その後の世界 その5
体の両側を押さえつけられて、引きずられながら連れていかれる羽純。
(羽純)「ああもう、ちょっと痛いよ。丁寧に扱ってよ!」
「やめろ」「離せ」と叫びながら歩いて行くと、向こうから2人が近づいてきた。
1人は顔が真っ赤で、少女たちが鬼火と言っていた妖怪のようだ。
そしてもう1人は誰かな?
(Pe)「ずいぶん騒がしいな」
「すみません」と、羽純を押さえていた男が頭を下げる。
羽純は(どうもこいつは大物のようだな)と思った。
さっそく「あなたがボスなの?」と、聞いてみる。
ピーイーは驚いた。
(Pe)「お前は元気があるな。怖くないのか?」
(羽純)「あたし新聞部なの。取材させてよ。
あ、もしかして、昨日のスーパーガールが言ってたピーイーってあんたのことなの? ねえ教えてよ」
ピーイーはギョッとした。
スーパーガールが俺を探していたのか?
これは聞き捨てならないのだが、何気に素振りで、
(Pe)「そうだよ。よくわかったな。お前はスーパーガールの知り合いなのか?」
(羽純)「そういうわけじゃないけど・・・」
羽純は無遠慮にじろじろ見ているが、
(羽純)「やっぱりそうなんだ。なるほど大物なのね」
彼は笑いながら「そうだ、大物の中の大物だ。すごいだろ」
フームと唸って、
(Pe)「いい度胸だ。少し教えてやる」
ここは彼が持っている中で、二番目に大きい工場だそうだ。
一番大きかった工場は、スーパーガールに潰されてしまったらしい。
羽純は「フーン、あそこが一番大きかったんだ」と、つぶやいている。
しかしここにも、かなり大がかりな設備があるそうだ。
女性をさらってきて、マネキンやガシャポンの景品にするための。
(Pe)「それを利用して、お前も景品になるんだ。うれしいだろ」
(羽純)「しょうもないことすんのね。困ったもんだ」
羽純はまだ興味深そうに彼を見ている。
ピーイーはふと思った。
(Pe:こいつの度胸の良さや悪人を全く恐れていない態度は、どこかで見たことがあるな)
だんだん気味悪くなってきた。どうも嫌な感じもする。
鬼火にむかって、
(Pe)「お前も一緒についていけ、こいつを景品にするまで注意しろ」
(羽純)「なんでよ。もっと教えてよ。取材に協力してよ!」
ピーイーはだんだん鬱陶しくなってきた。いや不気味にさえなってきた。
(Pe)「もういいだろ。おれは忙しいんだ」
(羽純)「何だよケチ! もっと協力してくれたっていいじゃないのよ。大物が聞いてあきれるな」
(Pe)「うるさいやつだな。身の程を知れ。お前はおとなしく景品になってしまえばいいんだよ」
行ってしまった。おまけに怒らせて。
鬼火と手下たちは、再び羽純を引っ張っていく。
羽純はへんな機械がゴチャゴチャと置いてある所に連れてこられた。
大きなガラス水槽、ベルトコンベア、クレーンまである。
羽純たちは奇妙なランプやコードがついている、大きなガラスカプセル前に来た。
この中に入れられてしまえば、縮小固定化されてしまうのは誰でもわかる。
(手下)「マネキンは裸になってもらうが、ガシャポンは服を着たままでもいいぞ」
(羽純)「あたしをどうするって?」
(手下)「フン、お前をこの中に入れ・・・うゎ!」
ヘラヘラ説明していた男をいきなり蹴り飛ばして走り出した。
(手下)「あ、こら待て!」
彼女は大きな装置の陰に隠れて、飛び込んできた手下を殴り飛ばした。
あっけなくのびてしまった。
もう1人もうまく足蹴りにして、出口に逃げようとするが、
(鬼火)「待てよおい」
(羽純)「あっ!」
妖怪に先回りされて逃げ道を塞がれた。さすがに手下とは格が一段違うようだ。
逃げ場がなくなった羽純ではあるが、とくに慌てる風もなく、
(羽純)「あんた鬼火とか言ってたね。火を吹くのかな」
(鬼火)「その通り、でもお前・・・」
この男も、彼女がただものではないような気がしてきた。
別に強がっているわけでもなく、至って冷静だ。
(鬼火)「女子中学生のくせになんなんだ、こいつは?」
悪人に囲まれた中での、この度胸の良さはなんだろう。
彼は戦闘ポーズになって油断なく構える。
羽純も同じように構えている。
(鬼火)「気の毒だが、お前は死んでもらった方がいいようだな。
(羽純)「何言ってる、ガシャポンにされたら死んだも同じでしょ」
いきなり、鬼火の体が燃え出した。
(羽純)「あ、本当に燃えた」
彼女は飛び下がって逃げようとしたが、
(鬼火)「無駄だ」
火炎放射を浴びて体中が火に包まれてしまった。
(羽純)「あ、うわーっつ!」
彼女はバッタリ倒れて燃え上がっている。
(鬼火)「少しもったいなかったか・・・あれ?」
鬼火の妖力で彼女は燃え尽きて灰になるかと主思ったが・・・
うつ伏せに倒れて燃えている彼女の体の火が大きくなっているような。
(鬼火)「おかしいな。火勢が、火勢が勝手に大きくなっていくじゃないか。これはいったい?」
燃え尽きるはずが、火が大きくなっていき・・・
(鬼火)「まずい、これじゃこの部屋が火事なる。おい起きろ。火を消すんだ」
倒れている手下をたたき起こし火を消そうとする。
ボウボウと燃え続ける羽純の遺体からは炎の帯が何本も吹きだして、凄い状態になっている。
(鬼火)「どうなっているんだ、これは?」
外からも何人かが駆けつけてきたが、もはや消化は不可能だ。
室内はすでに手が付けられない状態になってしまった。
突然、ドカーン! と爆発が起きた。
羽純の体から、さらに太い火炎の渦が吹きだしている。
逃げろ、手下たちが逃げていく。
鬼火は茫然として見ているが、絶対にこれはおかしい・・・
と、ゴーゴーと燃える火の中から誰かが・・・燃えながら歩いて向かってくる。
(鬼火)「え、燃えながらって?! いったい誰だお前は!」
「あー驚いたな」と言って出てきたのは、赤いベネチアンマスクを被ってる。
(鬼火)「きさま、スーパーガール!
(R)「そういう事。あなた許さないよ」
鬼火は火を、火を・・・燃えている彼女の体に噴射した。
(R)「あんた何やってるのよ。火に水じゃなくて、火に火を注ぐか。それは無駄でしょ」
火を噴きつけられても・・・当然のことながら彼女はまったく動じない。
むしろ体中から火を噴き出して、いや体がマグマのように真っ赤になっている。
(R)「それじゃあたしも」
と言って、両手を組んで前に突き出し炎を噴き出した。
両者猛烈に火炎をぶつけあっている。
でもしかし、スーパーガールレッドの方が優勢だった。
(鬼火)「あ、バカな!」
なんと、火の妖怪の鬼火の方が燃え上がっている。
(R)「あたしの火炎放射は、護符の能力があるんだよ」
(鬼火)「うわあぁぁぁ!」
次の瞬間、鬼火は消えてしまった。
部屋は劫火に包まれていて、もはや手がつけられない。
レッドはこの状況を見ていたが、
(R)「この建物も終わりだな。さてと・・・」
ピーイーを探しに走り出した。
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