ムジナ退治 その4
(静流)「あーん!もう学校にいられないよぉ!」
半べその静流が保健室のベットで頭から毛布をかぶっている。
(羽純)「しょうがないでしょ先生。元気出しなよ」
(静流)「あー、どうしよどうしよ。恥ずかしいぃぃぃ!」
(詩音)「犯人を早く捕まえるしかないよ。なんか手掛かりはなかったの」
(静流)「そうだったわ。犯人がわかったのよ」
静流はガバと起き上がった。
暗示にかかってボーッとなっている時に・・・
自我意識は飛んでいたが、犯人からの命令だけは、はっきり頭の中に聞こえた。
その時に相手の正体がチラリと見えたそうだ。
(静流)「やっぱり犯人はムジナよ! 妖怪の!」
(詩音)「あ、やっぱりな」
(羽純)「それじゃ、学校が終わったら行ってみるかい」
そうすべきである。これ以上被害が出ないうちに。
「お大事に」といって、羽純詩音のコンビは保健室を後にする。
(羽純)「あーあ、先生相当落ちこんでるね」
(詩音)「それはそうでしょ。立派な裸を
晒してしまったんだから」
教室に戻ろうと廊下を歩いていると、
(ムジナ)「本当に静流はお気の毒にな」
「あぁっ、ムジナ!」
羽純と詩音は飛び下がった。
男はやっぱりたぬきのような顔をしている。
(羽純)「ノコノコ出てきたな。詩音ぬかるなよ」
(詩音)「わかってるって。ムジナ男覚悟しろ。今退治してやるからな」
(ムジナ)「それはどうもご丁寧に。でもできるのかな?」
2人は間合いを狭めてスーパーガールに変身しようとしたが、
(ムジナ)「おっと、大暴れして校舎を壊したら大変だろ。変身はしなさんな。素手で来い。
それとも、変身しないと・・・弱くて負ける・・・のかな?」
(詩音)「何を言っている、腐れダヌキ!」
(羽純)「上等よ。素手だけでやっつけてやる!」
2人は挑発に乗ってしまった。
ムジナはクククと笑っていたが、
(詩音)「あれ、これは?」
突然煙が廊下中に充満し、あたりがまったく見えなくなった。
(詩音)「目くらましか!羽純気をつけて!」
返事がない。
(詩音)「あれ、羽純、羽純って!」
突然煙はウソのように晴れたが、ムジナ男がニヤニヤと立っている。
(詩音)「あ、羽純はどうしたの」
(ムジナ)「あの弱いやつか。ワンパンで片付けた。窓の外で伸びてるよ。無様にな」
(詩音)「何ですってぇ」
ムカッと来た彼女はムジナに飛び掛かっていった。
ムジナもファイテングポーズになって構える。そして殴り合いになった。
ムジナの顔面にパンチを、腹に蹴りを、意外に面白いように決まるが、生身の能力的にはほぼ同じか。
「ゲホッ!」詩音のガードをすり抜けて、頭や腹にパンチや蹴りを喰らっている。
(詩音)「素手だっていうのに、こいつなかなかやるな」
ついに組み付いて廊下をバタバタと転がっている。
ムジナの毛をむんずとつかむと
(詩音)「こうしてやるわ」
(ムジナ)「あー痛てて! ウワアアッ!」
ベリッと音がして、詩音は毛をむしり取った。
一方、羽純は・・・
(羽純)「この煙は何、あ」
煙が晴れるとムジナ男が立って構えている。
(ムジナ)「さあ、かかってきやがれ、詩音と同じように片付けてやる」
(羽純)「詩音は、詩音はどうしたの。まさか、まさか・・・」
(ムジナ)「簡単にやっつけてやった。泡を吹いて伸びてるよ。グゥと唸ってな」
(羽純)「おのれ、詩音のかたきだ」
彼女はいきなり回し蹴りを放つ。が、これは腕でがっしりとガードされた。
(羽純)「こいつなかなかやるな」
初見だというのに、こちらの手の内をしっているようなかわし方だ。
(羽純)「だが負けないよ」
ストレート、フック。すばやいパンチを次々と繰り出すと、相手もかわしきれないで顔や胸に決まっている。
そして・・・強烈なまわし蹴りで!
「うわぁっ」と、悲鳴が上がってムジナは吹っ飛んだ。
(羽純)「それ、とどめだ」
しかし、どうしたことかうまくかわされて、逆に
顎に強烈なフックを喰らった。
「ガフッ!」
目の前が真っ白になった。
(羽純)「うわぁこれは効いたぁ。しかしまだまだよ。こんな奴に負けてたまるか」
飛びついて両手で毛深い胸ぐらをわしづかみにして引っ張ると、これまたおもしろいように毛がベリベリと。
(ムジナ)「痛い痛い、やめろぉ!」
ムジナ男と羽純の応酬は互角に続いているが・・・
バタンバタンと廊下で誰かが暴れている。
「ああ、うるさいなぁ」
あまりの騒がしさに、授業をしていた英語の先生が窓を開けて怒鳴る。
「おい、廊下で何をやっている、いったい・・・ひえぇ!」
羽純と詩音が恐ろしい形相で取っ組み合いのけんかをやっている。
殴り合い、蹴り合い、投げ合い。上になり下になり、体をからめて転がっている。
制服はすべて破け散ってほとんど素っ裸同然の姿!
恥じらいもなく、足を思い切り蹴り上げると、大事な所の奥まで丸見えだ。
「おい、お前たちヤメロぉ。けんかをやめるんだ!」
生徒たちも教室から出てきたが、この光景を見てギョッとした。
女子の悲鳴や男子の歓声が起きているが、2人は取っ組み合いをやめない。
男子生徒に押さえつけられて、引き離されて、やっと2人は正気に戻った。
唖然としながら、あたりを見回している。
「あんた詩音なの」
「そういうあんたは羽純か?」
「あたしたち、一体何をしていたの・・・ウギャー!見ないでぇ」
大慌てでしゃがみこみ、大事な所を必死に隠すがすでに遅い。
気の利いた連中は、もうスマホなどで写真を撮り終えている。
保健室では静流が、ようやく起き上がった。
(静流)「こんなことで寝てても仕方がない」
職員室に戻ろうとしたら、入口がどやどやと。
(静流)「どうしたの? あ、しお・・・いえ、木之元さん、峰霧さんまで。何その姿は。いったいどうしたっていうのよ?」
ジャージ姿で現れて、顔面が膨れ上がっている。
よく見れば手足もあざだらけのようだ。
正気に戻った2人はサメザメと泣くばかりだ。
(静流)「どうしたの、何があったのよ。説明しなさいよ!」
「アウアウアウゥ」
何か言っているが声にならない。
やっと一言「ムジナに化かされたよぉ」
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