妄想別館 弐号棟


ムジナ退治 その5


夜になって・・・
怒りに燃える3人はムジナ塚にやって来た。
古い時代の祠のようであるが、完全に壊されている。
(W)「これ誰がやったって?」
(B)「E組の 鈴木君と田中君よ。あーあ、これはひどいな」
(W)「で、どうすればいいの。元に戻せばいいのかな。ねえレッド? あれどうした?」
レッドは黙って暗闇を指さしている。
(B)「何?どうしたのよ」
突然指先から火炎を放射した。
あっ!ホワイトとブルーはのけぞる。
(B)「危ないじゃないのよ、いったいどうしたって、あっタヌキ!」
暗闇に照らし出されたのは、タヌキのような顔をした男だった。
(ムジナ)「やってくると思ったよ、スーパーガール。知ってるか。お前たちには懸賞金がかかっているんだぜ」
(R)「え、懸賞金って・・・  一体誰がそんなことを?」
(ムジナ)「それは言えんなあ」
(B)「なるほど、それであんたはあたしたちを倒そうって言うのね」
フンと笑う。
(ムジナ)「いやいや違うな。おれはいたずらは好きだが血を見るのは大嫌いでね。
しばらく好きにさせてもらうぜ。その祠はそのままでいいさ。なぁ」
ムジナ男はすっと消えてしまった。
(B)「あ、待ちなさいよ」
(R)「無駄だよ、あれは幻影だね」
フッと息をついた。
(B)「追えないの?」
(R)「夜は厳しいね。昼間に出直そう」

と思ったが・・・
明日の午後には、先日中止になった、遠足の説明会が予定されている。
「また犠牲者が出るよ」
なによりも3人はまだ昼間の怒りが収まらない。
羽純は「ムジナもタヌキも同じでしょ。それならタヌキ汁にしてくれよう!」などと喚いている。
詩音も「ムジナが戻ってくるまで待ってやっつける!」と、息まいている。
(静流)「羽純も詩音も落ち着きなよ。それじゃ朝までここで待つか」
(羽純)「そうだよ。朝までに戻ってくるだろうからさ」
戻ってきたところをやっつける。
つまり授業が始まる前に片をつけてしまうのだ。
(詩音)「よし、それでいこう」
静流は「そんなに簡単に行くのかな?」とも思ったが、
今回は3人いるし、スーパーガールの能力も使えるし。
(静流)「やってみるか」
再び変身すると、草っ原に隠れて見張ることにした。
しかし・・・草の中ではやることがない。
(R)「暇だな」
(B)「早く帰ってこい、ムジナ野郎め!」
やがて月がのぼってくる。
「月がきれい・・・」
寝転びながら月を見ている。
あまりの美しさに、3人はボーッと見とれていた。

いつの間にか朝になっている。
(B)「あれ、いつの間に!」
(R)「あたしたち寝てたの?」
(W)「おかしいな。急いで探しに行くよ」
でもすぐにムジナは見つかった。祠の横で寝ている。
静かに草の中に伏せると、
(W)「よかった。よし、レッド頼んだよ」
(R)「OK、任せてよ」
レッドは静かに立ち上り、軽く足を開いて構えた。
シャーとガスバーナーのような長い火炎がムジナを直撃する。
寝ているところを急襲されたムジナは、
(ムジナ)「ん? あ、スーパーガール! ウワーアァアア」
燃え出して、やがて跡形もなくなった。
封印の炎で消滅したのだろう。
(B)「なんか、ずいぶんあっけなかったね」
でもこれで万事解決だ。3人は学校に戻った。

(詩音)「なんかさ、ずっと草の中にいたからかゆいし、臭い感じもする」
(羽純)「そうだね。なんか気持ち悪いよね」
授業が始まる前に・・・
(詩音)「シャワーを浴びてくか」
羽純と詩音は脱衣室に入って行く。
静流も体中が気持ち悪いくらいベトベトしている。
(静流)「生徒といっしょでもいいのかな?」
なんか恥ずかしい気もするが、
(詩音)「先生、女どうし裸のお付き合いだよ」
(羽純)「そうだよ、それにスーパーガール同士でもあるじゃない。仲間でしょ」
(静流)「それもそうだね」
3人はシャワーを浴びだした。
「ああ、気持ちがいい」・・・と。

「さ、そろそろ出ようか」
その時すぐ後ろで「うわーぁ、何やってんですか」と悲鳴がした。
ギョッとして振り向くと、男子生徒2人が立って見ている。
「キャーァ、何見てんのよ!」と、詩音が叫んだ。
(羽純)「セクハラ、いや痴漢! シャワー室に入ってきて覗くなんて最低!」
静流も真っ赤になって怒りだした。
(静流)「あんたたち何年生。どこのクラスよ。これ犯罪よ!」
体を隠しながら、3人は大声で叫び始めた。
しかし、本当に困惑しているのは・・・2人の男子生徒の方だった。
(生徒A)「そ、そんなこと言われても、僕らはここを通りかかっただけですよ」
(生徒B)「だいたい先生たちは、池の中で何をやっているんですか?」
「え?!」
ハッとして気がつくと、確かに彼らの言う通りだ。
静流たちはシャワーを浴びていたつもりだったが・・・金魚を飼っている池の中に立っていた。
校舎や校庭からは、何もさえぎるものがなく丸見えだ。
登校して来た生徒たちも、ぞろぞろと集まってくる。
みな驚き、嬉しそう。またしても女性の裸が見れたのだ。
あらためて「ギャーッツ!」と悲鳴が上がった。

「初月先生たちが素っ裸になって池の中で遊んでいるよ!」
騒ぎを聞きつけて、副校長や指導主任もやってきた。
彼らは顔が真っ赤だ。興奮しているのか、いやカンカンに怒っているのだろう。
(副校長)「初月先生、こんなところで一体何をやってるんですか!」
(静流)「いえ、あの、違うんです。これは、その、そのお・・・」
きちんとした説明などできるわけがない。
だってムジナに化かされたのだもの。
(副校長)「さっさと服を着なさい! ほらお前たちは見てないで早く教室に行け!」
集まっていた生徒たちは名残惜しそうに散っていった。
静流たちは裸を十二分に見られたうえに、さんざん油を搾られてしまった。




- 5 -

*前次#

物語の部屋 目次へ