その後の世界 その6
一方牢屋の中では・・・
鉄格子の向こうを大勢の手下たちが右往左往しながら走り回っている。
(詩音)「羽純の奴やったな!」
火災警報がけたたましく鳴り響き、煙に加えて焦げ臭いにおいも漂い始めた。
(詩音)「ちょっと、あたしたちをここから出してよ。焼き殺す気!」
しかし手下は「やかましい!」と怒鳴り、無視して走り去っていく。
少女たちは抱き合って泣きだしている。
(詩音)「仕方がないな。あんたたち、ちょっと後を向いて目をつぶっててくれないかな」
(少女)「どうするの?」
(詩音)「いいからいいから。言うとおりにして」
6人は怯えつつも、後ろを向いて目をつぶった。
詩音が手を突き出すと左手には青く輝くブレスレットが光っていた。
ガチャンと大きな音がして「どうしたの?」と振り向くが、詩音はもういなかった。
そして扉の鍵は壊れていて・・・
新生スーパーガールブルーは廊下を走って行くが、
(Blue)「どこにレッドがいるかわからないや」
逃げる手下をつかまえて、首を絞める。
(B)「ちょっと火元はどこなの?」
(手下)「あ、スーパーガール。えっと、地下製造工場です。突き当りの階段を下りて、まっすぐの・・・」
(B)「どうもありがと」
首を打って気絶させた。
走って行くと次々に手下たちと出会う。
逃げるやつがほとんどだが、向かってくるのもいる。
(B)「邪魔だよ」
手刀であっという間に倒して先へ先へと進んで行くうちに、
(B)「あ、ここから先は大火事でもう先に進めないや」
普通の者ならばである。
でも彼女は「よーし!」と叫ぶと、足を開いて水鉄砲の構えになり、猛烈に水を噴射した。
火は吹き飛ばされるようにかき消されて、彼女は再び走り出した。
彼女が走り抜けると、後の通路は再び火に包まれている。
手下たちは茫然とブルーの能力を見ていた。
けたたましい警報が鳴った時、ピーイーはコレクションルームにいた。
ここの人形作成工場はコレクション保管庫やメンテ設備も入っている、彼のお気に入りの施設だったのだ。
(Pe)「いったい何が起こった? 火事か?! 火気には厳重に注意しろと言っていたのに」
部下の飛び込んできて報告する。
(部下)「赤と青のスーパーガールが現われました。現在応戦中です」
(Pe)「スーパーガール?! おのれぇ、またしても邪魔をするのか!」
彼は地団太を踏んで悔しがる。
部屋を飛び出したが、なんと通路の向こうから青いスーパーガールが向かってくるではないか。
ブルーは男の身なりでピーンときた。
(B)「ん? あーっあんたは! もしかしてミスターピーイー!」
ミスターピーイーは「ちきしょう!」と叫ぶと、再びコレクションルームに逃げ込んだ。
(B)「あ、待て」
カギがかかっている。
ブルーが水鉄砲でドアを破壊しようとした時にレッドがやってきた。
(Red)「この中にいるの?」
(B)「そう。今壊すから待ってて」
ピーイーは椅子に座って部屋の中を眺めている。
「やられた・・・」
もはや逃げられそうにない。
今度のスーパーガールは、単に逮捕が目的ではないのだろう。
今まで彼が女性たちにやってきたことに対しての恨み?復讐?
捕まればどんな目にあわされるかわからない。
「それだけは避けなければ!」
そんなのは恥だ。悪人にもプライドがある。
捕まっていたぶられた挙句、刑務所にぶち込まれるのは!
そんなのは死んでもいやだ。
「今まで築き上げた地位も名声もすべてオジャンか」
なによりもだ、
「必死で集めた俺のコレクションが・・・」
一度スーパーガールに邪魔されて頓挫し、再び収集したコレクションを失うのは耐えられない、と思う。
彼にとっては生涯をかけた一大事業(?)であったのだろう。
(Pe)「あいつらも、俺をむざむざ逃がすほど間抜けではないだろう」
火はすぐそこまで迫ってきている。
もはや逃げ場はない。
ピーイーは覚悟を決めていた。
水鉄砲で扉を破壊して飛び込むと、ピーイーは椅子に座って変な装置を持って構えている。
(R)「なんだよ、何をやろうっていうの。その機械みたいのは?」
いやそれよりもこの部屋はなんだ、いったい?
