチアンマスクに銀色のビキニアーマーはまぶしいくらいに光っている。
それにスラリとした人であった。
警察が運悪く捕まった犯人を連行していくのを見ながら、
(W)「彼らが自白して、ピーイーの本拠地がわかればいいんだけどな」
ホワイトスーパーガールがつぶやきながら、見送っていると、
(羽純)「あ、あのインタビューさせてください」
(W)「え、なんですか? インタビューって?」
(羽純)「あたし新聞部なんです。これはすごい特ダネだと思うんです」
(詩音)「あたしも写真を撮らせてください!あたしは写真部なんです。さすが強いんですね」
(W)「ちょ、ちょっと待ってよ。あなたたち!」
(羽純)「ピーイーって誰ですか? 悪人ですか?」
(詩音)「あたしの写真が先ヨ。羽純はちょっと待ってよ」
(羽純)「ナニ割り込んでるのよ!」
ホワイトはフゥと息をついて、
(W)「あのね、命に係わるよ。危ないことに首を突っ込むのやめなさい」
白いスーパーガール、ホワイトは、スーッと建物の上へ跳びあがった。
「あ、待って、待って下さい!」
しかし待ってくれるわけもなく、あっと言う間に見えなくなった。

次の日の朝。
羽純は取材し損なった事を明け方まで詩音と愚痴っていた。
寝るのが遅くなった彼女は「寝坊したぁ、遅刻だぁ!」と、全速力で走っていく。
あと3分!何とか間に合ういそうだがギリギリだ。走りを緩めれば間に合わないかも!
隣にも男子が2人、女子が3人ほど並走して走っている。
そしてもう1人、
「あ、先生!」
担任の初月静流先生が一緒に走っている!
若い分、羽純がやや早くゴールインして静流は少し後だった。

(静流)「間に合ったぁ」
静流があえぐようにしてゼイゼイしていると羽純が寄ってきて、
(羽純)「先生また遅刻だったんですかね」
羽純は悪気はないが容赦ない。
(静流)「いや、間に合ったでしょ。あたし」
運動神経は、からっきしのようだが、走るのだけは「昔からこうやって鍛えているから」と言っている。
(羽純)「腰はもう大丈夫なんですか?」
(静流)「え、ええまあ。カッコ悪いこと言うなあ・・・」
羽純はじろじろ見ていたが、走れるってことは大丈夫なんだろう。
この間は頭が痛いとか、その前は腕が痛いとか、いつもどこか痛いようだ。
おまけに髪の毛はボサボサで顔も火照っている。
苦しそうに口を開けて肩で息をしている姿では美人台無しだ。
(羽純)「普段は凄い美人なんだけれどな」

やれやれと教室に入ると詩音のまわりに、いつもの6人組が集まって騒いでいる。
羽純が「何話てるの?」と加わってみると、
昨日の話だった。
「昨日悪人たちに捕まりそうになったよ」と、詩音が得意げに話している。
先生の注意を全く無視したことはまったく気にしていない様子。
(羽純)「ばか! それ話しちゃだめじゃない」
(詩音)「いいじゃない。それにさ、スーパーガールに助けてもらったの。強かったよぉ」
(愛花)「ね、ね、それで悪人たちは、どんな奴らだった。マネキン魔なんでしょ、そいつらは?」
(詩音)「アッという間で、よくわからなかったよ」
悪人たちはすぐにやっつけられて写真も撮っていない。
(啓)「それじゃさ、スーパーガールはどんなだった。どんな技を使っていたの。ね、教えてよ」
スーパーガールもあっという間に現れて、すぐに去って行ってしまった。
(詩音)「すごく強かったよ」
(愛花)「それだけ?」
スーパーガールが強いのは当然だろうに。
これも写真は撮っていないし技も見ていない。
ワクワク聞いていた4人はガッカリして、
「なんだよ、何もわからないじゃない」「それでも写真部かよ」とののしる。
(詩音)「だってさぁ、一瞬の出来事だったんだもん!」
やむを得ない出来事だったが、恰好悪い言い訳をしている。
当然ながら、このことは先生の耳に入ってしまい、呼び出されて怒られてしまった。

放課後になった。
(静流)「変な通り魔が出るので、帰宅の時は・・・」
昨日、佐藤先生が言っていた内容と、全く同じことを言っている。
生徒たちは「二番煎じだぁ」と、コソコソ笑っていたが、
(愛花)「先生、同じこと昨日も聞きました。寄り道しないでまっすぐ帰れ。数人で一緒になって帰れ、でしょ」
(静流)「え、あ、そう、そうなのよ。まあ、でも何回聞いても損はないよね」
アハハと笑っている。
「要は気をつければいいのです」と言っている。
静流は羽純と詩音に、さんざんお小言を言っておいたが、さらにダメを押す。
仲間の4人といっしょに帰ろうとするところを追いかけてきてつかまえて、
(静流)「あんたたち、絶対寄り道しないでカエルのよ。いいわかった。わかったね!」




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