ムジナ退治 その3
次の日、つまり全校集会の朝になった。
非常に朝早く、静流たちは登校してきて打ち合わせをしている。
(静流)「というわけでさ、人魂は消えてしまったんだよね」
(詩音)「じゃあ、人魂に取りつかれた人がいるってわけ」
(静流)「たぶんね。犠牲者が出ないといいんだけれど」
一昨日の臨時職員会議では、
『とにかく生徒の誰かが飛び出して来たら、教師全員で取り押さえること。生徒の列を注視しておくように』
という、お達しが出ている。
(羽純)「それで?」
(静流)「それだけだよ」
実際にできることは、それぐらいしかないだろう。
(羽純)「だけどさ、呪術や呪具で操られているのなら、人間の力で抑えられるのかな」
先日の例もあるしな。
(詩音)「大人の男が4、5人ぐらいいないとだめなんじゃない」
(静流)「いや、今回はもっと多いよ。押さえさえすれば大丈夫だよ」
詩音も首をかしげていたが、
(詩音)「ふーん。でもさ、犯人の目的って何だろうね」
(静流)「わからないなぁ。何を考えてるんだろうね」
(羽純)「変質者の、いや変質妖怪のいたずらとかね」
詩音は「あっ!」と声を上げた。
先日聞いたうわさ話を思い出したのだ。
(羽純)「どうした詩音?」
(詩音)「ふた月くらい前に、E組のバカ男子が公園の
祠を壊したんだよ」
(静流)「なにそれ?・・・」
詩音がムジナの話をするが、静流と羽純は渋い顔をして聞いている。
一応の打ち合わせは終わった。
『被害者は列から飛び出して、朝礼台にかけ上がり服を脱ぐ』
あっという間ではあるが、誰かが列の前に飛び出してきた瞬間に押さえつけてしまえばよいわけである。
先生たちも待ち構えているが、羽純と詩音も加わって加勢することにした。
(静流)「あんたたちなら暴漢でも押さえつけられるでしょ」
2人がいれば多分大丈夫だろう。
(静流)「よーく周りを注視してて、怪しい者がいたらすぐに押さえつけること。タイミングを逃さないようにね」
作戦の成否は服を脱ぎだす前に抑えられるかどうかである。
被害者が裸になってしまえば、事は失敗となってしまう。
「まかせといて先生!」
そして時は来たれり!
集会の開始時刻になった。
静流をはじめ教員は生徒の列に目を光らせている。
メガネをかけた静流も四方を注意深く見ている。
(静流:今度こそ、未然に防いでみせるわ)
生徒の列に並んでいる詩音と羽純も同じように、すぐに飛び出せるようにしている。
周りをキョロキョロ見回しながら鋭い目で警戒を続ける。
誰かが飛び出してこないかと。
だがしかし・・・それでも犠牲者は出てしまったのである。
(校長)「・・・以上で話を終わります」
校長の話が終わった。そして踏み台を降り終わった。
(羽純:今日は・・・大丈夫・・・かな)
彼女がそう思いかけた瞬間、
突然、静流が朝礼台にかけ上がり、上着とスカートを脱いでしまった。
「あーーーっ!」
まさに意表を突かれた形になった。
教師たちは伸びあがるような恰好をして『生徒たちの列』には注視・凝視をしていた。
そのため自分たちのすぐ横で何が起きたか、一瞬わからなかったようだ。
下着姿になった静流は、すぐにブラもショーツもかなぐり捨てるように脱いでしまった。
朝礼台の端から端まで目いっぱいに足を開き、胸を反らせた万歳の恰好をしている。
豊満すぎる胸、立派な土手や一本線を思い切り晒してしまった。
静流は「キャハハハ!」と笑いながら、空に向かって叫んでいる。
「キャーァァァ、静流先生!」
最前列の女生徒たちから悲鳴が起きる。
それを皮切りに生徒の列は絶叫のるつぼと化した。
どよめきや歓声がそこら中から沸き上がり大騒ぎとなった。
「初月先生、やめなさい」
「やめろ」「おりろ」と叫びながら教師たちが朝礼台を取り囲んだ。
今回は大柄な数人の男の先生が予め待機していたわけだ。
裸の静流は大暴れしているが、朝礼台から引きずりおろされて、押さえつけられた。
見ようによっては、暴漢に襲われテ、ひん剥かれた女性・・・にも見えなくはない。
抵抗する静流は羽交い絞めにされても、まだ足をばたつかせている。
誰かの髪の毛をつかんで引っ張っている。顔を蹴られたり、手を噛みつかれた先生もいる。
まわりには服や下着が散らばっている。
「初月先生に服を着せろ!」「落ちている服を拾ってくれ」
気弱な某男の先生は、落ちているブラジャーやパンティを拾っていいものかどうか迷っている。
(某先生)「女性の下着なんか触れられませんよ。私には無理。誰か女性の先生お願いします」
横で見ていた女性の先生が、あわてて飛び出してきた。
静流は頑強に抵抗していたが・・・突然正気に戻った。
(静流)「え? キャ、キャーーーーーア!」
羽純と詩音はこの有様を最初から最後まで見ていた。
どうすることもできずに・・・
(詩音)「こいつは一本やられたね」
(羽純)「そうだね。やられちゃったね」
その2人の姿を、校庭の後ろの方でムジナ男がニヤニヤと見ていた。
(ムジナ)「どれ、あいつらにも
醜態を演じてもらおうとするかな」
2つの人魂がフラフラと彼女たちに向かって行った。
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