壁に埋め込むようにして標本箱が部屋中に展示してある。
(B)「何を集めてい・・・ あっ、まさか、いっやらしい!」
そうである。若い彼女たちが驚くのは無理もない。
女性のナニがピンでとめられていた。すごくきれいな箱に納められて。
何千、何万、いやもっとか。
(Pe)「ハハハ、すごいだろ。全部本物さ。俺様が生涯かけて収集した女の大事なところさ」
ブルーとレッドは真っ赤になって聞いている。
(Pe)「お前たちのを加えられなくて残念だ」
(B)「おのれ、女の敵め」
2人は逆上して水玉と火炎を同時に放った。
しかし彼女たちが驚いているわずかな隙に、ピーイーは装置のスイッチを押していた。
「あれ?!」火も水も消えてしまった。
この装置はスーパーガールの超能力を中和できる結界作成装置であった。
今この部屋は結界の中だ。
新生スーパーガールが復活した時、彼女たちを倒すことを想定して作った物だ。
金に物を言わせて!
もちろん武器商人のツバーンが作成に関わっていたことは言うまでもなし。
でもブルー・レッドのコンビはそんな事情は知らない。
何回もやってみるが無駄である。
(Pe)「素晴らしい威力なのにな。お前たちを倒せず残念だ」
超能力を封じて、ベネチアンマスクを奪い取って・・・
しかし彼は後手に回ってしまった。攻め込まれてもはやどうにもならない。
(B)「それなら腕力でやるしかないわね」
ブルーが飛びかかろうとした時に『ドカーン!』とすさまじい音がして部屋が大きく揺れた。
机やソファが転がり、コレクションの箱も崩れ落ちた。
「うゎ」と、3人も床に放り出されて転がっている。
(B)「何だどうしたんだ?!」
(Pe)「もう終わりさ。地下の有機溶剤のタンクが爆発したんだろう」
レジンや溶剤に使うため大量に保管していたのだ。
それが爆発し出して・・・
ピーイーは机に飛びついて隠しボタンを押した。
(R)「あ、何をした!」
ピーイーはカラカラと笑いながら椅子に座り直した。
(Pe)「自爆装置さ。お前たちに捕まるくらいなら、このコレクションといっしょに消えた方がましだ。この建物ももう終わりだものな」
(Pe)「お前たちは生き返られるのか。でも一度くらいは吹き飛ばしてやる」
ブルーは「おとなしく捕まれ」と言って、再び飛び掛かろうとするが、
レッドが肩を押さえて引き留める。
(R)「こいつ本気だよ。ブルー、一旦外に出よう」
ブルーとレッドは外に出たが、すぐに中から火が吹きだした。
(Pe)「俺の城が! 俺のコレクションが・・・」
笑いながら叫んでいる。自分で部屋に火を放ったようだ。
(R)「あ、やめろ。あきらめて出てこい!」
無駄であった。燃えあがる火の中から逃げようとしない。
(R)「ブルー、消火できない?」
ブルーは水鉄砲を全力で放射するが、なぜか威力が弱い。
(B)「あの変な装置のせいだよ。なにより爆弾の爆発は防げないし」
その時だ。
白いスーパーガール、ホワイトと警官数名が走り込んできた。
「あ!」「あっ!」と双方が声を上げる。
(W)「あなたたちは・・・」
2人もホワイトを見上げる。
「スーパーガール・・・さん なのね」
ホワイトが見る所、赤と青の2人は知り合いのようだ。
しかし事態は急を要する。詳しく聞いている暇はない。
(W)「中にいるのは、ピーイーなの?」
(R)「そうです。自爆するって」
(W)「自爆?」
ホワイトは一瞬で自分の全身を凍らせた。
「すごい!」
青と赤が初めて見るホワイトの技であった。
「純白の氷が動いているみたい」
真っ白になった彼女は体から冷気を噴き出している。
炎が吹き上がる部屋に飛び込み冷凍ガスで火を消そうとしたがもはや手遅れだ。
火炎の向こうにピーイーがいるが燃え上がる寸前だ。
(Pe)「なるほど、お前が新生スーパーガールのホワイトか。でももう無駄だよ。お前らに捕まるもんか。
でも俺の敵は、必ず誰かが取ってくれるさ。首を洗って待っていろ」
やはり本気で死ぬ様子だ。
引きずって連れ出そうとも考えたが・・・この火勢では助け出しても助からないだろう。
それよりも・・・
爆弾がいつ爆発するかわからない。
このまま建物を爆破されたら、突入してきた警官たちも危ない。
(W)「仕方がない。みんな建物から出て!はやく」
全員が建物の外に出て、すぐに大爆発が起こった。
建物全体が吹き飛んでしまって残骸が燃えている。
「悪人の最後か・・・」
3人はどうすることもできずに、燃え続けている建物を見ているしかなかった。
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